「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】【マッチレビュー】フットサル全日本選手権準々決勝・すみだ vs 町田/連覇の夢、潰える……。ペスカドーラ町田、ベスト8敗退

■第22回全日本フットサル選手権大会 準々決勝 3月18日(土)15:30K.O.
国立代々木競技場第一体育館/2,618人
フウガドールすみだ 1-2 ペスカドーラ町田
【得点者】すみだ/21分 宮崎曉 28分 清水和也 町田/38分 森岡薫

 

■プレーオフ、激闘の代償

プレーオフ・ファイナル、その激闘の代償は大きかったのかもしれない。

シュライカー大阪との激闘に敗れてから14日。昨年に続く、大会2連覇を目指したペスカドーラ町田は、フウガドールすみだに1点及ばず、ベスト8で全日本選手権の大会を去ることになった。

試合は立ち上がりからすみだペース。失点のピンチは守護神ピレス・イゴールのファインセーブでしのぐ展開が続いた。「外から見ていて、テンションが低いなと感じていた」と篠崎隆樹。プレーオフ・ファイナルで一度、ピークを迎えていたチームは、再び大会の頂点を狙えるほどのトップフォームではなかった。

スコアレスで折り返した後半の立ち上がり、ゴール前中央からすみだ・宮崎曉に右足のシュートを叩き込まれると、28分にもカウンターの展開から清水和也に追加点を献上してしまう。

2点を追う町田は、残り4分の段階でパワープレーを敢行。そして迎えた38分、右サイドの深い位置でボールを受けた金山友紀が中へ折り返すと、そのパスを滑り込みながらも森岡薫が押し込み、1点差に詰め寄る。最後は残り9秒の段階で町田がタイムアウトを取り、CKの策を練ったものの、結局1点及ばず、万事休した。

こうして、全日本選手権連覇の望みは潰えた。しかし、プレーオフ・ファイナルまで進出し、2連勝でしか頂点にたどり着けない中、敵地で1勝を挙げ、トップまであと一歩に迫った躍進のシーズンが色褪せることはない。チームの主将の金山は言った。

「今年はチームとしての階段をまた一つ上がることができた。また来季、プレーオフ・ファイナルの舞台まで勝ち上がって、リーグの頂点を勝ち取りたい。そしてそのリーグタイトルを勝ち取った上で、準々決勝で敗退してしまった全日本選手権の悔しさを来年に晴らしたい」

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

■岡山 孝介監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「プレッシングもそうだし、コンディションの面で差が出たかなと。細かなミスも出た。町田らしい試合ができなかった。もちろん、言い訳ではないですが、プレーオフで2試合タフなゲームを戦って、少しだけ休みを入れて、トレーニングは積んできました。でも疲労が残っていたと思います。ただそれを乗り越えられる体力やメンタリティーを来季は作っていかないといけないと思っています」

ーーリーグ戦でもプレーオフでもすみだとの試合は完勝のイメージでしたが、その試合が今日のゲームに影響した部分はありますか?
「相手どうこうの前の段階でミスが出ていたと思います。いつもないようなマークミスや1対1の対応を含めて、後手に回ることが多かったです。細かいミスが続きました。戦い方というよりも別の原因があると思います」

ーープレーオフでリーグ優勝が手に届くところまでいったあと、この大会に向けて、チームを作ることは初めての経験だったと思います。その難しさもあったのでは?
「でも選手たちは一生懸命やっていました。僕が作ってあげられなかった部分もあったと思います。修さん(甲斐修侍)を優勝して送り出したいという気持ちもありましたし、自分たちのためにも、応援してくれる人たちのためにも、全力を尽くさないといけないといった類のことは伝えてはいました。伝え方やコンディション作りは、僕自身に責任があります。選手たちは練習からよくやってくれていたと思います」

ーーグループステージを戦ってきたすみだに対して、町田はこの大会に関しては初戦だったという難しさもあったのでは?
「僕も経験あるけど、すみだはグループステージで苦しんで勝ち上がってきたチームだから、その分チーム力を上げてくる。そのせいで負けたとは思っていませんが、その影響は関係していると思います」

ーー終わったばかりですが、来季に向けてはいかがでしょうか?
「リーグの終盤になるにつれて、チームの形もできてきたし、今日はうまくいかなかったですが、そういう日もあると思います。ある程度形が見えてきたことに関しては自信を持っていると思います。さらに磨き上げられれば、リーグ戦でも大阪に食い付いていけると思います。なんとか来季はリーグも選手権のタイトルも獲れるように頑張りたいと思います」

 

■FP 7 金山 友紀(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「チャンスがあった中で決め切れずに、相手に先制されてしまいました。自分たちが思い描いていた流れに持っていくことができませんでした」

