「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】【コラム】MF 6 リ ハンジェ『“休息”で得た財産』

▼外からクラブを見つめて

“プロサッカー選手の価値”をあらためて実感する“休息”だった。

前節・ジェフユナイテッド千葉戦で出場停止だったチーム主将リ・ハンジェのリーグ戦における欠場は、2014年9月7日開催J3第24節・Jリーグアンダー22選抜戦以来。実に約1年10カ月ぶりのリーグ戦欠場だった。

キックオフ前にはメンバー外の選手たちとともに、『ゼルビーランド』に姿を現し、シン・ゴジラやゼルビーとともに壇上に上がった。「あまり振ってほしくなかった」と本人は思いつつも、滅多にないチーム主将の登場に周囲が黙っているはずはなく、クラブスタッフは迷わずリ・ハンジェを指名し、そこに集ったファン・サポーターへのメッセージをねだった。

「笑いを求められても困るんだけどなー。僕の話、真面目でつまんないっすよ」

そう言いながら話し始めたキャプテンが「いろいろな方々に支えられてホームゲームは運営されているんだな……」と言葉を綴ると、座席から「優等生!」という声が聞こえてきた。そして7月29日に新作の劇場公開を控えるゴジラとの記念撮影では、仲睦まじく手をつなぎながら写真に収まった。

千葉戦のキックオフは、久しぶりにスタンドで迎えた。野津田のピッチを駆け抜ける選手たちを応援する気持ちを抱きながら、「やはりプロサッカー選手は『試合に出てナンボ』だな」という思いが去来していたという。試合に出ているときよりも、必要以上に緊張したのはココだけの話である。

それ以上に、思いを強くしたことがある。チーム主将が言葉を紡いだ。

「試合のピッチに立つのは僕たち選手ですが、ホームゲームの運営を支えてくれる方々がいるから、選手たちは試合ができています。外から試合を見ることと、普段は接することがないような方々と接することで、『こんなにもこのクラブのことを思ってくれているのか』と、選手たち以上にクラブへの熱い思いを感じました。純粋にココで頑張りたいと思いました。そういう気持ちがクラブを上に押し上げるのだと思っています」

ホームゲームの運営を支えてくれる方々の存在がなければ、試合という名の戦いの舞台に立つことはできない。クラブ愛に支えられた公式戦で戦えることの価値を、リ・ハンジェはあらためて再認識したという。

実際の試合は、重松健太郎のゴールで一時は逆転したものの、終了間際に決勝点を奪われて、チームは敗戦を喫した。劣勢に立たされた終盤の時間帯で、己がピッチに立っていれば、チームのために何ができたのか。その自問自答の答えを披露する機会は、千葉戦から3日後、敵地でのセレッソ大阪戦でやってくる。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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