「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第18節・町田×YS横浜/町田・相馬直樹監督、土岐田洸平選手、YS横浜・有馬賢二監督、高橋拓也選手、中西規真選手コメント(5,491文字)

▪︎明治安田生命J3リーグ第18節18:00キックオフ
町田市立陸上競技場/2,536人
FC町田ゼルビア 2-1 Y.S.C.C.横浜
【得点者】町田/47分 久木野聡、85分 土岐田洸平 YS横浜/83分 梅内和磨

 

▪︎相馬 直樹監督(町田)
ーー試合の総括について。
「今日はわれわれにとって今シーズン初のナイトゲームということでしたが、キックオフ前に雨が降る状況の中でもたくさんの方々に野津田に集まっていただきました。感謝申し上げたいと思います。昨年からそうですが、YS横浜さんとはいつも拮抗したゲームになりますし、今回も同じようなゲームになりました。本当に簡単ではないゲームを勝利できたことに対する後押しという意味で、サポーターの声援が大きかったと思っています。今も申しました通り、YS横浜さんとはいつも難しくなるゲームが多く、今日も雨が降ったことも含めて、ラストのところでもう一つ合わない部分もあり、そういった中から非常に鋭いカウンターを特に前半は何度か受ける展開になりました。ただそうした中、後半の頭にちょっとしたスキがYS横浜さんにあったのかなと思うのですが、その中で点を奪うことができました。我々としてはなかなか横のボールで点を獲れていなかった部分もありましたが、その形で点を獲れたことは評価したいと思っています。後半はそれ以降、しっかりとブロックを作りながら、奪ったら早く攻める中で追加点を獲れていれば良かったですが、獲り切ることができずにいると難しいゲームになるものです。後半のYS横浜さんのシュート1本は、非常に素晴らしいシュートだったと思っています。今日は土岐田が獲ってくれましたが、今後も含めて勝ち切っていくには2点目、できれば3点目を獲って、サッカーの世界で言うところのセーフティーリードを獲り切れるような今後の取り組みをしつつ、今日追い付かれたあとでも勝ち越せたことは、前節(福島戦)の攻めて攻めての展開で引き分けで終わったことと比べても、一つひとつ成長している部分もあるのかなと思っていますし、また積み上げていけるようにやっていきたいと思います」

ーーYS横浜戦は厳しい内容の試合になる印象ですが、それはなぜでしょうか?
「相模原さんもそうですが、YS横浜さんはホームタウンが横浜で、実際に隣に接しているところで、メンタリティーの部分が原因にあるのかなと思います。そういった中で、昨年から率いている有馬監督はわれわれのイヤなところを突いてくると思っています。やられないように準備をしていますが、今日もカウンターを含め、失点以外にも何度か際どいシーンを作られたと思っています。それ以上の原因を話すのは難しいですが、あまりそういうもの(拮抗した展開になる相手チームを)を作らないようにしたいと思いますが、まず勝てたことはわれわれにとって大きいなと思っています」

ーー同点に追い付かれたあとに松本選手を入れて、土岐田選手をサイドハーフに上げましたが、一般的な交代カードの切り方とは違ったものだったと感じました。そのあたりの意図は何でしょうか?
「(残っている)ベンチのメンバーを見た時、前の選手を先に使っていましたので、どうやって攻撃力を維持するかを含めて決めました。もともと土岐田はFWでプロになった選手ですから、スコアリングするところにおいて、非常に落ち着きのある選手です。実際にあの場面で非常にボールがスリップするであろう中、ここにこぼれてくると嗅ぎつけた部分もあったと思いますし、GKが出てきて、足を振ったらGKに当ててしまう、もしくは横にそれることもあったかと思いますが、柔らかいタッチで、GKの横を抜くだけで点を獲ってくれたとも思っています」

ーー前半だけで鈴木孝司選手を交代させましたが、前半の様子を見る限り、やはり負傷交代でしょうか?
「少し前半で気になる部分もありましたし、無理をさせませんでした。本人はまだやるという感じでしたが、そういう判断を下しました。細かい部分は分かりませんが、大きいけがではないと思っています」

