「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

復帰した山中の視線はさらに先を見据えている。それは日の丸をつけてプレーすること -山中亮輔の復帰について

 

先週末のセレッソ大阪戦。マリノスは今季ワーストとなる4ゴールを献上し、ホーム最終戦で屈辱の敗北を喫した。

DF山中亮輔はただ見ているしかなかった。負傷の影響でピッチに立てないどころか、ベンチにも入れず、居場所はスタンドの関係者席。点の取り合いの末に劇的な勝利を収めた浦和レッズとの開幕戦は負傷で棒に振っただけに「お客さんがたくさん入るホーム最終戦はピッチにいたかった」が、その願いは叶わなかった。

高知キャンプ3日目の練習終盤だった。突如としてしゃがみ込み、タッチラインの外へ出ると、仰向けになって倒れてしまう。

「マジかー」

 現実を受け止めきれないといった様子のトーンで嘆く声が、ピッチの外まで聞こえた。そのままメディカルスタッフの肩を借りてロッカールームへ下がり、宿舎に戻る際には「肉離れだと思います。自分で分かった」と沈痛な面持ちで首を横に振った。

 

 

PREMIUMコースとは

 

負傷の瞬間は長期離脱も覚悟した。しかし精密検査の結果は軽度の肉離れで済んだ。その日から治療とリハビリが始めたが、不幸中の幸いはキャンプ中だったこと。入念なアイシングと幹部への圧迫を繰り返す作業は、ドクターやトレーナーが常に身近な場所にいるキャンプ中のほうが集中して行えた。

その結果、キャンプ明けの先週からグラウンドでリハビリを開始し、ランニングからスプリントと段階を経て復帰へ近づいた。今週に入って火曜日と水曜日は部分合流とステップアップし、木曜日からはついに完全合流。対人練習にも参加し、ゲーム形式では主力組に入る場面も。練習を終えた山中は「怖さはありません。初期治療が良かったと思います。メディカルスタッフに感謝しています」と安堵を浮かべた。

復帰したからといって先発が約束されているわけではない。セレッソ大阪戦は実績で勝る下平匠が出場した。今日の練習では両選手を順番に主力組に入れることで競争を促している。山中のコンディションが整っているのを最低条件として、ポジション争いに勝たなければ出場のチャンスは訪れない。

そんな状況でも、山中の視線はさらに先を見据えている。ベガルタ仙台で復帰し、最終節の浦和レッズ戦にも出場する。そして12月にある「EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会」で日の丸をつけてプレーすること。東アジア選手権が名称変更した大会には主に国内組の選手で構成される見込みで、ワールドカップアジア最終予選の大枠に登録されていた山中にはそのチャンスがあるかもしれない。

まずは仙台戦でコンディションが戻ったことをアピールし、浦和戦を含めた2試合で目に見える結果を残したい。再び上昇気流に乗り、日本代表への扉を自らの力でこじ開ける。そんな青写真とともに、金髪の左SBがピッチに帰還する。

 

 

 

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