【サッカー人気3位】【浦和を語ろう・激論編】セレッソ戦を前向きに厳しく振り返る…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「航海しているわけだから、雨や嵐の日だってある。それをみんなで一緒に乗り越えていくから、目的地に辿り着いた時に幸せな時間を過ごせる。それがサッカーだし、人生かな」 [飯倉大樹インタビュー(前編)]

【飯倉大樹選手インタビュー(前編)】

インタビュー・構成:藤井 雅彦

 

 

 

 

2024年のシーズン総括インタビューに満を持してチーム最年長の飯倉大樹が登場だ。

38歳のベテランGKが「バラバラになっていった」とあえて語った功罪とは。

アタッキングフットボールはどこへ向かっていくのか。

何度も繰り返したのはファン・サポーターへの感謝だった。

 

 

 

 

 

今年は本当に難しいシーズンだった。

春先にACLで決勝に進んでからは調子を落として、夏場にJリーグで勝てない時期が続いて監督交代になった。9月からは目が回るような過密日程で疲労困憊になって、終盤は残留争いに巻き込まれかねない順位で冷や汗を流した。

 

 

 

 

F・マリノスはJリーグが開幕してから一度も降格していないクラブ。その歴史だけは守らなければいけない。そこだけは死守しなければいけない。だから、とにかく耐えた。今年を漢字一文字で表すとしたら、オレは『耐』だね。みんなで歯を食い縛って、耐えて耐えて耐え抜いたシーズンだと思う。

 

 

 

 

ハリーが新しく監督に就任してのスタートで、はっきり言うとチームは一度バラバラになった。アンジェ(ポステコグルー元監督)から始まったアタッキングフットボールがバラバラになっていった。

 

 

 

 

サッカーが違うものになりそうな雰囲気は、1月の宮崎キャンプの時くらいからあった。近年のF・マリノスは組織的なチームで、規律を重んじて、さらに攻撃的にハードワークするのがウリだった。ハリーが監督になってからは、個の部分を強調するスタイルになった。個人の技量や経験、判断に左右される部分が大きくなって、新しく別のチームを作っていく感覚に近かった。

良くも悪くもバラバラだったかもしれない。言葉の響きだけだとネガティブな印象に捉えられてしまうけれど、バラバラだからこそ個人の技量を出せる部分もある。プロサッカー選手としては個を主張するチャンスでもあるし、そうやって実際に評価を高めた選手もいると思う。昔のスタイルに固執することだけが正解ではないので、オレ自身はすごく勉強になった。

 

 

 

 

チームとしてのフィロソフィーがブレることで、結果としてACLはファイナルまで進めた。組織ではなく個の戦いで勝ち進み、あと一歩でアジアの頂点を獲るところまで行けた。F・マリノスのACLの歴史は、組織的に戦ってベスト16やベスト8止まりだった気がする。チーム力ではなく個々の頑張りで決勝に進めたのは新しい発見だと思う。

 

 

 

 

反対に、Jリーグで組織力に優れたチームとの戦いになると、なかなか勝てなかった。勝っている時も前線にいるブラジル人選手の個の能力に頼る部分が大きくて、日本人選手が単独で相手を崩すシーンは少なかったはず。でも個人で考える力は育まれたと思うから、勝てなくても無駄な時間だったとは思わない。

 

 

 

 

 

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