ーー右SBで先発して途中からサイドハーフに移るなど土岐田選手のユーティリティーの能力は、監督の選手起用を考えても貴重な存在だと思いますが?
「J3は交代枠はすべて使えるのですが、登録メンバーは16人なので、なかなかスペシャリティーな選手が置きづらいという事実はあると思います。要はオールマイティーな交代もできませんし、オシムさんが言うポリバレントな能力を持っている選手がいると、その選手をベンチに置きやすい、というのはあると思います。(選手やポジションを変えることで)そこまでできていたことが崩れるリスクもありますので、むやみに代えられない部分はあります。流れの中であの手しか思い付かなかったという部分もあるのですが、その中で土岐田が期待に応えてくれたと思います」

ーー前回は追いかける展開でパワープレーを選択して追い付きましたが、今回はパワープレーを選択しない中でも勝ち越すことができました。今回のベンチメンバーを選択した背景を教えてください。
「手段としては同じようなこと(パワープレー)ができる準備をしていますが、今27人の登録選手がいる中で、それ以上に16人の枠では、そこに入る、入らないはあると思います。(ベンチメンバーを決めるにあたっては)ポジションを含めて、良い動きをしていた選手にベンチに入ってもらうと考えています。もちろん、手としてスペシャリティーな部分を生かすという選択肢もありましたが、今日の試合のようなシチュエーションや、90分間の流れでマネジメントやキャスティングをしないといけない中、バランスも考慮した上で今日のような選択をして、パワープレーを使わずに逆転勝利に持っていけたと思っています」

 

▪︎DF 10 土岐田 洸平(町田)
「前回の試合もそうだけど、自分たちの時間帯が長くてもなかなか点が入らずにスタジアムの雰囲気も良くない中、先に点を取れたけど、相手の出方に少し受け身に回ってしまったと感じている。それで厳しい試合になってしまった。(途中からサイドハーフのポジションに移りましたが、どんなプレーのイメージを持っていましたか?)泰右(宮崎)も崇文(鈴木)もいたし、良いボールも出てくるだろうから、チャンスは1回、2回あるなと考えていた。ゴールは毎試合狙っている。ゴールを決められて前節(福島戦)の引き分けを無駄にしなくて良かったと思っている」

 

▪︎有馬 賢二監督(YS横浜)
——試合を振り返って。
「選手はよく耐えながら前半を終えて、その中でも狙いを持ってゴールを狙ってくれた。ただ失点も後半の立ち上がりだったし、追い付いた中でも勝ち点1を取らなければいけなかったが、よく走った中で結局は勝ち点を取れずに残念なゲームだった」

——前節の厳しい敗戦(山口に1-6)を受けて、精神面を立て直すためにも、今週重点的に取り組んだことは?
「前節は取られ方が悪くて、決して点数以上の差があるようなゲームではなかったと思っている。自分たちがやるんだと選手同士でしっかりと話し合った中で、町田さんとの戦いに向けて詰めてきてくれたぶん、対話もできて、自分たちがどうしたいかも含めて話し合いができた中で、この試合を迎えた。厳しい状況の中でも選手たちが対話をしたぶん、こういう結果になったのかなと思う」

——郡司(健太朗)選手が今季初出場でしたが、起用の意図は?
「まだまだ荒削りな選手だが、彼自身の良さや体の大きさを生かした中で彼の良さをチームで出そうとしていたし、一生懸命、タフにやってくれたと思う」

——前々節の藤枝戦も追い付いた直後に失点をしましたし、なぜまた同じように得点のあとに失点を繰り返してしまったのでしょうか?
「最低でも後ろは崩れないようにしようとしていて、疲れていた中でも、もう一つ絶対的なことをやり続けないと勝ち点を奪えない。それは普段の練習から、より確実なものを求めてやっていかないと、なかなか簡単に勝ち点は取れないんじゃないかと思っている」

——前半の終盤など、チャンスを作れたと思いますが、町田を崩す上での意図の部分をもう少し具体的に教えてください。
「町田さんが勝ち点3を取りに来る中で、前がかりになるぶん、空いたスペースにしっかりと顔を出して、時間を作った中で、仲間を信じて出て行こうと。前半もゴールにはならなかったが、意図を持ってゴールに向かってくれたと思う。ただシュートを打ち切るとか、最後の精度の部分がまだまだ足りない。もっと自信を持って打てるようにやっていかないといけない。ただ形としてはいくつか出してくれたと思う」

 

