「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第35節・琉球vs町田/琉球・薩川了洋監督、岩渕良太選手、町田・相馬直樹監督コメント(5,490文字)

■明治安田生命J3リーグ第35節10月25日(日)15:00キックオフ
沖縄県総合運動公園陸上競技場/823人
FC琉球 0-2 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/28分 増田繁人、61分 鈴木孝司

 

■薩川 了洋監督(琉球)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「そうだな。強えーな、町田。強えー。向こうは(選手)層が厚いので、前半をなんとか0-0で風上になる後半に戻ってきてくれたらなと思っていた。良い時間帯はあったんだけど、こちらがボールを奪ったあとの一つ目のプレーでの個人的なミスが多かった。ただできている時間帯もあったし、町田が守りに入ってからの時間帯ではウチがボールを動かすことはできたけど、パスの質や体の規格が全然違うので苦しい部分はあった。ウチは身長が高い選手でも177cm。町田は189cm、184cm、181cm、182cm、189cmの選手がいるし、屋宮(大地)のクリアミスから失点したことが大きなポイントになった。ただ新しい選手たちを試せたことはポジティブに捉えていいし、先ほども選手に話してきたが、『もっとできたんじゃないか。もっとボールをキープできたら、ドリブルできたら、良いパスを出せていたらと考えようよ』と。もちろん勝ちに行った中で負けることは悔しいことだけれども、町田は上位を目指しているチームだし、ウチはBクラスの5位争いをする中で、勝ち点42から45の勝ち点3差の中に5チームがいるから、まだまだウチは5位を目指せるチーム。直接対決で上を一つひとつ倒して、一つひとつ順位を上げていきたいと思う」

——相手の高さ対策について、具体的に教えてください。
「対策? 対策なんかないよ。マークをしっかり付けということぐらいしかない。僕も現役時代は体が小さい選手だったけど、体が大きい選手に対して先に体を入れられてしまっては負けだよねと。(相手がシュートを打つときに)体に当ててゴールの枠を外れるならば相手の勝ちでも何でもないとそれを言うしかない。今日の場合は。CKのときは前に立たせる選手を減らして、中のスペースを埋めること。あとは対策なんてものはない。一番はゴール前でミスをしないということ。だいたい負けるチームはミスをするし、今日のウチで言うと、マークのミスがあったし、2点ともヘディングで入れられているということはマークの部分を徹底できていないということで、それは課題が残った。ただもうね、町田はデカ過ぎでしょ。ウチが小さ過ぎかもしれない。ただ最初はしっかりと体を当てることはできていたし、ウチはセットプレーからゴールを入れられることはそんなに多いチームではない。それは体が小さくてもを選手たちがしっかりとプレーしてくれている証拠。自分たちは5位を目の前の目標にしている。町田には勝ちたいという気持ちはあるけど、見据えている部分はあるし、それは選手たちとも見失わずにやっていきたいと思う。5位になる可能性はまだある。ここからは直接対決が続くので、そこに向けて準備をしていきたい。町田とは力の差を感じた。個人のところでも、体のキレ、強さ、スピード、前線のキープ力、そして決定力。そういった差は感じたし、それを言っても仕方がない。チームも個人もそういう選手にならないといけないけど、クラブもそういう選手を獲らないといけないと思う。クラブ対クラブという意味では、町田はJ3の中ではビッグクラブだし、琉球はまだまだのクラブ。そういったことを現場だけではなく、会社も感じながら、少しずつ階段を上っていきたいと思う」

——今日の試合を踏まえて、次の秋田戦、どういう試合にしていきたいというイメージがありますか?
「今日は3バックで戦った。マークをハッキリするという意図があった。2点目に関してはオレの中ではハッキリ言って、あれだけどフリーになるのはどうかと思うけど、そうは言っても守りから入ることはやりたくない。パク・リキが右サイドをやっているほうが良いという新しい発見もあった。点を取ることに関して、来週は突き詰めていきたい。守ってばかりでは勝てないし、守りもしっかりするけど、攻撃面、得点力の部分をもう一度見直していきたい」

