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【シリーズ】2024 シーズンレビュー vol.5……最後に残ったもの

 

2024シーズン、前年にまたしても最下位でJ2に降格した横浜FCトップチームは、再び“1年でのJ1復帰”を目標にスタートし、2位でその目標を達成した。3位・長崎との勝点差はわずか1ポイント。クラブ新となる8連勝を含む20戦連続無敗記録を作って首位争いも演じたが、最終盤に息切れし、ギリギリで決めた昇格だった。

前年にJ1を戦った選手たちの多くが残って挑んだシーズンだったが、それでも昇格は容易ではなかった。2025年、再びJ1を舞台にするシーズンの開幕に際し、昨季のトップチームがいかに戦ってきたかを振り返っていく。全5回、今回で完結。

(文と写真/芥川和久)

 

 

▼目前の急降下

第33節・清水との国立頂上決戦を経て、リーグ戦は残り5試合。横浜FCは33試合で20失点の圧倒的堅守を武器に、首位・清水と勝点1差の2位につけ、3位・長崎に勝点11差をつけていた。長崎が残りを全勝しようとも、横浜FCは勝点5を得れば、すなわち2勝すればJ1昇格の目標は達成できるが、もちろんこの時点では、誰もが『優勝』を目指していた。

しかし今振り返ればあの清水戦で、最高の舞台で最高の戦いを演じたことによって、燃え尽きたわけではないだろうがチームの緊張の糸が切れていってしまったようにも思える。

いやそうではなく、直前の第32節・ホーム大分戦、その前の試合の内容を見ても、もはやチームの疲弊はすでに限界を迎えていたのかもしれない。蝋燭の炎の最後の輝きのように、むしろ最高の舞台と最高の相手が彼らのテンションをつなぎとめ、最高のパフォーマンスを出させてくれたのかもしれなかった。

第34節・ホーム鹿児島戦(10/6)。降格決定をほぼ目前にしていた相手に立ち上がりは勢いを見せて先制したものの、以後は鹿児島に主導権を握られて守備に追われ、何とか失点せずに1-0で終えた。四方田監督は「内容に満足している選手は一人もいない」と話したが、その内容の『良くなさ』は、指揮官も「何か上手くいかない試合というのはあるもので、まさにそういうゲームでした」としか説明できなかった。明確な修正点が見つけられない類のものであり、つまりは選手個々の疲弊によるパフォーマンスの低下によって起きていた。

 

▲足の痛みを抱え、終盤になるにつれパフォーマンスが低下していった井上潮音。チーム全体のサッカーが焦りから前に早くなっていったこともそれに輪をかけた

 

それでも勝点3を積み、清水から再び首位を奪い返した。連続無敗記録も『20』に伸ばした。何より『あと1勝』で、長崎の結果がどうであろうと昇格は決まる。

(残り 6237文字/全文: 7403文字)

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