「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【コラム】栃木SC 残り6試合に向けて守備の再整備は必要、キーマンとなる選手は?

リカルド・ロボをどう考えるか

 

今季の栃木はリーグ最少失点の泥臭い守備が武器となり勝点を積み重ねられたのは言うまでもなく、逆にいえば、直近3試合で先制点を奪われていることが勝点を伸び悩ませている最大の要因であることは明らかだ。

 

守備のテコ入れをせずに優勝はないといっていい。

  

チームが10連勝したときと、今と、その違いはといえば、フォワードにリカルド・ロボが加入したことだ。

ロボが加入したことでFWMFDF3ラインで構成する守備ブロックのバランスが若干だが崩れていることは、以前と以後の大きな違いである。

 

夏季中断明け、21C大阪U-23戦でスタメンを飾ったロボは、大石と2トップを組んで、前線で絶妙な連携を披露、チームのパワーとなった。

この試合は栃木が攻守に主導権を握り、ボール保持率も高く、結果30で完勝した。自分たちの守備が問題になるシーンはほとんどなかった。

 

22節相模原戦は、ロボはケガのためにお休み。チームは相手CKから17試合ぶりに先制ゴールを許した。これは一瞬の気の緩みが原因だった。指揮官の言葉を借りれば「CKの守備でやるべきことをやっていない選手がいた」という隙から喫した失点だった。しかし、これはすぐにでも修正可能なポイントなのでさほど問題ではなかった。

 

 

しかし、だ。

23G大阪U-23戦、24FC琉球戦、この2試合に共通していえるのは、チームの守備の重心がやや下がりすぎてしまったことだった。相手の両チームはともに、リーグトップクラスのボールポゼッション率を誇り、攻撃的なチームであり、栃木は相手に押し込まれながら耐えてゲームを進めることになった。そしていずれの試合でも先制ゴールを許した。

 

栃木は、10連勝している頃であれば、しっかりとバランスのよい守備ブロックを作って守備で応戦、奪ったボールから素早くカウンターへ移行することを目指してバランスよく戦っていたが(各試合に押し込まれて耐える時間帯も多々あったし、カウンターがうまく決まった数は決して多くはないが)、とりわけ、23節、24節の試合の展開は、チームの重心が下がるだけ下がり、カウンターに勝機を見出すところまでほとんどいけなかった。シュート本数はそれぞれ7本(相手12本)、4本(相手16本)だった。

 

ボール保持率が極めて高い相手にやられた、我慢して戦えばいい、と割り切れればいいのだが、残り6試合でも栃木よりここまでのポゼッション率が高いチームはいくらでもある。同じようにチームの重心が下がり、なかなか攻撃にいけない、となる可能性はあるだけに、全体の守備バランスが崩れているのは気になった。

 

その最大の要因は、ロボの存在にあったように思う。

守備ブロックを築き、相手ボールにバランスよくアプローチするためには、まずフォワードによるファーストディフェンスが欠かせない。

 

以下、ダイジェスト映像を張り付けておこう。

 

 

琉球戦の失点シーン(動画の1分21秒~)は、相手のボールホルダーに栃木のボランチ、本間と西澤の間を射抜かれるところから始まっている。

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