「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開・コラム】涙のラインダンス。6カ月前の記憶を乗り越える戦いへ

▪︎明治安田生命J3リーグ第12節・13:00キックオフ
藤枝総合運動公園サッカー場
藤枝MYFC vs FC町田ゼルビア

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▼J2・J3入れ替え戦出場に一歩届かず

 

昨季の最終節、敵地での藤枝MYFC戦。勝ち点1差で2位・AC長野パルセイロを追う3位・FC町田ゼルビアは、他力ながらもJ2・J3入れ替え戦進出を懸けて、藤枝戦のピッチに立った。

試合は拮抗した展開の中、町田が68分に直接FKを獲得すると、鈴木崇文が自慢の左足を振り抜く。強烈な軌道を描いた直接FKが藤枝・大石治寿の体をはねのけて藤枝ゴールに決まった。

結局、試合は鈴木崇の虎の子の1点を守り切った町田が1-0で勝利。しかし、吉報は届かなかった。

21歳の三鬼海は泣き崩れ、深津康太はうっすらと目に涙を浮かべていた。悲しき勝利のラインダンス。そのとき、主将のリ・ハンジェは列の左端にいた。

「昨季の最終節。ホームのような雰囲気を作ってくれたサポーターの前で勝ったにもかかわらず、みんなで涙した覚えがある。勝って勝利の雄叫びをあげるのではなくて、ラインダンスをしながら泣いているという悔しさを絶対に忘れちゃいけない」

2014年11月23日以来、藤枝のピッチに立つゼルビアの戦士たち。メンバーも入れ替わっているとはいえ、あの日の涙を単なる悲しい記憶だけで終わらせてはならないと、主将は言葉に力を込める。

「あのときと状況は違うにせよ、藤枝で勝ってここからまた昇格に向けて戦っていくんだという姿勢をサポーターに見せたいし、チームの一体感を見せて戦っていきたい。クラブとしても、僕個人としても、あの日のことを絶対に忘れてはいけない。また藤枝から昇格に向けての戦いを始めるという意味でも、今回のアウェイでの藤枝戦は良い材料になるんじゃないか」

ピッチでの悔しさは、ピッチでしか晴らせないーー。今節の敵地・藤枝戦は、あの日の記憶を払拭するための戦いでもある。

text by 郡司聡(Satoshi GUNJI)

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