【無料記事】【コラム】データで考える……2024シーズン“イントロ編”
最終節でJ1自動昇格を決めて約10日たちました。先週末で最後の練習公開と解団式を済ませ、横浜FCの2024シーズンは終わりました。
ハマプレも気持ち的には抜け殻のようにはなっていますが、オフシーズン企画の仕込みやら移籍関係含め業界の情報収集やらにいろいろと動いております。更新がない日も決してサボっているわけではございません(ダラけているのは事実ですが)……。
さて、そんな合間を縫ってまずはできることからと思い、『Football LAB』の今季データが出そろったところであれこれ考えてみたいと思います。今回は“イントロ編”ということで、大枠の数字を過去の年度と比較してみましょう。
▼堅守をベースに得点力も高水準
まずは2022年(42試合)、2023年の3バック変更後(第11節以降の24試合)、そして今季2024年の得点数、失点数、獲得勝点を見てみましょう。試合数が異なるため、すべて1試合平均の数字です。
2022 | 2023(3B後) | 2024 | |
平均得点 | 1.6(3位) | 1.0(18位) | 1.6(4位) |
平均失点 | 1.2(10位) | 1.3(16位) | 0.7(1位) |
平均勝点 | 1.9(2位) | 1.1(18位) | 2.0(2位) |
警告数 | 1.1(7位) | 1.6(6位) | 1.3(6位) |
今季、前半戦終了時点では『1.4』だった1試合平均得点は、年間を通して『1.6』と、2022年と同じ水準に達しました。平均失点は、前半戦は『0.6』でしたが『0.7』へ微増。それでも22年と比べて、いや、J2歴代記録でも6位か7位には入ってくる堅守でした。理想的には攻撃は平均得点『2.0』を目指したいところでしたが、今季そこに最も近づいた『1.94』の長崎はやはり平均失点も『1.0』あって、結果的に3位に終わっています。逆に平均失点『0.76』の岡山は、平均得点が『1.26』と稼げずに5位で終わりました。
なので結果としては、堅守をベースとしながら得点もしっかり奪えていて、非常にバランスが良かったと言えます。警告数については、やはりJ1の守備強度をある程度維持していたことで22年よりも増えており、強度を維持できていたからこそ堅守が成ったと言えるでしょう。
▼来季の残留に希望が見えた!
平均得点と平均失点の差は『0.9』。以前、このコラム『データで考える……J1の恐ろしさとは?』でも書いたように、
J2から昇格した低予算チームは翌年J1で……
1試合平均得点は0.6減る
1試合平均失点は0.6増える
という法則があります。23年の“3バックに変更後の”数字を見ると、得点は見事に当てはまりました。守備はものすごく頑張って0.1増に抑えましたが、3バック変更前の平均失点『2.7』が響きました……。シーズンを通して見れば、22年昇格組の新潟も横浜FCもだいたいその数字に収まっています。今気づいたのですが、今季の横浜FCと22年の新潟の平均得点と平均失点、それぞれ新潟が0.1ずつ高いだけでほぼ同じ数字ですね。
J2平均得点(22年) | J1予想 | J1現実(23年) | |
横浜FC | 1.6 | 1.0 | 0.9(18位) |
新潟 | 1.7 | 1.1 | 1.1(16位) |
J2平均失点(22年) | J1予想 | J1現実(23年) | |
横浜FC | 1.2 | 1.8 | 1.7(16位) |
新潟 | 0.8 | 1.4 | 1.2(7位) |
そのコラムでは「J1での予想平均得点から予想平均失点を引いた数字が『-0.7』以上になればJ1残留は危ない。中位以上で終わりたいなら『-0.3』以内が条件になる」と書きました。今季の数字から予想すると、来季の予想平均得点は『1.0』で、予想平均失点は『1.3』となり、その差は『-0.3』。新潟の例も踏まえると、あくまで数字上の話ですが、何だか来季に希望が出てきました。
そもそも昨季の3バック変更後は『1.3』ですし、そのメンバーの多くが残って二度目の挑戦をするのであれば、平均失点をさらに減らすことは十分に可能でしょう。実際、23年の新潟は平均失点を予想よりも抑えたことでJ1を10位でフィニッシュしています。今季のJ1でも、昨季のJ2を平均得点『1.9』&平均失点『0.8』で優勝した町田、同じく平均得点は『1.4』でしたが平均失点は『0.7』で3位プレーオフから昇格した東京ヴェルディはご覧の通りの躍進です。
やはり堅守こそ正義。つまり今季の堅守をベースにした戦い方を貫くこと、また昨季から主力となっているメンバーをしっかりチームに残すことが来季J1残留、さらには躍進へのポイントになりそうです。
今夜はこの辺で。近日中にまたさらに細かい数字を見ていきましょう。
(文/芥川和久)