「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第30節・町田vsJ-22選抜/町田・相馬直樹監督、J-22選抜・高畠勉監督、手倉森誠コーチ、大島僚太選手(川崎F)、奈良竜樹選手(FC東京)、植田直通選手(鹿島)、中島翔哉選手(FC東京)、野津田岳人選手(広島)コメント(7,945文字)

■明治安田生命J3リーグ第29節9月23日(水・祝)17:30キックオフ
町田市立陸上競技場/5,873人
FC町田ゼルビア 1-0 Jリーグ・アンダー22選抜
【得点者】町田/72分 戸島章

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の感想をお願いいたします。
「まずはシルバーウィークの最終日にたくさんのサポーターや応援してくださる方々に集まっていただいて勝利を届けられたことをうれしく思っています。たくさんの声援に感謝申し上げます。前節は山口との天王山があって、その試合で敗戦という形になりました。中2日という中で精神的に回復できるか。ファイティングポーズを取ることができるか。それが勝負を分けると思っていました。そういった中でJ-22選抜はゲームの間隔が空いている選手が多く、われわれは中2日の試合に臨む中で、どうしても少し守備的というか、ブロックを下げて走る量を減らす形でなんとか勝機を見い出したいという中で、試合を進めましたが、選手たちは思うようにいかない中でも、チームとして徹底して戦ってくれたと思っています。もう少し早く点が入れば複数点が入るような展開になったかもしれませんが、セットプレーから戸島が取ってくれたことでこうして勝ち切ることができました。選手たちがこの中2日で走り切ってくれた上に、チームとして一つになって戦ってくれたことをうれしく思いますし、あらためてという形になりますが、それを後押ししてくれたサポーターの方々に感謝したいと思います。この1勝を今後につなげられるようにしたいなと思っています」

——今回のJ-22選抜は実質U-22代表メンバーが出場しました。対戦するタイミングの問題はあったかと思いますが、ほかのチームは(実質U-22代表メンバーのチームと)対戦しない可能性があることで、ある種の不平等感もあるかと思います。このような取り組みに対して、どうお考えですか?
「私はコメントしたほうがよろしいでしょうか? そう言われましたら、アンフェアではあると思いますが、ただ今シーズンはこのレギュレーションで始まっていると認識している場合は、それも仕方がないのかなと思っております。もし今日負けていても、先ほど出たようなアンフェアなどという言葉すら使うつもりはありませんでした。格好悪いことなので。今日は本当に選手たちがよく頑張ってくれたおかげです。その一言だけです。みなさんが感じているとおりだと思います」

——山口が負けて勝ち点差が縮まりました。シーズンも終盤に近付いてきました。どのような戦いを見せていきたいでしょうか?
「いずれにせよ、残りは8ゲームとなります。目先のあるものをわれわれとしたら追いかける立場でどれだけ勝って勝ち点を積み重ねられるか。そして山口さんにプレッシャーをかけられるか。それだけでしかないと思います。今日、こういった形で勝てたことは連敗しなかった意味でも、そして山口さんが負けたことも含めて、この2連戦の前の振り出し(勝ち点差)に戻りましたが、状況としては変わっていませんので、いまの状況を見つめつつ、選手たちと一緒に事が起こることを信じて頑張っていきたいと思います」

——今節の2トップに戸島選手を起用して、ゴールシーンだけではなく、いくつかの決定機にも絡みましたが、彼を起用した狙いは?
「前節から中2日で試合を迎えていますので、タイプ的に連戦に強い選手もいますし、連戦に強くない選手もいます。スタミナ面やそういった部分も踏まえて、2トップが追わないといけない状況の中で、さらに(前に)出ていかないといけない仕事の両方をする意味で戸島にやってもらいました。高さの面でも頑張ってくれたと思います。守備も期待どおりやってくれたと思っています」

 

■高畠 勉監督(J-22選抜)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「このチームはリオ五輪に向けて活動をしています。その強化試合の一環となりました。目指すところは最終予選です。町田さんはJ2昇格を目指す中、お互いに目標は異なる中での試合となりましたが、お互いに町田とリスペクトをし合ったゲームになったと思う。結果は0-1という敗戦になったが、町田さんのわれわれに対する思い、すごく気迫の入ったプレーを前になかなか力を発揮できませんでしたが、こういう苦しいゲームを、真剣勝負の場で、J-22選抜のチームとして、U-22代表候補メンバーが経験できたことは貴重な経験となりました。この悔しい思いを糧に最終予選に良い準備で臨んでほしいと思っています」

 

