「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】第20回東京都サッカートーナメント決勝・早稲田大学vs町田/早稲田大学・古賀聡監督、町田・相馬直樹監督コメント(3,487文字)

■第20回東京都サッカートーナメント決勝8月23日18:00キックオフ
味の素フィールド西が丘/1,371人
早稲田大学 1-2 FC町田ゼルビア
【得点者】早稲田大/67分 山内寛史 町田/40分 鈴木崇文(PK)、88分 遠藤敬佑

 
■古賀 聡監督(早稲田大学)
「(試合を振り返って)自分たちのやろうとしていることはできた部分があったので、結果とゴールという形に結び付けられなかったことが課題として残った。(選手たちにはどんな言葉をかけて試合に送り出したのですか?)プロとアマという捉えられ方をすると思うが、それを分けているのはプレーの対価として報酬が出ているか出ていないか、その差だけの話。真のプロフェッショナルを求めて戦っていこうと。発言や行動、戦いぶりで見に来ている方の心を動かしたり勇気や感動を与えたり、元気や明日への活力を与えることができると。そのために自分を磨き続ける、研鑽し続けることが真のプロフェッショナルだというような話をした。プロ、アマは関係なく、真のプロフェッショナルとして自分たちがやってきたことが正しいことを証明しようと、選手たちにはそういう話をして送り出した。ボールを奪ってシンプルに早くゴールに迫るという形を考えていたし、堀田(稜)らが2対1の状況を作って、サイドからゴール前に直結した形でクロスを入れたり、ゴール前に入っていく形はチームとして狙いとしていた。そうした中でチャンスを作れたので、あとは決定力の問題だった。(事前に町田のストロングポイントはどのように把握していましたか?)選手たちがスカウティングをしているのですが、シンプルにサイドのスペースを突いていくという話が出ていたし、町田はリスタートが強みなので、そこをケアしていこうという話が出ていた。(2失点目の場面について)自陣でリスタートのチャンスを相手に与えたことがもったいなかった。ウチは総理大臣杯出場のチャンスを逃しているので、この夏は真剣勝負の場がなかったし、(天皇杯予選で)真剣勝負の場を作れたことは良かった。天皇杯出場を勝ち獲れなかったので、その悔しさを胸に関東大学リーグの後期優勝を何がなんでも獲りにいきたいと思う」

 

■相馬 直樹監督
——まずは試合全体の総括をお願いいたします。
「リードしている試合展開の中で、1-0で逃げ切りたいという思いが働いたのか、パスを受ける動きが減ってきた中、相手のマンツーマン気味の守備にハマっていってしまいました。そのプレッシャーを外せれば背後にスペースはあったと思いますが、そのスペースにボールが入ってもそこに出て行くパワーが足りなかったことも含めて、後半はエネルギーをセーブして1-0で終わらせようという意識が働いたことが追い付かれたと原因だと思っています。でも追い付かれた状況の中で、最後勝ち切れましたし、ボールを追い越す部分や、人が前に入りながらボールを前に動かしていく形が出てきて、セットプレーの流れの中で点を取れたことは良かったと思います。ただそういった展開の中で、カウンターでやられる可能性もあったかと思いますが、点を取らないと勝てませんから、追い付かれたことで選手たちも前にボールを進めるという部分を出して、前に出ていってくれたのかなと思います」

——2012年以来の天皇杯出場を勝ち取ったことに関しての思いは?
「選手たちにはプレッシャーをかけて試合をしてもらいました。カテゴリーも違うし、相手の挑戦を受ける立場で、きちんとそれをはね返さないと、その力を付けていかないとリーグ戦でも最後まで勝ち上がれないだろうという話をして、選手たちに少しプレッシャーをかけて送り出しました。最終的にそういう持って行き方をしたことが1-0で終わりたいというシチェーションになってしまったのかなと。意地でも勝つという中で勝ちを持ってきてくれたことは大きな自信になる。天皇杯の予選は挑戦を受ける立場で本大会の1回戦でJ3の盛岡を倒せば、J1、J2のチームと戦える大会ですので、ここからそうした大会の領域に足を踏み入れることになります。自分たちがしかける立場になれると思いますので、その思いをうまく勢いにつなげやすい部分もあると思います。勢いを付けられるような大会にしたいと思います」

