端戸仁、比嘉祐介、奈良輪雄太。彼らは公式戦出場に飢えている [天皇杯3回戦大分戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,763文字-<無料>
2回戦勝ち上がりから中2日で早くも天皇杯3回戦を迎える。対戦相手はJ2の大分トリニータで、会場は大分銀行ドーム。つまりアウェイ遠征のような形となる。天皇杯制覇のためにはもちろん勝利が必要で、負ければ今大会は終了する。あらためて言うまでもなく90分で決着がつかなければ延長戦に突入し、最後はPK戦まで可能性がある。
留意しなければいけないのは、その大分戦から中2日でリーグ第14節・ヴィッセル神戸戦があることだろう。MIOびわこ滋賀との再開試合から考えると中2日、中2日での連戦となる。再開試合は延長戦を含めても約45分間のゲームだったため、さほど疲労は残っていないだろうが、アウェイの大分戦は厄介である。往復の移動に加えて、ナイターゲームのため後泊しなければならない。体力的な負担は少なくない。
そんな中、エリク・モンバエルツ監督はリーグ戦にも色気を見せている。順位表を見るとかなり厳しい状況ではあるが、残り4試合でどれだけ上位に迫れるか。川崎フロンターレや鹿島アントラーズとの直接対決を残し、上位陣同士の対戦も多く組まれている。他力本願だとしても、一つでも多く勝って少しでも順位を上げたい。明日の大分戦は3回戦突破だけでなく、どれだけ余力を残して神戸戦に迎えるかも大きなポイントだ。
そういった状況を踏まえて、試合に臨む11人は予想フォーメーションのとおりである。リーグ戦の主力選手の半数以上が先発出場する見込みで、メンバー入れ替えにもそれぞれ理由がある。まず右足首を痛めてベガルタ仙台戦から欠場している齋藤学は、いまだ完治していない。週末の神戸戦に間に合うように調整しているが、果たしてどうか。両SBもそれぞれ問題を抱えている。ここまでリーグ戦フルタイム出場している下平匠は疲労を抱え、右SB小林祐三は右ひざの状態が万全ではない。下平は遠征に帯同せず、小林はベンチには入るが2回戦同様に先発しない。
それぞれのポジションに入るのは右MFに端戸仁、左SB比嘉祐介、右SBはMIOびわこ滋賀戦に続いて奈良輪雄太となる。彼らはリーグ戦でなかなか出番を得られていないだけに、公式戦出場に飢えているはず。ここではチームの勝利を最優先としながらも、それぞれの良さを出してほしい。先日の奈良輪のプレーは良きお手本で、端戸や比嘉にも期待したい。
また、中村俊輔に関してはコンディションの問題ではなく、あえて先発を外れる模様だ。このポジションには藤本淳吾という実力者がおり、安心して先発を任せられるということだろう。本来ならば同じ理由で中澤佑二も温存したいところだが、栗原勇蔵は依然として万全の状態ではない。ベンチには入るがスタメン出場するのは中澤だ。
そのほかのベンチメンバーは矢島卓郎や兵藤慎剛、天野純といった面々となる。試合展開次第では早めの交代も十分に考えられる試合だが、そういった展開をいかにして作るか。早い時間帯に先制点を奪って試合を優位に進めたいが大分はそれを許してくれるかどうか。MIOびわこ滋賀戦同様に、スコアレスの展開が長く続くのは得策ではなく、早めの大勢決着を目指したい。藤本を起点としたセットプレーを有効活用すべきだろう。
【この試合のキーマン】
MF 25 藤本 淳吾
11日の天皇杯2回戦・MIOびわこ滋賀との再開試合に続いてトップ下で先発濃厚だ。その試合ではディフェンスラインからボールを引き出しつつ、前線やサイドにパスを供給してリズムを作った。限られた時間の中で及第点のプレーを見せたが、一方でアピール度は低かった。
この試合は再テストと位置付けていいだろう。ほしいのは目に見える結果で、それを達成するためには伊藤翔の近くにポジションを取る必要がある。また、セットプレーのチャンスでは積極的に狙ってもらいたい。キッカーとしての資質は日本人トップクラスで、技術はそう簡単に錆びつかない。
ベンチには中村俊輔が控えており、展開次第ではスイッチする可能性がある。そうならないためにも藤本は序盤から存在意義を示さなければならない。
[編集部より]
天皇杯三回戦大分戦のレビューは、都合によりお休みさせていただきます。大変申し訳ありませんが、よろしくご理解のほどお願いいたします。