「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】ペスカドーラ町田、再びプレーオフ決勝へ。粘る湘南ベルマーレを振り切る【マッチレビュー/Fリーグプレーオフ準決勝・湘南ベルマーレ戦】

■岡山 孝介監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「すべてを出し切った試合でした。こういうタフな試合の中ですべてを出し切るような試合ができる選手たちが素晴らしいです。それ以外、あまり言うことはありません。あとは両チームのサポーターが良い雰囲気を作ってくれました。そういう中でプレーできたことで試合を盛り上げる一因になりました。次はもっと厳しいゲームが待っています。それに向けてトレーニングからしっかり頑張っていきたいです」

ーー名古屋戦に向けての意気込みは?
「たしかにリーグ戦で勝ち越してはいますが、リーグを通しての成績が一つの結果なので、そういう意味でわれわれはチャレンジャーです。もちろん勝つ力はありますし、勝ちに行きますが、リーグ戦もどちらが勝ってもおかしくない展開でした。そういう相手なので、勝ち越しているから勝てるだろうという気持ちはありません。昨日今日の試合のようにタフに走り続けて戦っていきたいです」

ーーやや荒れた試合でしたが、監督は選手たちを落ち着かせるジェスチャーなどをされていました。そのほかに選手たちを落ち着かせるアプローチを何かされましたか?
「タイムアウトの時やハーフタイムでそういう話はしました。湘南さんは悪い意味ではなくて、比較的フィジカルコンタクトを好むチームなので、ウチはパスを回せるチームですし、いなせる場面はいなそう。プレーの中でもそういう話はしてきました。そんなに荒れた試合だとは思っていません。相手もわれわれも勝ちたい思いもありますし、それがプレーオフです。あんなものだと思います。行き過ぎないようには話しましたし、選手たちも行き過ぎなかったと思います」

■FP 99 森岡 薫(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「厳しい戦いになることは分かっていましたが、みんなの決勝の舞台に立ちたいという、勝ちたいという気持ちがこの結果につながりました。一つ感じたことは今日の会場の雰囲気が普段のリーグ戦でも作れれば、もっとフットサルのレベルアップにつながるのかなと思います。2点差にしても、あの会場の雰囲気でその点差があるとは思えませんし、こちらも負けたくないという気持ちのぶつかり合いで拮抗した試合になったと思います。プレーオフの舞台だからではなく、普段のリーグ戦でも地元のサポーターが盛り上げることでフットサル界自体の盛り上がりにつながるのかなと思います」

ーー立ち上がりのゴールシーンを振り返ってください。
「昨日の試合も今日の試合もシュートを打つ怖さはありましたが、プレーオフの決勝に行きたいという気持ちがそうさせました。またチケットを購入してくれた人たちは、けがをした選手のプレーを見たいと思ってきているわけではないので、けがを感じさせないプレーを見せたいという気持ちがありました。僕自身、毎試合次の試合に出なくても良いと思えるような戦いをしています。いまのけがの状態を考えずに、振り切ってやろうと思って打ちました。得意としている形が決まって良かったですし、ホッとしました」

ーー名古屋戦に対しての意気込みは?
「ずっとプレーオフを戦わせてもらっていますが、やはりリーグ戦とプレーオフは別物だと感じました。相手に対して特別な思いはなく、プレーオフの決勝では勝ちたいという気持ちしかありません。町田はそろそろ優勝をしてもおかしくないと感じていますので、できれば優勝したいです」

ーーブーイングをされると気持ちが高ぶるという話をされていましたが、今日のような試合の雰囲気は、森岡選手にとってはいかがでしたか?
「ブーイングを好んでいる人はいないと思いますよ。ブーイングを受けることで見返してやろうという気持ちにはなります。でも、日本は相手をリスペクトするという文化の中でやらせてもらっています。海外では険悪な雰囲気の中での試合もありますが、今日の試合に関してはこうした空気感に慣れるのに良い機会だったと思います。両チームのサポーターが素晴らしい雰囲気を作ってくれたので、選手としてはそれなりの試合を見せないといけないと思いますし、その気持ちに応えたいと思いながらプレーしていました。ただブーイングは好きではないです(笑)」

■奥村 敬人監督(湘南)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「一言で言うと、経験の差が出ました。ウォーミングアップの時点でほとんど右足でシュートを打ていなかった森岡選手に、一発ドンと決められました。いずれにせよ、引き分けではレギュレーションの関係上、決勝進出は果たせなかったわけですが、ウチの選手がダメだったといった類の話ではなく、結果的には町田さんの気迫が上回りました。昨日も話しましたが、ペナルティーエリア前の戦場で、町田さんのカバーリングの速さ、シュートを打たれる際に下をしっかりと切ること。そういったことが徹底されていました。一方でわれわれはハーフウェーライン付近のミスから失点し、相手のマークミスやセットプレーで失点を喫するなど、単純に勝利に値するチームではなかったのかなと思います。