——今回のメンバー選定の狙いは?
「ここまでの天皇杯の戦いもそうですが、なかなかチャンスがない選手にチャンスを与えるという意図はありました。学生相手ではありましたが、ここまでやってきたことを戦術も含めて公式戦という場で表現できるか。当然期待はしていましたし、経験してもらうという意図ももちろんありますが、なにはともあれ勝負に勝たないといけません。われわれとしては勝つための準備をして、最終的に勝ち切れるように準備してきたつもりです」

——今回のメンバーで戦った上での収穫と課題は?
「(リ・)ハンジェと(深津)康太のところを埋めてくれた平(智広)と(ペ・)デウォンに関しては、しっかりとした仕事をしてくれたと思っています。稲垣(雄太)は自分の形を作るチャンスは少なかったかもしれませんが、彼の良さも出してくれていたと思います」

——前半に関してはゴールが入りましたが、どんな手ごたえでしょうか?
「前半に関しては相手のプレッシャーがある中で、しっかりとボールを動かせていた時間帯は長かったですが、最後のフィニッシュワークに入る部分の精度がもう一つ足りなかったです。また、セカンドボールを拾われて、素早くサイドを使われたときに危ない形が散見されたので、たとえ主導権を握ったとしても気を付けないといけないなという印象です」

——後半は点を取られた前後に押し込まれていたと思いますが……。
「そのとおりだと思います。前半はまだ準備の段階で少し周りを見る余裕やボールを受ける前に一つ動くとか、そうした動きも周りの選手に合わせて動くことができていましたので、ボールがしっかりと収まるところに収まっていましたが、次第に出し手から受け手へのパスがそれしかない、という状態でパスが入ってしまい、マンマーク気味だった相手に時間を作ることがなかなか難しくなってしまいました。向こうも点を取る気満々で前から来るしかないというシチュエーションでしたし、そのプレッシャーをモロに受けるシーンが増えてしまったのかなと感じています」

——8番(堀田)と22番(相馬)が深くサイドに入ってくることで、実際に失点シーンにもつながっていきましたが、その時間帯での守備についての課題は?
「1対1の対応で少し後手に回り、相手の追い方の部分でも後手に回った場面があったかなと思いますし、特にその時間帯は多かった。セカンドボールを前向きに拾われたり、インターセプトの形でボールロストをするなど、そういうシーンがその時間帯には多かった。相手が勢いを持って前に出やすい形を真ん中で作られるとサイドの対応が遅れるのは当然。そこに関しては、サイドがどうこうよりは、相手がサイドを狙いに来ていましたし、真ん中をやらせなければ良かったと思います。思い切ったボールが入ってきていたので、二回振られたときにはやられてしまいました。そのあたりを含めて、最後止め切らないといけない場面だったと思います」

——勝ち進めばという前提の話ですが、リーグ戦との並行日程をどう捉えていますか?
「ケースバイケースですよね。ただ目の前のゲームを勝ちに行かないのはないと思います。いろいろなことを見た上で、いろいろなことを考えた上で最大限の努力をしていきたいと思います。カテゴリーが下であっても、普段試合に出ていない選手が出たとしても、90分、延長戦、PKの中で必ず勝つチャンスはありますし、サッカーというのはそういうスポーツだと思っています。誰が出る、連戦がうんぬんは付きまとうと思いますが、負けるつもりでやる気はないですし、勝つことに100%チャレンジしてどう結果が出るか。勝ちに行く、そういうことにトライできるようにしたいと思います」

——東京都サッカートーナメントは、チームの底上げという意味もあるのでしょうか?
「僕のほうでプレッシャーをかけた中で勝ち切ったことは、ものすごく大きいと思っています。それを今後、僕も生かしたいですし、選手たちも生かしてほしいと思います」

——決勝は監督ご自身の出身校との対戦となりました。
「初めての対戦でしたし、試合前は考えたことはありましたが、特別な感情はなかったですね。ゲームに入ってからは、どう勝つかだけを考えていました」

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