「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

宮崎キャンプレポ(藤井雅彦)+富澤インタビュー

 


 

毎年のことだが、この時期の宮崎は寒い。日中、太陽が顔を出していれば横浜よりも暖かいのだが、それも限られた時間だけ。朝晩の冷え込みは横浜と変わらず、太陽が雲に隠れていれば日中であっても上着は欠かせない。特にマリノスがキャンプを行うフェニックス・シーガイア・リゾートは海岸線に位置しているため、海風が吹きすさぶ。温暖な気候の下でコンディションを上げたいのならば、日本では沖縄しか選択肢はない。海外ならグァムだろう。

ただ沖縄にしてもグァムにしても悩みの種がある。同時期に同じ場所でキャンプを行なっているクラブが少ないため、練習試合を思い通りに組めないのだ。樋口靖洋監督は宮崎キャンプの目的の一つに「実戦を通してコンディションを上げること」と語っており、暖かい場所で走り込むことが最大のテーマではない。10日間で練習試合を6試合組むのは異例で、キャンプ3日目に早くも“初戦”が予定されている。実質的な始動となった28日から数えて7日目(うち1日はオフ)である。対外試合を組むにはいささか早い気もするが、考えてみればJリーグ開幕まで1ヵ月を切ったのだから、ある意味で当然かもしれない。

幸いにして今年の宮崎は暖かいようだ。「雨なのにこの暖かさとは」と目を丸くしたのは樋口監督。言葉通りキャンプ初日はあいにくの雨天となったが、それでも気温14℃である。例年は気温が一桁台に冷え込むことも珍しくなく、今年は晴れるであろう2日目から気温20℃近くまで上昇する見込みというから驚きだ。

気にならない程度のアクシデントが降雨だとした場合、気にせざるをえないアクシデントが起きたのが残念だ。25日の始動日以降は大きな離脱者を出さずに練習を続けてきたが、熊谷アンドリューがインフルエンザを患い、療養を余儀なくされた。落胆の色を隠せなかったのはもちろん樋口監督である。「1日に全員で羽田空港へ行こうと話したのに…」とガックリ。2年目の飛躍が期待されるボランチが残念ながら最初の離脱者となってしまった。なお、熊谷はキャンプを全休するわけではなく、経過観察の後に合流するというが、現時点では目処は立っていない。

その熊谷とこちらは単純に体調不良の鈴木椋大、そして新人研修のためキャンプの冒頭3日間は不在となる比嘉祐介(昨年はU-23日本代表合宿で参加できなかったため)、佐藤優平、喜田拓也の3選手を除く22選手に、練習生としてキャンプに参加している専修大の長澤和輝を加えた23選手が初日の練習を行った。午前中の飛行機移動の後に休息をとり、15時から始まったトレーニングは約1時間45分行われた。初日ということで、選手たちは自身とグラウンド状態の両方のコンディションを確かめながらプレーしているように見えた。

メニューは比較的オーソドックスなものが大半を占める。フィジカル要素を兼ねたウォーミングアップに始まり、コミュニケーションを重視したボールトレーニング。さらには攻守の切り替えを意識したポゼッションと本気度を増していったが、この日はここまで。その後はハートレイトモニターを装着し、20分間のランニングで心拍数を計測してこの日の練習が終わった。まだ初日が終わったばかりとあって選手たちの表情にも余裕が感じられる。「コンディションもチームワークもこれからだと思う」と副主将の兵藤慎剛。既存戦力と新戦力の融合は明日以降のテーマとなるだろう。

そんな中、軽快な動きを見せているのが中村俊輔だ。マリノスに復帰して4シーズン目を迎えるが、宮崎キャンプに参加するのは実はこれが初めて。2010年はキャンプ終了後の開幕直前にチームに合流したため不参加。2011年は新燃岳の噴火によって宮崎キャンプそのものが中止となり、J-STEPで代替キャンプが行われた。さらに昨年はまさかのインフルエンザでダウンと、宮崎キャンプに縁がなかった。今年も練習初日を体調不良で室内調整で過ごしたために不穏な空気が流れたが、無事に宮崎入り。それどころか「マリノスに来て、この時期では一番いい」と言い切るほど体がキレている。オフ期間中もほとんどベタ休みすることなく

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