——次節の秋田戦に向けて、相性の良い相手ですが、相手の印象とどんな戦いを挑もうとお考えですか?
「秋田は第3クールでトップを走っているんじゃないか。山口よりも町田よりも上を走っている。相性の良さはあるのかもしれないけど、しっかりとポゼッションをしてくるサッカー。ただウチと同じように雑さがある。お互いのミスがどう試合展開に響くかだと思うが、向こうはずっと負けていない。長野と引き分けたぐらいで、勝ち切っている試合が多い。第3クールに入ってチームらしく、組み上がっている。ウチはけが人で苦しい部分はあるけど、相性のこともあるし、相手にすればウチはやりにくいのかもしれないけど、ガチで自分たちのサッカーをぶつけていくだけ。スカウティングで相手のストロングポイントは消していく部分はあるけど、これから先の4試合はお互いの良さをぶつけ合う試合になる。課題を克服しないといけない部分はあるけど、これから4試合は選手たちの良い部分を出していきたいなと。スムーズに自分たちの良さを出せるようなトレーニングをやっていきたい。ただ、いまウチは3連敗なんでね。大事な一戦だし、秋田に勝てば勝ち点1差で順位も抜ける。対策というよりも、自分たちの良いところをもう一度確認して、秋田(戦)に入っていきたい」

——岩渕(良太)選手が前線で起用されましたが、今後も前線での起用を考えているのか。また田中恵太選手の復帰のメドは?
「恵太はね、(第38節の)福島戦でサブに入れれば良いなというような状態かな。自分の中では今季絶望の状態なのかなと思っていた。松尾(昇悟)は次でいけるかもしれないというレベル。ブチ(岩渕)はチームも勝たないといけないけど、選手を伸ばすという監督としての仕事を考えると、ブチは体の線が細いということを考慮して、ウチで使っているのはボランチ、SBや3バックの右や4バックの右CBなどの最終ライン、そして2列目。3つ(できるポジションを)持っていると、ユーティリティー的にブチがこれから先、選手として生きていく意味でも良い経験になると思っている。それをこなすだけの技術と体があるからやらせている。ドリブラーがいない中でもドリブルである程度ボールを運べるし、今後は2列目での起用も考えている。いまは厳しいかもしれないけど、ここ3つ負けることは想定内というか、1位、2位、3位のチームとやるということは、(3連敗もあり得ることを)考えておかないといけなかった。それでも5チームがこれだけ混戦になってくれたのは、次のモチベーションになるし、選手も頭を切り替えられる。けが人もいて厳しい状況だが、それはみなさんも分かっているとおり、その中でやらないといけないのが僕らの現場の仕事。変な方向に進まないように、残り4試合は本当に勝ちにこだわっていきたい。今までも勝ちにこだわっているんだけど、3連敗しちゃったね。勝負事だから仕方がない。選手が一番悔しいと思うが、走れていないわけではない。これで下を向くチームではないし、真面目にやってくれる選手たちなので、選手を信じて一緒にやっていきたい。もう(会見は終わりで)いいね。強えー、町田。強いわ。強いチームを作ろう(と言いながら会見場をあとにする)」

 

■FW 14 岩渕 良太(琉球)
「(町田に)押し込まれる時間帯が長くなることは分かっていたんだけど……。前半はそれなりにやれていて、ピンチはあったけれども、体を投げ出して防げている部分もあった中で(前半)セットプレー崩れから失点をしてしまい、もったいなかった。僕も(ゴール)チャンスはあったけど決め切れず、(試合展開に)響いてしまったと思う。ただ今日の試合は決して悪くはなかったと思う。(FWで出場したことについて)試合で心がけていたのは、攻撃の起点になること。(ボールを)奪った後のファーストパスをしっかりと収めて自分たちのボールにして時間を作って攻撃につなげるということをすごく意識していた。点を奪うことが一番だったけど、それはできずに残念だった。(小幡純平選手との連係でGKと1対1の場面もありましたが?)少ないタッチ数で前に動いていけばチャンスは作れる。形としては良かったが、決め切れないとダメで、決定機をものにしていかないと。ちょっと難しかったのでシュートの瞬間にどのコースに蹴るか、どこに蹴るか、迷いが出てしまった。もっと振り切れば良かった。(町田を崩すためにどんなイメージでしたか?)対町田というよりも、少ないタッチ数で攻めるのが僕の持ち味でパスを出して前に出て行くことはイメージしていた。決定機の場面はそれがうまくいった。でも決めないといけない。(ボランチ、SB、サイドハーフなど複数のポジションを経験しているが?)僕はもともと前線の選手なので、もっと前から(FWで)プレーしたかった。いろいろなポジションを経験して自分のものにしている実感もあるので、どのポジションでも(監督が求める)高いレベルでプレーできるようにして、得点を増やすためもっともっとやっていかないといけないなと思う。(次節は好調の秋田が相手です)チームの目標が5位以内。それに向けて残り試合は負けられない。一つひとつを決勝戦という気持ちで勝ちにいかないといけない」