▪︎GK 1 高橋 拓也(YS横浜)
「(2失点目の場面を振り返って)僕とディフェンスの間にボールが入って、ディフェンスのクリアが間に合うと思ったので、僕としてはディフェンスに任せたけど、ディフェンスがどっちにクリアするか迷っている間に突っつかれてしまった。そこはディフェンスもGKが処理すると思っていて、僕もディフェンスが処理をすると思っていた。連係がどうこうよりも最後のクリアするところの判断ミスだったかなと。ただその前のシーンが一番問題で、中盤で二人ぐらいが中途半端に飛び込んでしまったことで相手にかわされてしまった。二つ前の藤枝戦も点を取ったあとに中盤で判断しないで飛び込んでラストパスを出された。それは反省というかそういうところを突き詰めないと勝つことは難しい。(町田とはいつもこのような拮抗した展開となりますが、最後尾から見た理由は?)接戦になる理由は、町田は攻撃が強い守備が強いと、どちらかが強いと偏ったチームではないし、バランスが取れたチームで、町田にバランスを取りながらサッカーをされている側面と、僕たちもむやみに飛び込んでいかずに、しっかりとした守備から試合に入っていることで、ロースコアなゲームになると思う。でも毎試合毎試合接戦をモノにされてしまっているので、そういう観点から見ると、毎回相手のゲームをされて負けてしまっている。試合はロースコアが多いけど、相手がバランスを保って要所で点を取られている。力の差はあるなと感じている。2失点目のシーンで簡単に飛び込んで、ファーストDFが行って、もう一人がカバーする形を作ってパスを入れさせない形を作らないといけないけど、冷静さを保てなかった」

 

▪︎MF 31 中西 規真(YS横浜)
「(後半の立ち上がりの失点がありましたが、ハーフタイムにはどう戦うという指示があったのですか?)チームとしては相手の良いところをつぶす。自分の役割としては、中盤のスペースを埋めてつぶしていく、そういう役割でもある。一つひとつズレたことがあのようなクロスからの失点につながった。やっぱり取れるところで取ることなど、簡単なことが後半の立ち上がりからできていなかったことで失点をしてしまったのだと思う。(ご自身としては復帰してボランチでプレーしていますが、いかがですか?)いま自分がボランチに入っているという意図はつぶす役割、セカンドボールを拾うという掃除役の役目だし、アンカーというポジションでボールをつなぐ最初の起点となるような役割も求められるので、そういう意味では今日はイージーなミスも多かった。ボランチとしては全然機能していなかったんじゃないか。(追い付くまでの時間帯は、ボールを散らしながら攻めることもできていたと思いますが?)相手が得点して引いてスペースができた。多少重くなっても相手のスペースまで落ちて、ボールを動かすことができれば、前にもスペースができてくるだろうし、相手が引いたことで自分たちの時間帯ができたというのもあるけど、それにしても全然自分たちのサッカーをできていなかったという気持ちです。(町田のボールを失ったあとの切り替えの守備は、かなり圧力を感じていたのではないですか?)それが町田さんの持ち味だし、逆に自分たちがどれだけ早く奪われたあとに切り替えて奪ってショートカウンターをしかけられるか、それに今週は取り組んできたので、そういう部分で負けたことが敗因なのかなと。(ゴールシーンについて)ウメ(梅内)はああいうプレーが得意。入ってきたときに流れを変えてくれる選手だし、何かアクセントが起こると思っていた。交代で入ってきた選手同士が絡んでの得点だったので、チームの層の厚さは示せた。チームの底上げをしていかないと上には上がいるし、そういう意味ではまだまだなのかなと。(町田とはいつもこのような拮抗したゲームになりますが、選手から見てその理由はどのように感じていますか?)自分たちが特別何かを変えようとは思っていない。ただJ3では球際とか気持ちの部分で町田はトップクラスだし、気持ちを前面に出してくるチームなので、ウチも町田相手に負けたくないという気持ちを前面に出して、戦うからそうなるんじゃないか。確かに技術の差はあるけど、それ以外の部分をカバーできるかという意味で良い勝負ができているんじゃないか。ゲームの締め方というか、ウチは先に取らないとダメなチーム。先に取られてしまったことが大きな敗因で、一つ点を取り返すことができたのはここまでの試合に比べて良くはなってきている。相手にプレッシャーをかけられずに、スペースを空けてしまった。結局は一人ひとりの相手にかけるプレッシャーの弱さが失点につながってしまったと思う」

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