「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「今日の勝利は、選手たちが覚悟を決めて90分間を戦い抜いてくれた結果だった」+大宮・石井正忠監督、三門雄大、茨田陽生【大宮アルディージャ戦/監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ第2節・3月4日(日)14:00キックオフ
町田市立陸上競技場/8,839人
FC町田ゼルビア 3-2 大宮アルディージャ
【得点者】町田/8分 深津康太、24分 鈴木孝司、79分 中島裕希 大宮/65分 ロビン・シモヴィッチ、67分 大前元紀

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「非常に良い天候に恵まれたホーム開幕戦になりましたが、9,000人に迫るたくさんの方々に集まっていただきました。最初のバス入りからわれわれを勇気づける声援を送ってくださったことに感謝しています。なかなか昨季はホームで勝てませんでしたが、今季は幸先よく勝利でスタートすることができました。みなさんの『今年こそは』という声援や思いが選手たちや生き物であるチームにも伝わった結果なのかなと思います。

ゲームのほうは風がかなり強い気象条件下でお互いに風に対して気を使う展開だったと思います。大宮さんも石井さんが監督になられて、縦への意識が強いチームになっていたため、上のボールが多い展開になっていました。前半は風上の中で前向きにボールを取れる展開を作りながらセットプレーで先制点を取り、ボール奪取からのショートカウンターで2点目を取って折り返すことができました。前半は陣形がコンパクトだったことも含めて選手たちは良い試合をしてくれていました。

後半は風下の展開となり、大宮さんも圧力をかけてくる中で、次第にセカンドボールを拾われる展開が増えていきました。またラインもコンパクトさを失う展開になっていました。前がかりになっている大宮さんに対して、何度かチャンスを作る中で孝司にもビッグチャンスがありました。そうしたチャンスを決め切ることが大事になると選手たちに話して後半を迎えていましたが、チャンスを決め切らないと2-0から難しい展開に陥りがちです。

昨日のJ2でも2-0から2点差を追いつかれる試合が2試合もありましたので、そうした難しさがある中で、3点目を取ることも大事です。また、点を取れない中でどうメンタリティーをコントロールしていくか。そういった難しい課題を突きつけられた試合でもあったと思います。

昨季のホームゲームでも最後に追いつかれることや、最後にうっちゃられたりする試合が多かったのですが、2-2に追いつかれた中で一度突き放し、勝利に持ち込んでくれた理由として挙げられることは、選手たちへ今までとは求めてきた基準を変えるよと話している中で、それを選手たちが覚悟を決めて90分間を戦い抜いてくれた、その結果かなと思っています。

先ほども申しましたが、追いつかれることは良くない展開ですが、追いつかれた中でも3点目を取らせずに、勝ち越し点を取ったことは自分たちが前に出ることにつながると思います。もちろん反省点はありますが、選手の成長を感じながら次に進んでいけると思っています。あらためて、たくさんのサポートに感謝申し上げます」

ーー途中からドリアン・バブンスキー選手を起用し、終盤には鈴木孝司選手をボランチに配置しました。その意図と効果を聞かせてください。
「ドリアンに関しては、後半は風下でボールが奥まで行かずに、相手の両CBにバチンとはね返される場面が増えていたことでなかなかセカンドボールを拾えていませんでした。前半は相手のCBが下がりながらの対応を強いられる形に持ち込めていましたが、後半は前向きにボールを拾えない展開になっていました。その中でドリアンを起用したことにより、相手に自由にやらせないことで前でマイボールになる回数が増えたかなと思います。

ドリアンにはゴール前に入る回数を作ってほしいと指示を出した中で、ゴール前まで入っていくシーンを作れていました。今日に関しては彼のポストワークとランニングのプレーをしてほしいと期待して送り出しました。その中で攻撃の時間を増やすことができました。3点目はセットプレーの形からでしたが、前でポイントを作れたことがゴールシーンにつながったと思っています。孝司のボランチに関しては、アクシデントもありましたので、緊急でボランチに入ってもらう形になりました」

ーーシーズンの目標を6位以内に定めている中で、ホームのサポーターに向けて、今季は違うぞという意思を示すホーム開幕戦だったと思います。その中で違いを見せられたと思う部分をあらためてお聞かせください。
「2-2まで追いつかれたことで見ている方々は『またか』と思ったかもしれません。それで終わらなかったことがすべてです。いろいろな部分で選手たちが昨年とは違うということを思いながら、日々のトレーニングを積んでいる結果ですし、それは決して目に見えるものではないかもしれませんが、そうした姿勢がずっと続いていれば、追いつかれるようなこともなかったと思います。それでも、前に出る姿勢を出して、最後まで守り切ることができました。ただお互いにそのほかにもビッグチャンスがありましたから、相手のそれが決まらなかったということは多少のツキがあったのかもしれません。そういったことを含めて、今年は違うぞ、ということをお見せできたと思います」

ーー前半から風上で攻めたいということは、事前に意図されていましたか?
「それは選手が決めたと思います」

 

■石井 正忠監督(大宮)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日の試合は前半を0-2というスコアで折り返しましたが、後半はまず1点ずつ追いつくということを話して、ハーフタイムに選手たちを送り出しました。まずはしっかりと追いついてくれましたし、後半のほうが当然チャンスはあったので、逆転しようというつもりで戦っていましたが、それができずに非常に残念な結果に終わってしまいました。

