「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

1トップ機能せず/光明は小椋 [練習試合レポート vs 長崎戦] +兵藤インタビュー

【練習試合:vs V・ファーレン長崎(J2)戦】

形式:30分×4本

スコア:1-1(0-0、1-0、0-0、0-1)

得点者:64分兵藤(マリノス)、116分O.G(長崎)

【1本目】 【2本目】
【3本目】 【4本目】

 

前日までが嘘のように冷え込んだキャンプ7日目は午後にV・ファーレン長崎と練習試合を行った。形式は30分×4本で、メンバーは主に1、2本目と3、4本目に分かれた。メンバー編成について樋口靖洋監督は以下のように狙いを語っている。

「こうなったというか、意図を持ってこうした。ここまで練習試合3試合をプレーした中ではお互いのプレーの特徴を知ることが目的の一つだった。今日はまずコンセプトを知っているメンバーがどれくらい思い出しているかを見たかった。逆に3、4本目は新加入選手がコンセプトをどれだけ理解しているかを知りたかった」

その結果、1、2本目は見事に昨シーズンの主力選手が並び、長期離脱していた小椋祥平を除けばシーズン終盤に試合に出続けていたメンバーとなった。その一方で3、4本目は新加入選手がそれぞれ7選手含まれており、昨シーズンからの貯金はゼロに等しい。始動日からこの日までに学んだことを試される場となったわけだ。

ただ試合を終えた選手たちに笑顔は見られなかった。特に「全然ダメ」と首を横に振ったのは新加入の藤田祥史だった。3、4本目の1トップとして出場したが、後方からのボールを効果的に引き出せず、消化不良の出来に終わった。これは1、2本目の1トップに入ったマルキーニョスでも同様のことが言えるのだが、現行システムではこのポジションのプレーヤーが存在感を発揮しないかぎり、チームとしての機能性が明らかに低下してしまう。藤田はチーム戦術や周囲とのコンビネーションに慣れていないため、マルキーニョスはコンディション的な問題とそれぞれ理由こそ異なるが、結果としては同じく機能しなかった。すると2列目の選手が生きるスペースと時間はなくなり、完全に行き場を失ってしまう。

ただ、この日チームとして機能しなかったのは1トップの問題だけではない。1、2本目と3、4本目に共通して言えるのはダブルボランチがスムーズな展開を見せられなかったことだ。中澤佑二が「ウチはボランチが生命線」と語るように、ボランチの運動量が少なく、ボールに触れる機会が少ないと、どうしても攻撃に閉塞感が生まれる。それはなぜか。ボランチがボールを動かせないとき、その位置に中村俊輔が下がってくる傾向にあるからだ。すると前線の枚数が少なくなり、フィニッシュまでたどり着かない。高い位置で仕事をするという点においては同じトップ下でも端戸仁のほうが我慢が効くのだが、中村ほどのテクニックはない。

いずれにしても1トップ、トップ下、ボランチの関係性が良好でないと、チームに良い循環が生まれない。そのいずれが欠けても厳しい。長崎との練習試合ではマイボールの時間が多く、守備のコンセプトを確認するのは難しかった。逆に攻撃の狙いをどこまで達成できるかに主眼を置くことになったが、練習で繰り返していた前線の動き出しをスイッチとして3人目の動きが見られたのは数回のみ。相手の背後を突くランニングそのものが少なく、決定機をほとんど作れなかった。

そんなゲームにあって数少ない光明となったのが小椋の存在だろう。昨シーズンの主力を中心とした1、2本目で中町公祐とコンビを組んでダブルボランチを形成。体調不良から復帰したばかりの富澤清太郎ではなく、あえて小椋を起用した樋口監督の采配にも好感が

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