ーープレーオフであれだけテンションの高いゲームをやったあとに、連覇という目標はあったと思いますが、選手権に向けて、もう一度ピークを持ってくる難しさはあったと思います。
「連覇どうこうというよりも、チャレンジャーの気持ちでこの大会に臨もうという話はしていました。ただプレーオフが終わってから、結果的にはうまく全日本のほうに気持ちを切り替えることはできなかったのかなと。グループステージを勝ち上がった状態で選手権に臨むチームと1週間試合間隔が空いたところで僕たちが戦うという難しさはあったと思います。その中で一つ勝つことができれば、3試合のアドバンテージにつながったとは思いますが、初戦の難しさが出てしまったのかなと」

ーー今季は最もリーグ優勝に近付くシーズンとなりました。
「今季を戦っていく中でチームの力は付いていったと思いますし、シーズンの終盤にコンディションを上げていくことはうまくいったと思います。今までのシーズンはリーグの終盤でうまくいかず、昨季はリーグでは2位ながらも、プレーオフでピークを持っていけなかったですが、今年はプレーオフに照準を合わせてきた中で、ファイナルにチームのピークを持っていけたことは良かったです。ただその状態を維持して選手権を戦っていくことは来季以降の課題です」

ーー今季も支えてくれたファン・サポーターの方々へ、メッセージをお願いします。
「プレーオフではたくさんの方々が応援に駆け付けて背中を押してくれました。今日も代々木で黄色のものを身に着けて応援してもらった中で結果を残せず、恩返しをできませんでした。それが叶わなかったことは申し訳なかったです。この悔しさを来季にぶつけたいと思います」

 

■FP 16 篠崎 隆樹(町田)
ーー試合を終えて、どんな心境ですか?
「このペスカドーレにやってきて、修さん(甲斐修侍)にお世話になったので、修さんを胴上げしたいという気持ちが強かったですが、残念です。この大会にも特別な思いで望みましたが、一発勝負なので結果を真摯に受け止めたいと思います」

ーープレーオフであれだけテンションの高いゲームをやったあとに、連覇という目標はあったと思いますが、選手権に向けて、もう一度ピークを持ってくる難しさはあったと思います。
「プレーオフで負けてしまって、チームがひと段落した部分はありましたが、監督もその難しさがあることは言い続けていました。決して練習がおろそかになったわけではないです。ただ僕はあまり試合に出る機会がない中で外から客観的に見ていて、テンションが低いなと感じていました。そのことはハーフタイムにも、後半が始まる前にも、チームメートに伝えてありました。試合中もベンチの人と声を出そうとしていましたが、もう取り返しのつかないことです。

これはあくまでも個人的な分析ですが、プレーオフでは非常にテンションの高いゲームができていたと思います。常に先手を取って、ゲームの主導権を握りながら、試合を運べていました。それが違いだと思います。自分が入ったときには違いを見せたかったのですが、その意欲を試合に反映できなかったことは反省点です」

ーー今季はプレーオフで優勝まであと一歩に迫りました。またチームとして一つ上の階段を上がったのかなと思いますが、いかがでしょうか?
「昨季はレギュラーシーズンを2位で終えて、今季はそれよりも低かったです(3位)。悔しさを味わいながら、プレーオフにコンディションのピークを持っていけましたし、チームのみんなが同じベクトルを向いて戦えたと思います。良いゲームができたことは成長を感じましたし、周りも今までの町田とは違うなと思われたでしょう。この試合でチームの成長を体現しないといけなかったですが、やはり勝つのは簡単ではありません。それでも、勝ち続けるチームになるためには劣勢な状況からひっくり返せないと、常勝軍団というか、勝ち続けられるチームにはなれないと思います」

ーー応援に駆け付けてくれたファン・サポーターへメッセージをお願いします。
「プレーオフでは一緒にチャンピオンになりたい、この全日本選手権でもチャンピオンになりたいと、応援してくれていたと思います。結果を出せるのは、ピッチに立てる僕たちしかいません。いつも熱く応援してくれて、いつもホームのような雰囲気を作ってくれるファン・サポーターの方々には常日頃感謝しています。これからも町田のことを応援してください」

 

■須賀 雄大監督(すみだ)
「内容に関しては、自分たちがやりたいことを40分を通してできていたと思います。パワープレーに関しては相手の質が良かったですし、修正はしないといけませんが、それでも、しっかりと1失点で防げたことは満足しています。リーグ戦では負けているので、リベンジという気持ちは強かったのですが、選手権を前に、相手がどうこうではなく、もう一度自分たちの良さを見つめ直して、自分たちの良さを出していくことに立ち返ってきました。まずはやるべきことを40分間やり続けられたことで、相手がどうこうではない良さを出せたと思います。2週間、準備期間があったので、ピヴォを使った縦に速い攻撃や、トランディション(攻守の切り替え)の意識はどのチームにも負けないでやろうと、そういう意識を植え付けてきました」

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