「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

最低限のやるべき事すら欠いた必然の惨敗。自分たちの甘さを直視せずにJ2残留はない。【J2第17節 ジェフユナイテッド千葉戦 レビュー】(23.5.22)

2023明治安田生命J2リーグ第17節

2023年5月21日14時キックオフ フクダ電子アリーナ

入場者数 6,533

ジェフユナイテッド千葉 1-0 栃木SC

(前半0-0、後半1-0)

得点者:78分 小森飛絢(千葉)

天候 晴のち曇
気温 25.4℃
湿度 60%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 41 藤田 和輝
DF 5 大谷 尚輝
DF 15 岡﨑 亮平
DF 6 大森 渚生
MF 23 福島 隼斗
MF 4 佐藤 祥
MF 24 神戸 康輔
MF 30 福森 健太
FW 8 髙萩 洋次郎
FW 37 根本 凌
FW 19 大島 康樹
控えメンバー
GK 1 川田 修平
DF 21 吉田 朋恭
MF 10 森 俊貴
MF 36 山田 雄士
MF 7 西谷 優希
FW 32 宮崎 鴻
FW 38 小堀 空

54分 大谷→森
54分 髙萩→山田
67分 神戸→西谷
67分 根本→小堀
81分 大島→宮崎

 

▼最低ラインを超えていない

サッカーチームはクラブが投じる強化費でだいたい順位が決まる。古今東西、そういうものだ。

栃木の強化費はJ2で下の方だから、だいたい順位も17位とか18位とかに落ち着くのが相場になる。たまたまいい選手が揃うタイミングが合うと市民クラブでも5位とかに行ける場合もあるが、たいてい長続きしない。栃木も2020年に明本考浩(現浦和)がいたので10位になった。

今季のチームも最低限のことをやり続ければ15位くらいには落ち着くかなと見ていた。その上で、有力な選手を補強し、既存戦力が成長できれば、もっと上にも行けるかもしれない、J1昇格プレーオフ圏内入りもワンチャンあるかもと思っていた。実力伯仲、拮抗したJ2ならばありうると。

ただ、それは最低限のベースをどの試合でも発揮し、その上に、2階建て部分を積み上げることがうまくできたならば、という条件付きだ。2階建て部分を積み上げるのは簡単ではないし、時間がかかるので、頑張ってほしいとしか思わないし、気長にやってほしいとしか思わない。

ただ、最低限のベースとなる1階部分については、話は別だ。ここはいつ何時でもマストで欠かしてはいけないし、僕が厳しく見ているのはその有無でしかない。

最低限のベースというのは、走る、戦う、切り替えを速くする、というサッカーの本質と言われる部分を指している。それをどの選手が試合に出ても、どんな相手でも、それなりのレベルでやり切る必要がある。

それは”栃木らしさ云々”なんてことではなく、J2でチーム強化費が下位のチームがJ2で生き残るために必要不可欠な作業だということ。うまくないチームがうまいチームに対抗するためには、最低限、走り、戦うことで上回らないといけない。他に上回れるものがないのだから、そこで上回って初めて同じ土俵に立てる。現代サッカーはうまいチームの選手たちが必死に走り、戦ってくるのだから、うまくないチームがマストで最大値を出すのは当たり前だ。

そして、走り、戦うことは、やろうとすればできる。選手によって得意・不得意、キャラクターの違いはあるが、ある一定のレベルは出力できるし、やろうとする姿勢は見せられる。

J2の下位にいる栃木がずっと大事にしてきたことはそういう部分だ。J2の下位という立ち位置である以上、そこはマスト。それが最低限。それをベースにして2階建て部分を積み上げていきましょう、というのが今季のチームの方向性だった。

 

だが、今節の千葉戦(●0-1)にはその最低限すらなかった。話にならない。

なぜ、選手が入れ替わるとこうも前線のプレッシャー強度が落ちてしまうのだろうか。「前へ」矢印を向けて、走り、戦うことを強調しているのに、なぜそれがなくなってしまうのだろうか。

相手があれだけ余裕を持って蹴り込んだロングフィードからチャンスを作っているのに、なぜ栃木の前線は出所を抑えようとスプリントして抑えにいかないのだろうか。

もちろん、出所が抑えられていない以上、出てくるフィードに対して、最終ラインはよりアラートに相手FW勢の動き出しに対処しなければならないし、一発のロングフィードからあれだけ決定機を作られてしまっている状況はいただけなかった。

試合後には「そこを(CBが)食い止めねえと試合にならねえよ!」という選手の声がCB勢に向けられたそうだが、今節、後ろの選手たちがアラートさを欠いていたのは間違いない。

ただ、あんなに余裕を持ってロングフィードを入れさせてしまっている以上、CB勢にも「もっと前がプレスを掛けて限定してくれよ」という言い分はあるに違いない。

 

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