「ゼルビアTimes」郡司聡

太田宏介と李漢宰。現役引退の柏木陽介と縁のある2人が思う時代の変化、そして惜別のメッセージ【コラム】

“ゼルビア戦士”と関係性の深い柏木陽介が、今季限りでスパイクを脱いだ。引退のタイミングが重なった太田宏介と柏木。2人が引退を決断する背景には、現代サッカー特有の難しさが影響したことを表明している。またサンフレッチェ広島でともに戦った李漢宰は、稀代のレフティーとの時間を懐かしんでいた。

調子乗り世代の太田宏介と柏木陽介は世界の舞台でも戦った

▼「お互い納得して新しい世界に進める」

2007年、カナダでのU-20W杯をともに戦った“調子乗り世代”の太田宏介と柏木陽介が、奇しくも同じタイミングで現役を退くことを決めた。太田と柏木はプライベートから親交が深く、柏木がFC岐阜に移っても、柏木が東京近郊に来る機会があれば、食事をともにしてきたという。こうして太田は、柏木に食事の席で現役を退く旨を伝えていた。

「たまたま家族で東京に戻る機会があった時に「ご飯どうか?」と聞いて会うことになって、そこで「引退を考えているんだよね」と話をしたら、「オレはもう引退を決めているよ」と宏介に言われました」

柏木にとっても引退を検討していたタイミングでの太田からの引退報告。その後のやり取りに、2人が引退を決めた背景がにじみ出ている。引退会見での柏木の言葉を借りればこうなる。

「僕も太田もすごく身体能力が高い選手ではなくて、みんなに助けられながらやってきた選手だよねという話をしました。周りの人がうまくて、そこで自分が輝かせてもらったし、逆に輝かせることができたという話もしながら、本当に走るのはもうしんどいねと。現代サッカーのテンポ、フィジカル、強度に関して、自分たちはもうちょっと違うねということも踏まえて、それをお互い認識した上で、本当に気持ち良く引退ができると話しました。新しいステージのほうが絶対に長いし、楽しみながらやっていこうと。悲しいという感じではなく、ポジティブな話しか出ない会だったので、お互い納得して新しい世界に進めるという話をしました」

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