■手倉森 誠コーチ(J-22選抜)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「まず負けたというこの事実を受け止めろと、相手のJ2昇格にするんだという思いが勝ったんだと選手たちに話をしてきた。リオ五輪最終予選の組み合わせが決まったあとの初の対外試合で、対戦相手が決まった上での強化試合に対して、これまで取り組んできたことを出すこと、そこから出た課題を消化して次に進んでいこうという狙いの下に戦った。まずはとにかく勝ちたかった。この試合に勝てばリオ五輪の切符を獲れる保証はないし、負けても五輪出場が絶たれるわけではないけれども、大事なことはチーム強化や選手の成長だった。試合が終わったあとに選手たちがそれぞれ感じたことが糧になるという話もしてきた。僕自身はこのメンバー構成の中で、先発メンバーと2本目のスタートのメンバーを決めた。クラブから選手をお借りしている時間制限の中で、決めたメンバーでの戦いになった。途中でメンバーを入れ替えられない、試合の流れの中でメンバーを代えられない歯がゆさを感じながらの采配だったけれども、それでも勝ちに行けという話はしてきたが、勝てなかった。攻撃は相手を破れなかったし、リスクを冒せなかった。それが点を取れない原因で、点を取れない流れの中でセットプレーで負けてしまった。個人と自分が組ませるグループでの攻撃力の精度とコンビネーションを高めて、あと3カ月で点を取れるチームにしないといけないと思っている」

——先日の京都との練習試合(8月26日・1●2)でも結果が出ませんでしたし、ふがいない結果の試合が続いています。ミッドウィークの試合でモチベーションを維持しにくいという状況があったもかもしれませんが、強化の機会が限られる中でこういう試合が続いている現状をどのように受け止めていますか?
「歯がゆいですよね。いろいろなメンバーの組み合わせがある中で、力を落とさずに勝ちたいという思いがあるけれども、そうさせてくれないということは、しっかりとメンバー構成を考えなさいというメッセージをもらっているのかなと捉えている。攻撃の部分は守りに入ったようなところがある。自分がこのチームを立ち上げたときから、守備に重きを置いているし、良い守備からの良い攻撃という狙いもあって、今日の試合も守備から入らせたことは間違いない。良い守備からの良い攻撃が生まれなかったところに、何を大事にしてきたんだろうかということを先日の京都戦と今日の町田戦で感じた。選手たちの手綱を緩めてノビノビとプレーさせないといけない。そのためのトレーニングとメンバーを組まないといけないと思っている」

——2つのフォーメーション([4-2-3-1]と[3-4-2-1])、パワープレーと限られた、変化を付けられない中で監督のやりたいことはできた、という評価でしょうか?
「まずはやってみたということ。負けているときは動かないといけないし、(いろいろな制限がある中で)何がやれるかとなると、コレだったということ。前半の戦い方を組んで、後半は制限がある中で、岩波(拓也/神戸)を投入すると3バックだなと。入り方は良かったけど、相手が守り慣れてきたら何もできなくなって逆にやられた。不慣れさが出たと思う。柔軟性やバリエーションを持たせるためには、それでも負けてはいけないと厳しく要求をしていきたい。点を取られないことはこのチームの良さでもあるわけだから、点を取られて負けたという結果に対しては厳しく受け止めないといけない。植田のパワープレーに関しては、可能性を公式戦で見出してみたかったというトライ。これもトレーニングしないとダメだなと思った」

——貴重な強化の場となった今日の試合での収穫は?
「負けたことが収穫。このJ3リーグで何回か試合をしたことのあるメンバーはいるけど、このメンバーで戦って、FC町田ゼルビアのサポーターの声援を受けた中で負けたことが収穫。勝って安心できたわけではないけれど、『オレたち勝ったぜ』と思うよりも、負けて厳しい態度で次に向かうことのほうがこのチームには必要だったなと。負けて良かったという話は選手たちにしてきた」

 

