「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第17節・町田vs清水/町田・相馬直樹監督、清水・小林伸二監督、北川航也選手、白崎凌兵選手コメント(4,901文字)

■明治安田生命J2リーグ第17節・6月8日(水)19:00キックオフ
町田市立陸上競技場/6,171人
FC町田ゼルビア 1-2 清水エスパルス
【得点者】町田/88分 鈴木孝司(PK) 清水/11分 大前元紀(PK)、82分 北川航也

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今季初めての平日のナイターゲームにたくさんの方に集まっていただきました。また清水からもたくさんの方に来ていただいて、良い雰囲気の中で試合をさせていただきました。われわれはまだ、Jクラブとしては駆け出しと言える中で、クラブの前身であるFC町田が少年サッカーの街として、清水に追い付け追い越せとやってきた中で、実際にトップという同じ土俵で清水さんと対戦できることは、町田というこの地域で少年サッカーに携わってくださった方々にとっては、非常に大きな日であったと思っています。そういう日に多くの方に集まっていただいて、そのことに対して感謝するとともに、勝利を分かち合えるようにしたいと思っていましたが、あと一歩及ばず敗戦ということになりました。この連戦の最中ではありますが、最後まであきらめない姿勢を発揮したことも含めて、選手たちは120%に近い力を出し切ってくれたと思っています。負けは負けですから、良い負け方も悪い負け方もないと思いますが、ただ集まってくださった方々には、また次も応援してもらえるような戦いを選手たちがしてくれたと思っていますし、そのことに対しては選手たちに感謝しています。また最後まであきらめないような戦いができる雰囲気を作ってくれた方々に、あらためて感謝を申し上げたいと思います。

ゲームの方は、前半は名前負けしたということはないと思いますが、出足が悪く、われわれらしい球際の攻防や勇気を持ったプレーが少ない立ち上がりとなりました。その中で先にPKを与える形で失点をしてしまいました。そのシーンもキャラ(カルフィン・ヨン・ア・ピン)選手は、前半からなかなか攻め上がることはないのですが、古巣との試合だったということも影響してか、前へ攻めに出ていった中で背後を突かれたような形でPKを取られてしまいました。彼を責めようという話ではなくて、まだ彼とはその話をしていませんが、ほかの選手が(相手を)恐れてチャレンジしていないように感じたことで、自分で攻め上がっていったんじゃないかとも思います。われわれとすれば、キャラが行ったチャレンジに対して、ほかの選手が埋めてあげられるようなチームになろうとここまで戦ってきていますが、その一瞬の中ではそれができずに、ビハインドを背負い、その結果、ゲームが難しくなってしまいました。

後半は勇気を持って、前掛かりになってくれましたが、そこに落とし穴があって、追加点を取られてしまいました。これはあそこで点を取られなければと『たられば』の話になりますし、先ほど選手たちへ良い戦いをしてくれたと感謝の気持ちを述べましたが、前半から勇気を持った、われわれが相手に噛み付くような戦いができていれば、ビハインドを背負うこともなかったかなと思いますし、それができれば勝利につなげられるゲームになったのではないかなと思っています。ただ、その一方で僕がどうその力を出すかという部分が、一歩足りなかったのかなと思います。すぐに次の試合もありますので、選手たちの戦いぶりに感謝しつつ、そのあたりを踏まえて、勝利につなげられるように、私自身も含め、前を向いて次の水戸戦の準備をしていきたいと思います」

ーー戸島選手を途中で起用する際は、戸島選手をサイドハーフに置くことが多い中、今日に関しては戸島選手がトップ、中島選手がサイドハーフのポジションに入りました。その意図は?
「戸島をサイドに配置するのは、リードをしているか同点の展開のときだと思いますが、今回はビハインドの状況でしたので、戸島をトップに置きました。もう一つの意図は、清水さんがサイドを抑えようという守備の狙いを持って戦ってきた部分がありましたので、われわれとすれば、いかにゴール前にボールを運ぶかという過程で、シンプルに真ん中にボールを入れることで、相手がそれに対して下がることや、真ん中にボールが集中した中で、逆にサイドが空いてくるのではないかということを期待して、戸島を前線に配置し、攻撃を組み立てる形にしました」

ーークラブとしては前身のFC町田が清水FCに追い付け、追い越せと歴史を積み上げてきた中で、今回、清水エスパルスと戦うという歴史的な日を迎えました。今回、清水と戦ったことで学んだこと、得たものはありますか?
「そういう観点でまだ振り返ることができていませんが、ただわれわれが悪い立ち上がりになってしまったことを突いてきたこと、そしてわれわれのストロングポイントを消されたなと感じることが多々あった中で、それが清水さんとわれわれのクラブとの差と表現していいのかは分かりませんが、そこまでわれわれが受け身に入る必要があったのかなと思っています。私としてはそういう試合の入りにしてしまったという反省点があります。次の対戦では清水さんのホームスタジアムがサポーターの声が反響するようなスタジアムであることも分かっていますし、アウェイの環境の中で、今日以上の戦いをして、勝利に持っていけるように、そこまでチーム力を積み上げていけるようにしたいなと思っています」

 

■小林 伸二監督(清水)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「苦しいゲームだったが、勝ち点3が取れたことをうれしく思う。なかなかボールが回せない中、守備陣が良く頑張ってくれた。(相手が)前がかりになっている中、そこをうまく利用して得点を取れたが、ラスト15分はシステムを変えたりメンバーを代えたりで戦っていたが、町田は最後に点を取っているチームなので、やはりそこでやられたなと思う。どうにか勝ってホームに帰れるので良かったなと思っている」

