「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開・マッチプレビュー】J3第6節・SC相模原戦/近隣のライバル対決、序盤戦の分水嶺

▪︎明治安田生命J3リーグ第6節13:00キックオフ
相模原ギオンスタジアム
SC相模原 vs FC町田ゼルビア

 

▼『武相決戦』か『相武決戦』か

 

前節・ガイナーレ鳥取戦(2◯0)で“ジョーカー”として、途中出場から2ゴールを奪った宮崎泰右の活躍により、FC町田ゼルビアは今シーズン初勝利を飾った。最終ラインで守備を支えた深津康太は鳥取戦を「(激しい球際の攻防、素早い攻守の切り替えなど)チームとしてやるべきことができたし、自分たちのサッカーを取り戻すことができた1試合だった。僕たちがどういうサッカーをするのかを見せ付けられた試合」と振り返る。鳥取戦はベースとなるチームコンセプトをピッチ上で表現することが勝利への近道であることをあらためて再認識した一戦となった。

今シーズン初の3連勝へ、次なる対戦相手はSC相模原。近隣の街にホームタウンを構えるチームとのダービーマッチとなるが、今シーズンはただのダービーマッチではない。両クラブの対戦を盛り上げるために、町田vs相模原の一戦のダービー名を今シーズンの3試合の結果によって決定する『俺たちの誇りをかけた戦い』という対決色を強めた決戦として開催することになった。

両チームの対戦を紐解くと、町田側は『武相決戦』、相模原側は『相武決戦』と呼んでいたが、2015年の直接対決3戦合計で勝ち点が上回ったチーム側の名称が翌年の対戦でダービー名として使われることになる。仮に町田側が勝ち点で上回った場合は従来どおり、『武相決戦』と銘打ち、特別横断幕が試合会場に掲げられるほか、相模原側のホームゲームでも、『武相決戦』という横断幕が掲げられることに。もちろん、相模原側の公式サイトや試合告知ポスターなども『武相決戦』と銘打つことが義務付けられるという。

互いのプライドを賭けた相模原とのダービーマッチを前に、遠藤敬佑は「ファン・サポーター、クラブ、コーチングスタッフ、選手たちも近隣の相模原には勝ちたいと思っている。相模原戦は大事なビッグゲームになると思うので勝ちたい」と決意を語った。

 

▼チーム力に自信を持つ相模原のエース

 

今シーズンの相模原は、このシーズンオフに元FC岐阜監督の辛島啓珠新監督を招へいし、森勇介や井上平、樋口寛規ら有力選手を補強した。元日本代表FW高原直泰もチーム残留を果たし、確実に戦力が増強されたことで現在チームはJ3・2位と好位置に付けている。エースの高原もチーム力に自信を持っており、「監督が代わってチームとしてやるべきことがハッキリしていて、全員が役割を果たしている。それと選手のクオリティー。(好調の理由は)その二点に尽きる」と好調の理由を語る。

曽我部慶太、樋口といった両サイドハーフによるサイド攻撃が「チームの軸」(星野悟)だが、今シーズンは「精度の高いクロスボールとスピードがある」(深津)という森が加わったことで、サイド攻撃の破壊力は増している。「サイド攻撃は絶対にやらせない」と強い決意をにじませる星野らサイドバックの選手がマッチアップで負けないのはもちろんのこと、たとえクロスボールを上げられたとしても「上がってきたクロスは跳ね返す」と語る深津らセンターバック陣の適切な対応が欠かせない。リーグ2位の得点力を誇る相模原の攻撃力を封じなくては、勝利への道は切り拓けない。

前述したようにライバル・相模原は、4位・町田の上をいく現在2位と、スタートダッシュに成功している。J3優勝でのJ2昇格を目標に掲げる町田としては確実に叩かなければならない相手だ。遠藤は「シーズンの初めに叩いておくことで相手チームにイヤなイメージを植え付けることができる」と、シーズン初戦でライバルを倒すことの価値を口にした。

今シーズン初の『武相決戦』は、唯一無二の目標に到達するために、“分水嶺”の一戦となる。

 

【選手コメント】

▪︎DF 5 深津 康太
「(昨年の相模原戦ではゴールも決めていますが?)理由は特にないけど、相模原戦はなんか相性が良い。今年に限っては知っている選手が多いので、負けたくない気持ちは強くなったと思う。井上平と森勇介さんには本当に負けたくないから楽しみな試合。今年一番楽しみな試合と言えるかもしれない。もちろん、ゴールを決めたい気持ちはあるけど、僕としてはゼロで抑えたほうがうれしい。平はイヤなところに入ってくるし、勢いがある。森さんは抜群のクロスボールとスピードがある。止めるのはなかなか難しいので、上がってきたクロスボールをはじけるようにしたい。良いボールも上がってくるので、油断せずに気持ちを引き締めて戦いたい。一人でも多くのファン・サポーターの方に盛り上げてほしい。いつもどおり全力で戦う」

▪︎DF 2 星野 悟
「(相模原について)サイドにボールが入ったら攻撃が始まるというイメージ。昨年は僕のサイドからアシストされたシーンもあった。昨年のチームから菅野(哲也)くんが抜けたので、どんな選手が出てくるのかは分からないけど、曽我部ら両サイドハーフを抑えられれば、良い展開にさせないで済むかなと感じている。(高原について)基本的になんでもうまい。点を取る感覚やチームメートに点を取らせる感覚も抜け目ない。少しでも時間を与えたらやられるなという感覚はある。曽我部は(対面となる)左サイドで出てくるだろうし、そこが攻撃の核になる。そこを抑えることができれば、チームはラクになる。どれだけタイトに守れるかだと思う。守備からしっかり入って、失点をしないようにチームの助けとなるような働きをしたい。ダービーだし、サポーターの人は結構意識をしていると思う。来てくれる人に勝利をプレゼントできるように頑張りたい」

︎▪︎FW 9 鈴木 孝司
「相模原は近隣のチームなので負けたくない。補強もしてきたし、相模原を絶対に勢い付かせたくはない。良いゲームになると思う。いまは連勝をできているけど、一戦一戦を大事に戦ってチャレンジャー精神を持ってアクションを起こせば良い結果が出ると思う。その中でゴールが生まれればいい」

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