■MF 7 大島 僚太(J-22選抜/川崎F)
相手のプレッシャーの激しさは感じていた
「すごくボールにプレッシャーがかかっていたので、慌てて突っかける必要もないなと思いながらプレーしていたけど、そんなにうまくいかなかった。裏を走る選手のタイミングをもう少し合わせないといけないなと思う。(負けたことをどう受け止めていますか?)いろいろなことがあると思うけど、(植田)直通がFWをやることは普段では考えられないことで、失点をして自分たちが点を取らないといけないときに前に行ったにもかかわらず、ハッキリとポジショニングなども定まらなかった。先制されて、追いかける展開で自分たちが点を欲しいときに、あのような形を作ることもあると思う。負けたことは悔しいけど、同じようなシチュエーションもあるだろうから、ある程度イメージはできたと思う。(事前のこのゲームにおけるテーマは?)チームとしてはやるべきことをやること。相手に背の高い選手がいたのでそのマークやマークの受け渡し、カバーリングなど事細かに(テーマは)あった。(自分たちのやるべきことをどの程度表現できましたか?)僕個人としては前半という限られた時間の中で、ゴールに絡めなかったという思いが強い。チームとしても勝てなかったから、やるべきことを表現できなかったのかなと思う。(あまり集まる機会のない中、大島選手の中で確認しておきたかったことは?)タクマ(浅野琢磨)の走るタイミングをいつ狙うのか、などを明確に臨めれば良かった。パスを出すときに相手のディフェンスラインが下がったりしていたけど、それがワンタッチパスを出したらどうだったか、自分たちからしかけて裏を狙うパスやタイミングを作れればとは思った。でもディフェンスに引っかかっていたなと思う。相手の激しさは感じていた。(限られた強化の中で、連係を合わせる難しさはいつも感じていることなのですか?)毎回感じてはいるけど、試合の中で修正できればいいと思う。ベンチで話すことなど、そういったことを意識しながら次に向かっていくことが必要なのかなと」

 

■DF 4 奈良 竜樹(J-22選抜/FC東京)
町田の勝負を懸けた熱い思いにのまれてしまった
「相手に簡単につながせる場面も多かったし、相手のカウンターは速いことも情報として入っていたけど、それを自由にやらせてしまった。それ以前に球際の部分や切り替えなどアジアで戦っていくための土台の部分ができてきていないと思う。それは誰がということではなくて、チームとしてそういう雰囲気になっていない。これでは勝てない。コンビネーションや連係は集まらないと深まらないこと。ただ戦う部分や切り替えの部分や、最後体を張る部分は集まらなくても高められるし、個人の意識次第で変わると思う。そこができて初めて連係とかきれいに崩すとかそういう話になる。町田も勝負を懸けて熱い気持ちでやっている中で、それを受けて立つというか、のまれてしまった。それをはね返していかないとアジアで戦う相手も国を懸けて命を懸けて戦ってくるわけだから、もっとそういう意識を持たないといけない。(守備での連係の難しさは?)守備はディフェンスラインだけでやるものではないし、切り替えの速さで守備は向上・改善できる。土台の部分ができて初めて連係の話になると思う。相手が来ていないのに、ディフェンスラインを上げてもあまり意味はないし、それはセオリーではない。後ろも要求しないといけないし、攻撃がうまくいかないのも、後ろからのつなぎが問題ならば話し合ってもっと要求しないといけない。もっと話し合うグループにならないと」

 

■DF 5 植田 直通(J-22選抜/鹿島)
チームにとても迷惑をかけてしまった
「(組み合わせが決まったあとの初の対外試合でした)負けてしまって、反省する部分が多く、まだまだだなと感じた試合だった。(シュートシーンが少ない展開でしたが、後ろから見ていて攻撃はいかがでしたか?)パスを回しているだけで、相手にとって怖くはなかったのかなと。ボールを回させられた感じもあるし、攻撃に怖さを加えることは今後の課題でもあると思う。(セットプレーからの失点でしたが、あの場面を振り返って)周りとの声も全然出ていなくて、失点は自分のせいでもあるし、チームにとても迷惑をかけてしまった。(高さのあるFWはリオ五輪予選で同じ組み合わせでもある北朝鮮戦のシミュレーションになったかなと思います。どう生かしていくべきでしょうか?)日本はボールを持てると思うけど、アジア最終予選で相手もセットプレーでのゴールは狙ってくると思う。背の高い選手もいるだろうから、まずはスキルを上げて対応できるようにしていきたいと感じている。(試合途中で前線に上がりました)ヘディングならば勝てる自信はある。もっとあのようなバリエーションを増やせればと思う。(貴重な強化の場で今後はどのような部分を向上させていきたいとお考えですか?)トレーニングの中で気付いたことがあれば言っていくことも必要だと思う。良い雰囲気を作ってやっていければと思う」

 

