【無料記事】【プレーヤーズコラム】栃木SC ルーキー西谷和希、不完全燃焼の開幕戦で得た宿題「ボールさえ入ればもっとできる」
試合後に繰り返した反省の弁
地元益子町の両親、友人、多くの支援者たち、そして栃木のファン・サポーターが期待するなかでのプロデビュー戦。Jリーグ参入後の栃木SCの大卒新人として初めて開幕スタメンを勝ち取ったのはMF西谷和希だったが、その自己評価は80点。
「攻撃面で課題が残りました」
試合後の西谷の表情は不完全燃焼の色が濃く滲んでいた。
13日のガイナーレ鳥取の開幕節は、互いに3-4-2-1のシステムを採用するミラーゲームとなった。
「1対1で絶対に負けるな!」
双方のベンチからそんな檄が飛んだ一戦。西谷がマッチアップしたのは、鳥取の右ウィングバックの28番、今季福岡大から加入した山道淳司。
栃木の左サイド、鳥取の右サイドは、大学サッカー界の東西の雄と言われる大学出身のルーキー対決となった。
「相手もすごくいい選手だと思ったし、そんなに簡単にやれる相手ではなかった。でも、相手のことよりも自分のプレーに集中していました」
前半の半ば過ぎ、ペースを握った鳥取はボールを左右に散らして栃木全体を揺さぶる。そして隙を見ては栃木の3バックのサイドのスペース、左ウィングバックの西谷の後方のスペースに走り込む山道へ目掛けてロングフィードを送り込んだ。
前半の西谷は、このボールの対応に追われ、自陣に張り付いての守備を強要された。転じて得意のドリブルを披露したかったが鳴りを潜めた。
「チームのことを第一に考えて守備で貢献することを考えていましたが、守備で下がったあとに前へ出ていくパワーがちょっとなかった。攻守の切り替えをもっと意識して、思い切りよく味方を追い越すプレーができればゴール前に絡んでいけるんで、そこは反省点です」
開幕戦の栃木はチームとして、縦へ、という急いだ展開が多かった。
「もう少し(左右に揺さぶって)自分のサイドで起点になって形を作れれば色んな攻撃が見られたと思うんですけど、開幕戦ということで難しかった面はあると思います。そこはチームの反省点として、来週一週間取り組んでいきたいです」
「勝たないといけないというプレッシャーはあったと思うんですけど、プレッシャーがかかるのは当たり前。そのなかでどれだけできるかが求められているし、それも技術のうちだと思うんです。もっとプレッシャーがかかったなかで平然とプレーできるように成長したいです」
開幕戦直後のメディアとのミックスゾーンで、西谷は反省の弁を繰り返した。
「ボールさえ入ればもっとできる自信はあります。でも、その前のボールを呼び込む動きをもっとこだわらないと」
普段の愛らしい表情とは裏腹に、言葉の端々にかなりの悔しさが滲んでいた。内に秘める負けん気の強さが覗えた。
この日は幼少期から憧れていたという栃木SCの聖地、栃木県グリーンスタジアムでプロとして初めて公式戦を戦った。
「試合を通じてサポーターに本当に後押ししてもらいました。やっぱり、すごく力になりましたね」
西谷はそう言うと、最後に少しだけ顔をほころばせた。