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の感想からお願いいたします。
「ここ非常に遠い地・沖縄までたくさんのサポーターに詰め掛けてもらいました。感謝を申し上げたいと思います。この時期にこちらに来る上で日差しもありますし、暑さもある中、風も強かったですが、サッカーをやる上では風は邪魔なものなので、そのぶん選手たちにとっては暑さの部分で助かったのかなと思います。そして最後まで走り切って戦い抜いて勝利をつかみ取ることができました。町田で応援してくださる方々もいる中、勝ち点3を持ち帰ることをうれしく思います。ゲームのほうは、前半は風上ということでわれわれが相手陣内に押し込む展開が続きました。その中でいくつかリスタートを含めてチャンスを迎え、もう一つ点を取り切るところが足りず、もう少し点を取れただろう展開ではありましたが、良いボールが入った形から高さの部分をうまく生かせたと思います。2点目はクロスボールの形からゴールが決まりましたが、今日は横のボールに対しての迫力が前半からあったと思います。ハーフタイムにはそういう話をして継続していこうと、選手たちに伝えました。その中で後半に良い時間帯に点を取ることができました。後半は足が止まった部分もありましたし、風下の条件下、リードしていたことも含めて、守る時間帯が長くなりました。3点目を取るチャンスはありましたし、その3点目を取るということが、ここから4試合ありますが、逆転して一番上に行くためには追加点が必要なことだと思っています。ただ涼しいところからこういう暑いところに来て、そういう環境の中でも、最後まで走って戦い切ってくれた選手たちに感謝したいと思います」

——61分に重松(健太郎)選手から松下(純土)選手への交代がありました。その意図は?
「後半の立ち上がりは風下になった中、攻撃の時間を作れていましたが、交代の5分ぐらい前からボールが取れない、守りの時間帯が長い、ボールを取ったあとに攻めに転じられない時間帯がありました。その中でいくつか後半の攻撃の場面、カウンターの場面で重松が乗り切れなかった印象もありましたし、全体の運動量が落ちてきたこともありましたので、松下の運動量でセカンドボールを拾うこと、そこから前に出ることを期待して選手交代を選択しました」

——コイントスでエンドのコートを選択しましたが、それは事前に監督から指示を出していたのでしょうか?
「選手がいろいろと話していました。太陽の関係と後半に陽が落ちていく中で後半にまぶしくなるんじゃないかと。後半に風下で足元がキツくなる時間帯もあるかもしれませんが、同じように後半に押し込まれる状況が続いたときに、まぶしいことで的確にはじき返せないという状況を避けようと選手たちで判断したようです」

——次節の福島ユナイテッドFC戦に向けて、相手の印象と対策について聞かせてください。
「僕はいつも次の試合を見ないように、目の前の試合に集中するようにしていますし、選手にもそういう話をしています。次の相手に気が向いて、次の相手がこうだからこう動かそうという迷いが生じることになるので、次のことは考えていません。ただ福島さんは結果だけを見れば非常に第3クールは勢いがあります。そこに向けての準備をしっかりとしたいなと。いまは力が乗っているチームですし、ホームで迎え打てるように、選手たちとしっかりと準備していきたいと思います」

——サイドから攻める形が多かった印象ですが、事前にそういうプランだったのでしょうか? それとも試合の途中から効果的だと思ったのでしょうか?
「そこまでの指示はしていません。サイドに常に起点を作りながら攻める意図はあります。ただクロスボールから得点という形はそこまで多くないかもしれませんが、そうした中で点が生まれたことは、中を突破する形にも生きてくると思います。そしてサイドを崩すことへの自信につながればいいなと感じています」

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