レギュラーシーズンは3位、プレーオフに敗れて3位と、同じ結果ではありますが、われわれの過去を考えれば素晴らしい結果だと思います。選手たちがこのステージに連れてきてくれて本当に感謝していますし、サポーターが作り出す雰囲気が素晴らしかったです。(隣にいる刈込真人に向かって)泣いてるのか? 僕も泣きたい気分ですが、彼が泣いているので、僕はやめておきます。

Fリーグ11年目でこういう結果を出すことができて、まだまだですが、チームの新たな歴史を刻めたのかなと思います。10年間苦しかったのですが、夢のようなシーズンを送ることができました。このステージが偶然ではなく、当たり前になっていくことで、選手もクラブも成長をしていくと思います。そのためにこのシーズンがあって良かったと思えるように、また来年、再来年とそういうチームになっていかないといけないと思います。

僕の好きな言葉ですが、日々精進です。それしかありません。上を見ても仕方がありません。一つひとつを積み重ねて、自分たちが強くなっていくしかありません。全日本選手権もあります。今後もみなさんが驚くようなフットサルを見せたい、展開していきたいと思っています」

ーーややゲームが荒れた印象ですし、追いかける試合展開になったこともストレスを感じるような展開だったと思います。その点、監督としてはいかがでしょうか?
「選手たちがあのような雰囲気の中で高揚するのは、仕方がないことだと思います。負けたくないという気持ちがお互いに出ましたし、見ていてこれこそ戦いだと感じました。負けて充実感と表現するのはふさわしくないかもしれませんが、選手たちが素晴らしいプレーをしたり、ミスをしてしまうことを見ることで選手の心理はどうなのか。選手たちはこの勝負をどう感じているのか。この選手はこの局面で少し怯んだのか、あ、ここ勝負に行ったんだなど、ピッチの中で成長する姿を見ることが、言い方は語弊があるかもしれませんが、楽しかったです。

その中でも勝てれば良かったのですが、今日に関しては相手が上回っていましたね。ウチの選手たちは素晴らしいプレーをしたと思います。勝った負けたはいろいろな要素がありますが、ウチに勝ちがくるような流れではなかったのかなと。相手の気迫、経験値が上回ったことで主導権を握れなかったと思います。試合自体は見ていて楽しかったです」

ーー今季の湘南は何が変わったのでしょうか。またこれを維持することは大変だと思いますが、そのために必要なことは何だと思いますか?
「いつもなぜ変わったのかと聞かれますが、ナオキ(横澤直樹)が4年間やってくれたメソッドを継続してやってきて、それが選手たちに浸透しています。そして小門勇太や内村俊太がやってきて、ナオキも選手となって、やりたいフットサルができてきているのかなと思います。

自分の仕事としては、戦術や戦略はナオキに任せて、自分はしっかりとチームをマネジメントすることに注力してきました。それでクラブが勝てれば良いと思っています。選手たちがいかに気持ちよくプレーできるか。迷いなくプレーできるか。そのために普段からの何気ない仕草などを見極めてアプローチしてきました。でも、積み重ねしかないのかなと思います。

ただフットサル選手としては半人前の選手が多いので、名古屋と比べれば完成された選手はいないと思っています。そのぶん、伸びシロがあると思います。完成された選手になるためには、どれだけフットサルを好きになれるか。このスポーツでご飯を食べていくんだと思えるかどうか。フットサルに愛情を持って追求していくしかないのかなと思います。

Fリーグでプレーしていることに満足するのではなく、Fリーグに所属すればいい、という話ではなく、フットサルというスポーツに愛情を持って、自分が世界に出てやる。代表選手になって、世界に出てやると思ってやらないと、このままなのかなと思います。そういうアプローチはしていきますが、個々の選手がどう感じて、今日の試合をして悔しくて、もっとうまくなってやろうと思うのか。そのために食事の管理や睡眠時間、筋トレなど、やるべきことを徹底し、人生を懸けてフットサルをすることが大事かなと思います。僕たちは少なくとも、昔話にはなりますが、とにかくフットサルを盛り上げたいという気持ちでやってきました。それがすべてかなと思っています」

■FP 8 刈込 真人(湘南)
「まだ試合が終わったばかりで整理できていないのですが、悔しいです。湘南には在籍6年間で初めてプレーオフという舞台に立つことができて幸せでした。また湘南のサポーターと町田のサポーターが最高の雰囲気を作ってくれたので、本当は勝ちをプレゼントしたかったのですが……。悔しいです。まだ全日本選手権でてっぺんを獲るチャンスがあるので、またしっかりと準備して戦って優勝を取りに行きたいと思います」

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