「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

積み上がる走力、メンタリティ、経験値。スタイルを貫き、相手を圧倒した勝点1。【J2第9節 アルビレックス新潟戦レビュー】(20.8.3)

2020明治安田生命J2リーグ第9節

2020年8月2日18時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム

入場者数 1953人

栃木SC 0-0 アルビレックス新潟

(前半0-0、後半0-0)
得点者:

天候 晴れ
気温 25.8
湿度 67%
ピッチ 全面良芝

<スターティングメンバー>

GK 1 川田 修平
DF 4 髙杉 亮太
DF 30 田代 雅也
DF 6 瀬川 和樹
MF 15 溝渕 雄志
MF 25 佐藤 祥
MF 14 西谷 優希
MF 18 森 俊貴
FW 29 矢野 貴章
FW 21 大﨑 淳矢
FW 8 明本 考浩
控え

GK 31 大野 哲煥
DF 40 井出 敬大
MF 13 禹 相皓
MF 24 和田 達也
FW 16 榊 翔太
FW 19 大島 康樹
FW 34 有馬 幸太郎

46分 大﨑→榊
86分 榊→和田
90+3分 明本→有馬

▼越えていくフィードを怖がらずに

5分、チームのハイプレスに連動しようとする西谷の頭上を相手のフィードが越えていく。

背後に潜り込んだ中島が前を振り向くと、西谷が慌ててきびすを返してプレスバックし、中島を押し倒してファウルで止めた。

14分、またも新潟が栃木のハイプレスの背後を突く。GK藤田のフィードから栃木の最終ラインの間を割るようにFWマンジーに突破されかけたがファウルで止めた。

 

前半、新潟の狙いは栃木がハイプレスを仕掛けてくる、その背後。フィードを供給しているのはGK藤田だ。この試合、度重なる好セーブで注目されることになる藤田の強みは右足のフィードだった。

相手を自陣に誘い込んでおいてから一気に背後へ――。いわゆる疑似カウンターである。

 

 

 

このとき、栃木が相手の背後へのボールを怖がって下がってしまえば相手の思うツボ。前線は前から行きたがり、後ろは背後へのボールを恐れて下がるとなれば、全体のコンパクトさは失われ、今度は中央にできたスペースを相手に使われる悪循環に陥る。

 この日の新潟の中盤は、サイドハーフの2人の選手までボランチを本職とする構成だった。栃木に背後へのボールを意識させつつ、嫌がった結果として中盤に生まれるスペースを使ってボールもゲームも支配する――。

そんな狙いがあっただろうか、しかし栃木はそうさせなかった。

 

恐れなかった。恐れずにハイプレスをかけ続けた。背後をとられたならば、冒頭の5分や15分のシーンのように、必死にプレスバックして走って潰せばいい。俺たちにはそれだけの走力がある。恐れて下がれば相手の思うツボ。その失敗は2節山形戦で経験済みだ。下がるな。前だ。前からいくぞ。俺たちのサッカーをするんだ――

そんな心の声が聞こえるかのようだった。

「J2で一番プレッシャーをかけるチームになるぞ!」

過日、練習中に指揮官はそう豪語していた。その気概を選手たちが愚直に表現しようとしていた。

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