「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【レビュー】栃木SC J3第10節SC相模原戦 最後に勝ちに行って隙を見せて今季初黒星。一個レベルを上げたいのならば次も怯まずに勝ちにいくべし。

2017明治安田生命J3リーグ第10節

2017年5月28日13時キックオフ 相模原ギオンスタジアム
入場者数 3,362人(そのうち栃木SCサポーターはメインに80人、ゴール裏60人、バックに30人、合計約170人ほど)
天候 晴れ時々曇り、弱
気温 27.1℃
湿度 49%
ピッチ 全面良芝、乾燥

SC相模原 1-0 栃木SC
(前半0-0、後半1-0)
得点者:90+4分 保崎淳(相模原)

<スターティングメンバー>

◆栃木SC
GK 15 ジョニー レオーニ
DF 26 夛田 凌輔
DF 4 広瀬 健太
DF 5 尾本 敬
DF 17 福岡 将太
MF 38 宮崎 泰右
MF 11 岡﨑 建哉
MF 16 仙石 廉
MF 14 西谷 和希
FW 21 牛之濵 拓
FW 13 上形 洋介
控えメンバー
GK 1 竹重 安希彦
DF 7 菅 和範
MF 2 西澤 代志也
MF 24 和田 達也
FW 19 服部 康平
FW 8 廣瀬 浩二
FW 9 竹中 公基
監督 横山 雄次

32分 上形→服部
62分 牛之濱→竹中
71分 岡崎→西澤

 

最後は勝ちに行ったが逆襲から……

 

85分くらいまではいつも通りの栃木だった。

決定機逸の回数もいつもと変わらなかったと思うが、それでも西谷和希に当たりがあれば勝っていた試合だったと思う。ただ、この日は西谷の日ではなかった。GK川口能活の日だった。

 

チャンスを決め切れないなか、最後の時間帯、栃木は3連勝を懸けて完全に勝ちにいった。あまり見慣れない光景だったので、僕はそわそわしてしまった。

まったく栃木っぽくなかったが、チームがリスクをとって勝ちいく姿勢をありありと見せたことは、もちろんその前に決めておこうぜという話だし、後味は悪いが、悪くなかった。結果は完全に裏目だったが。

 

「引き分けを良しとしない」

 

こう指揮官が振り返っている。

 

「去年の引き分け数や得点数を選手たちに見せて、『去年の引き分けを二つ勝っていれば、今年J2にいたんだよ』という働きかけをしている。今日はその意味で、とにかく勝点3を取るということに焦点を当てていたので、その意味で、選手たちはよくチャレンジしてくれたと思っている。ただ、結果が明らかに裏側に出てしまったので、僕自身もこの敗戦に向き合って、反省して、悔しい敗戦なので次に活かしたい」

 

去年優勝した大分の戦績は、19勝4分7敗。これで勝ち点61

対する2位栃木の戦績は、17勝8分5敗。これで勝ち点59

ついでにいえば、得失点差は前者が+26、後者が+18だった。

 

大分は栃木よりも「分け」が4も少なく、その分、「勝ち」と「負け」が2つずつ多かった。これでトータルの勝点で栃木を「2」上回った。

 

これが何を意味するか。

一つは、大分が栃木よりも得点が奪えるスタイルだったこと。多少失点がかさんでも(栃木が年間20失点、大分は24失点)、得点力で勝ち切れる試合を積み重ねたこと。

もう一つ言えそうなのは、引き分けるくらいならば、勝つか、負けたほうがまだマシ、ということである。

2試合を戦って、2分け(=勝点2)よりも、1勝1敗(=勝点3)のほうが勝点で上回る。それがリーグ戦だ。

栃木に置き換えれば、前者の2分け(=勝点2)は、勝ち切れない試合、攻撃にパワーをかけきれずに終わった試合。今季もすでに何試合かやっている。

一方、後者の1勝1敗(=勝点3)は、負けもあると頭でわかっていながら勝ちに行った試合。この試合のことである。

 

この日、チームは最後、明らかに勝ちにいった。

 

「連勝を伸ばしたかったし、去年の悔しい思いがあって、もう一個上のレベルにいく、ここで走り勝って勝ち切る、という勝者のメンタリティじゃないけど、その意識が高かったゆえのこういう展開だと思う。僕自身は悪い方向には捉えていないので、自分たちを改善するだけ」(宮崎泰右)

 

一個上のレベルに手をかけるために持てる力をすべて注ぎ込んでチャレンジし、失敗した。それが今季初黒星の引き金を引くとは。フットボールは、なかなか思うようにはいかない。

 

とはいえ、最後の捨て身作戦の結果負けてしまったことは、ある程度仕方がない、と言えるかといえば言えない試合だったことも確かだ。

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