今日は自分たちのサッカーをやらせてもらえなかったです。町田さんのハイプレッシャーやセットプレーの精度が非常に高かったです。ただこれからもこういうタフな試合が続くと思うので、それに打ち勝つようなチームをまだまだ積み重ねていかないといけないかなと、あらためて感じました。

今日は多くのサポーターの方々にも来ていただいて、声援ではホームゲームのように私たちをサポートしてくれました。その後押しもあって、後半は追いつけたと思っています。ファン・サポーターの方々に勝ち試合を見せられずに、本当に残念な気持ちでいっぱいです」

ーー前半は結果だけでなく内容でも苦しくなってしまいましたが、その原因は?
「ウチがボールを回す展開よりも、相手のプレッシャーが非常に速かったです。そして、セカンドボールを相手がほとんど拾える状態だったので、そのあたりの戦い方が町田さんは徹底されているなと感じました。もっとシンプルに切り替えて相手の背後を取るようなプレーをしても良かったんじゃないかと思いますし、前半の途中から切り替えられなかったです。そういう指示を出せなかったのは、私の責任だと思っています」

ーー前節から横谷繁選手と清水慎太郎選手に代えて、嶋田慎太郎選手と大前元紀選手を起用したが、その意図と評価は?
「二人の先発メンバーを入れ替えた理由は、相手のハイプレッシャーに対して背後に出る動きを徹底したいという意図で、その二人を起用しました。風の影響や相手のプレッシャーが思ったよりも激しかったことで、私の意図とは違った部分もあったかなと自分自身で反省している部分もあります。代わって入った選手たちにはそれぞれ役割を話してピッチに入ってもらったので、それに関してはしっかりやってくれたんじゃないかなと思っています」

ーー相手はセットプレーから開幕戦で2点を取っていますが、どういった点を警戒して試合には入ったのでしょうか?
「ウチはマンマークをやっているので、マークの徹底をしていました。キックの精度に関しては平戸太貴のキックの精度が良いことは分かっていますし、開幕戦で2点を取っていることも分かっています。マークに行くタイミングもそうですし、町田さんもゴール前への入り方も工夫しています。セットプレーの守備に関してはもっと徹底する必要があります」

ーーセットプレーのキックの精度が想定を越えてきたのか。それとも守備の部分でミスがあったのでしょうか?
「マークが一瞬遅れると、セットプレーはどうしても失点をしてしまうので、その部分なのかなと思います」

ーー平戸選手は彼がトップチーム昇格1年目で石井監督が指導にあたっていると思います。今日の彼のプレーを見て、何か感じたことはありますか?
「彼は鹿島にいる頃から能力のある選手でした。さらに町田さんで力をつけて、レギュラーも獲得しています。その持っている力を十分に発揮していると思います」

 

■MF 7 三門 雄大(大宮)
思ったよりもボールが走らなかった
「前半は0-0で耐えて、後半に風上になった展開で仕掛けていくとか、そういう展開に持ち込めれば良かったなと思います。もう少し考え方を変えながら戦えれば良かったです。

(大前のゴールシーンを振り返って)町田さんはプレッシングをかけてくる時に展開できないようなプレッシングを仕掛けてきますが、一人でもプレッシングが遅れると、反対サイドが空いてくるので、あのゴールシーンに関しては、シマ(嶋田)がうまく中に入ってきてくれて、大ちゃん(渡部)をフリーにしてくれました。あのような形をもっと増やせれば良かったですし、狙いどおりの展開ではあったと思います。相手がボールウォッチャーになった中で(大前)元紀の良いヘディングシュートの形でした。ピッチも硬く、風が強い影響もあったので前半は難しかったですが、後半は風上をうまく利用する形を作れてはいたと思います。3点目を取れれば一番良かったです。

戦い方の意識は統一できていましたが、思ったよりもボールが走らなかったです。キクさん(菊地)や山越からの横のボールを相手は狙っていたと思います。左サイドではそんなにプレッシャーを感じなかったのですが、左がハマったなと思っている中で、山越がサイドを変えようとした時には、相手の中島選手や鈴木選手が非常に狙いを定めてきました。前半はうまくやられてしまいました」

 

■MF 8 茨田 陽生(大宮)
相手の思いどおりになってしまった
「相手はすごくコンパクトでしたし、ボールを奪われたあとは、ポンポンとボールをつながれて、相手のサッカーにハマってしまいました。コンパクトであることは分かっていましたし、サイドに展開をしてそこで起点を作って攻めるプランはありましたが、サイドチェンジできずに相手の思いどおりになってしまいました。

今年は2点差を追いつく力はありますし、そこからあと一押しでした。自分の位置も含めて、ボランチの位置からもっと前に出て、点を取れれば自分たちの流れになったと思います。ただチャンスの回数は少なかったです。やはりもっとボランチの位置からチャンスを作らないといけません。反省点もある試合でした。

(ダブルボランチを組む三門との役割分担について)ミカさんが上がった時に僕がバランスを取りますし、僕が上がればミカさんがバランスを取ってくれます。お互いを確認・尊重しながら、プレーできていると思います。

(2トップの生かし方について)相手は片方に寄るので、スローインからマテウスがサイドチェンジでチャンスを作れた場面があったように、そういう形を作れる回数を増やしていけば、(大前)元紀くんやシモビッチを生かす形を作れたのかなと思います」

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