■MF 10 中島 翔哉(J-22選抜/FC東京)
ここから急激に成長しないと、アジアでの戦いは勝ち抜けない
「(組み合わせが決まったあとの初めての試合でした。この結果をどう受け止めていますか?)結果もそうだけど、プレーのクオリティーの部分もまだまだ足りない。個人もチームもレベルアップしていかないといけないなと感じた。(なかなかシュートまでいけなかったという展開でしたが、攻撃陣としてはどのように感じていますか?)連係の問題だったり、個人として前を向いたプレーを増やすとか自分個人の問題として解決できることだし、それで変わっていくもの。今日は良くなかったけれども、みんなで努力していきたい。(セットプレーからの失点でしたが、最終予選で対戦するチームには身長の高い選手がいることもあると思います。良いシミュレーションになったのでは?)それはそうだと思う。アジアに身長の高い選手は多くいるだろうし、高さを武器にしてくるチームもあるだろうから、良いシミュレーションになったと思う。(一回一回が貴重な強化の場になると思います。個人としてチームとしてどの部分を向上させていきたいとお考えでしょうか?)まず合宿を有意義なものにするためには、チームでの活動が大事になる。合宿で集まっていろいろなものを結集して、みんなで話をして良いチームになれるようになっていければと思う。もっと厳しい毎日を過ごしていければもっともっと成長できると思っている。(攻撃陣としては消化不良のような結果となりました)みんなそうだと思う。(手倉森さんは手綱を緩めて、もっと攻撃のイマジネーションが出るようにしないといけないと話していました。やっているほうとしては?)個人個人の力不足だと思う。90分の中でもっと多くのチャンスを作らないといけない。ゴールも取らないといけないと思う。(やりたいことをやらせてもらえなかった直接的な原因は?)いろいろな理由があると思うけど、かなり相手がコンパクトにしてきて、そうなったときはサイドからクロスを上げることが有効だけど、クロスが上がる本数も少なかった。サイドを使えば中が空くし、そういうプレーが足りなかったのかなと。(集まる回数が限られている中で、(U-22)コスタリカ(代表)戦(国際親善試合7月1日・2○0)と比較して、力が落ちてきている印象もあるのですが、この先に必要なことは?)まずはチームで試合に出てここから急激に成長していかないとアジアでの戦いは勝ち抜けない。チームの前に個人のクオリティーを上げて、自分は攻撃の選手でずっと出させてもらっているので、チームの中で違いを作って毎試合ゴールを奪っていかないといけないなと思っている」

 

■MF 9 野津田 岳人(J-22選抜/広島)
前半に自分が決めていれば試合はラクになった
「(試合を振り返って)相手が激しく来ることは分かっていたし、先手を取ろうということで最初は裏も狙いつつ、こっちが押し込もうというメンタリティーで試合に臨んだ。途中からは試合も落ち着いて、ボールも回せるようになったから、チャンスをお互いに作りながら、こっちもチャンスがあった中で決め切れなかったことは反省しないといけない。そしてもっとボールを回しながらチャンスを作っていかないといけないと思った。(集まって2日の練習ではコンビネーションの難しさもあったのでは?)手倉森さんも前半が終わって言っていたけど、一人ひとりのボールタッチ数も多くなってしまったし、相手のスライドもそのぶん早かった。コンビネーションで崩すのはなかなか難しかったので、ワンタッチプレーを増やしたり、スイッチを入れるプレーを増やしていけば、もっと良い形でコンビネーションできたと思うし、良い形で裏を突くこともできたと思う。そうすればタクマ(浅野)や2列目のショウヤ(中島)やトヨ(豊川雄太/鹿島)だったりが裏へ抜けられるケースも多く作れたと思う。そこはチームとしてもっとすり込んでいかないといけない。チーム全体としても意識を高めていかないといけないと思う。チームとしては、チャンスがあった中で決め切れなかったし、2本ほど決定機があった中で決められなかった。自分が決めていれば試合はラクになった。前半だけの出場でもゴールを決めなくてはいけなかった。(手倉森さんは攻撃のリスクを冒なかったという話でしたが?)もっと相手のギャップに足元のパスを入れたり、サイドばかりにならずに思い切って中に入れてコンビネーションで崩す形などを増やしていければ良かった。そういったことがタッチ数が多くなった原因でもあるので積極的に狙う必要があった。ミスがあった中でも切り替えてやれれば良かった。(次のキャンプまでにクラブでやるべきこととは?)クラブでとにかく成長していくことが一番だし、次に集まったときにより自分自身を高めていけるようにチームの中での活動が一番重要。ポジション争いが熾烈だし、チームで試合に出ることが一番大事。広島に帰って死に物狂いでポジションをつかみ取りたい。自分自身結果を出して自分を高めていければと思う。(海外組もいますし、五輪代表でも2列目はポジション争いが激しいです)タクミ(南野拓実/ザルツブルク)の活躍も刺激になっている。今回はJ1だけのメンバーだったけど、J2のメンバーもいる中で、結果を出せなかったことで自分自身の危機感を覚えている。これからもっともっと結果にこだわってやっていくことが大事だと思っている」

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