ーー今日の勝因は?
「相手の最終ラインが浅いことを突いて、裏に白崎がよく飛び出してうまくPKが取れたことが一つの勝因だと思う。初めてのレフェリーということで様子をうかがっていると、前半の立ち上がりで(PKを)もらえたので、恐らく逆があるなと思いながら、それは選手たちに発信していた。そのことは選手たちに守備の面でうまく伝えられたと思うが、案の定やはりやられてしまった。あとはボランチを堅くして、しっかり守るべきところを守ったことが良かったと思う」

ーー枝村選手を先発で起用しましたが、その狙いと評価は?
「1回は飛び出して1回はサイドで起点を作ってくれたので、ずいぶんコンディションは上がっているなという印象です。やはり彼は(ボールが)収まる。ただ、もう少し川口が中途半端なポジションを取って枝村を生かせれば、彼の良さが出たのではないかと思う。後半の立ち上がり、少ししんどそうだったので交代させたが、本人はあのあと(コンディションが)元に戻ったというぐらいなので、もともと体力はあるからうまく使っていきたいし、ウチは全体的に背が低い選手が多いので、(彼が入ることによって)上背が高くなることも合わせて今日は良かったと思う」

ーー次節を日曜に控えているが、大前選手を欠くかもしれない状況の中、どのように戦いますか?
「彼は今日の試合でも点を取っているし、点を取るということはボールが集まるという証拠。でも途中で彼は狙われることとなった。そうなったときに、彼は引いたり、ワンタッチで周りにパスをはたいたりと、工夫することができる。ただ今度は彼がいないとなると、もしかしたらボールが組織的に流れる可能性もある。大前選手がいることによる良さもあるし、(彼がいないことで)もう少しコンビネーションができる可能性もあるので、そこは大事にしていきたいと思う。出ていない選手の中にも、ほかに良い選手はいるので、彼らをうまく使いながら個人ではなくて、チームとしてコンビネ-ションを発揮できるようになっていければ。そうなれば、彼が帰ったときには、もう少し個人の良さも出てくると思うので、そのような形を取れれば良いと思っている」

ーーゴールを決めた北川選手に対しての評価は?
「ホームのときもそうだったが、なかなか(相手最終ラインの裏へ)飛び出しての得点は取れていなかった。今回は浅いラインの裏へよく飛び出してくれたし、後方から来たボールをインステップでうまく収めてくれたと感じている。(彼は)若いので、今回のゴールが自信を持って次につながってくれれば良いと思っている」

 

■FW 23 北川 航也(清水)
勝利につながるゴールを決められて良かった
「元紀くんがいないから何もできないと言われたくはないし、そういう気持ちはみんなが思っていると思うので、その中でチャンスをモノにできて良かった。(ゴールを取れたことで何か変わるきっかけになりそうですか?)次がすごく大事だし、これを続けるということと、今日の1点では満足せずにもっと詰めていきたい。(次の横浜FC戦に向けて)まず元紀のために勝たないといけないと思っている。元紀くんがいないから何もできなかったと言わせないことと、自分が出たらきっちりと仕事をしたい。ホームで点を取りたい。(得点シーンについて)ボールが上がった瞬間はまず止めることを意識した。そのあとのシュートが良い意味で割り切って外れてもいいと思っていたし、まずボールが止まったところでリラックスできたことがゴールにつながったと思う。(大前選手が離脱したあとのハーフタイムでのロッカールームの雰囲気は?)元紀くんがいないことは事実で負けるわけにはいかず、今まで以上に気合が入っていた。(ゴールについて)やっと自分の形で入ったなと思う。ユースのときはそういう形が多かったけど、プロのレベルだと難しい部分があるので、気持ち良かった。終わったあとミツくん(六平)と話したけど、ボールがむっちゃ高かったですと。『なんであんなに上げたんすか?』と聞いたぐらいで(笑)。どんな形でも決められて良かった。やっと勝利につながるゴールが決められた。点を取ったとしても、チームが勝てないと素直に喜べばない。自分のゴールが勝利につながって良かったと心からそう思う。チームのために仕事をすることが大事。それが昇格につながる。上との順位を縮めるためにも、町田という調子の良いチームとの試合を落とすわけにはいかなかった。そういう試合で勝利につながるゴールを決められて良かったし、勝てたことも良かった。次の目標はホームで勝利につながるゴールを決めたい」

 

■MF 39 白崎 凌兵(清水)
斜めの動きをすれば相手も付いてこられないなと思っていた
「難しい試合になることは分かっていたし、勝てたことが良かった。相手のCBがそんなにスピードはないと思っていたので、テセさんがボールを持ったときに斜めの動きをすれば相手も付いてこられないなと思っていて、良いボールが来たし、良い位置にボールを置くこともできた。(球際の攻防が激しいゲームになりましたが?)球際の激しさや攻守の切り替えは厳しい試合だったし、最後の最後まで苦しかったけど、リキさん(杉山)を中心にしっかりと全員で守ることができた。本当に勝てて良かった。前半は元紀くんが点を取ってくれて、元紀くんが戦っている中でけがをしてしまった。自分たちも負けていられないなと思った。後半に入るときに、『元紀くんのために勝って帰ろう』と話している中で、勝てたことはチームとして前進できた部分もあったと思う。あそこで一歩引いたら、押し込まれていたと思うし、元紀くんが戦うことでみんなに戦う姿勢を示してくれた。僕たちももう行くしかなかった。最後は危ないシーンもあったけど、上位チーム相手に勝てたことは次につながる。3連戦は1勝1分。ホームで勝って、今日の勝利でサポーターの期待をしてくれると思うので、その期待に応えられるように頑張っていきたい」

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