「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

3失点惨敗。覇気がない幼いチームは変われるか?【J2第10節V・ファーレン長崎戦レビュー】(19.4.21)

2019明治安田生命J2リーグ第10節

2019年4月20日18時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム
入場者数 3,947人
天候 晴れ、無風
気温 13.8
湿度 49%
ピッチ 良芝、乾燥

栃木SC 1-3 V・ファーレン長崎
(前半0-3、後半1-0)
得点者:8分 香川勇気(長崎)、22分 香川勇気(長崎)、40分 呉屋大翔(長崎)、90+2分 大黒将志(栃木)

<スターティングメンバー>

GK 50 ユ ヒョン
DF 27 久富 良輔
DF 4 藤原 広太朗
DF 15 森下 怜哉
MF 40 寺田 紳一
MF 5 ヘニキ
MF 20 岩間 雄大
MF 14 西谷 優希
FW 9 大黒 将志
FW 10 西谷 和希
FW 21 大﨑 淳矢
控え
GK 23 川田 修平
DF 44 福田 健介
DF 30 田代 雅也
MF 37 浜下 瑛
MF 11 平岡 翼
MF 6 古波津 辰希
FW 19 大島 康樹

田坂和昭監督

46分 森下→田代
46分 ヘニキ→浜下
76分 大﨑→大島

キレのあるプレーで反撃の起点になった浜下瑛。(撮影は永島一顕)

終了間際のPKを冷静に流し込んだ大黒将志。(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

 

▼幼いチームの治らない失点癖 

今の栃木SCを倒すのは簡単だ。どんどん攻撃的に行けばあっさり受け身になってくれるので、嵩に懸かって攻め続ければいい。ゴールを奪えたら彼らは下を向く。追加点のチャンスだ。一気に勝負を付けるチャンスだ。

8分、CKから中央で188㎝イサンミンに先に触られるとファーでフリーになった香川勇気に決められた。

22分、再びCKから中央のイサンミンの背後にポジションを取った香川勇気に合わせられて2失点目。

40分、相手がゴール前に上げたフィードを森下怜哉がセルフジャッジで背後へ流し、相手のマークについていた久富良輔もオフサイドだとアピールしてプレーをやめたがオンサイド。ボールを受けた呉屋大翔にあっさりと3点目を押し込まれた。これでゲームは終わった。

 

ハーフタイム、田坂和昭監督はこれまでにない檄を飛ばして選手たちをピッチに送り出した。試合後の記者会見に登壇した指揮官の紅潮した顔や激しい口調から察するに、ハーフタイムのロッカールームの厳しい状況は容易に想像できる。

後半、ガラリと雰囲気が変わった栃木の選手たち全員の運動量が上がり、球際の激しさが増し、セカンドボールを奪い続けて、相手を押し込むなかで1点を返した。

確かに長崎が3点をリードし、無理をしなくなった側面はあるが、後半あれだけアグレッシブに追い回し、奪ったボールを繋ぎながら崩せているにも関わらず、前半に先制されたあとにすぐに切り替えて、後半見せたような、闘う意志を全面に出すことができなかったのはなぜか。

藤原広太朗がいう。

「試合に勝てていないことで、(先に)失点してしまうことの怖さがあり、それで前半は受けに入ってしまう。そして、安牌になるような(リスクを冒さない)ボールの動かし方をしてしまったり、守備も人によってスペースを埋めているからOKになっている。そうではなくて、ボールを奪いにいくような守備をやらないといけない」

そしてDFリーダー藤原広太朗は「自分はそういう守備がしたいんです」と言った。

 

8分に失点、22分に再失点しても、一向にギアが上がってこない。攻めるためには相手に圧力をかけてボールを奪わないといけない。だが、これは毎試合変わらないのだが、守備をセットしただけでボールを見てしまっている。人によってスペースを埋める、そのためにきっちりスライドする、という作業はやっているので、相手にスペースを与えていないし、ゴールへの道筋は守れている。

だが、それは守備のため守備だ。自分たちがゴールを奪うための、攻撃するための守備になっていない。時間帯によってはそういう割り切った守備をすることは必要だが、割り切って耐える守備の時間が長すぎる。どの試合もだ。アウェイ柏戦はあれで勝点1を奪えたから良しとすべきだが、どの試合もベタ引きの根性ディフェンスが称賛されるものではない。ときに、臆病者の戦い方だと嘲笑される対象になることも忘れてはいけない。

田代雅也がいう。

「相手の前でインターセプトしたり、相手が後ろを向いてる状態で足を伸ばしてボールを突っつけるシーンは結構あると外から見ていても思います。球際の部分でいかにアグレッシブにプレーできるか。それをチームとして個人としてもっとできれば、もっと自分たちの攻撃に繋がると思うんです」

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