「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

最終戦翌日の今日、クラブは契約更新する選手たちに条件面の提示を行った [2nd17節浦和戦レビュー]

 

結果こそ1-1の引き分けだが、浦和レッズとのクオリティの差は大きかったように感じる。後半に入ってスペースが生まれてからは、マルティノスの得点シーンを含めて何度かチャンスを作ったものの、シュート1本に終わった前半は何もできなかった。ビルドアップからの遅攻で相手ゴールに侵入するのは困難。齋藤学が一人いても、どうにもならないチーム力の差があった。

 皮肉に引用するつもりはないが、この試合がマリノスでのリーグ戦最終戦となった小林祐三のコメントが印象的だ。彼自身もクラブに対して不満を述べているのではなく、ピッチ内での肌感覚を小林らしい言葉で表現したのだろう。

「順位表の2枚目になったのは、自分がマリノスに来てから最低の成績。相手(浦和)は2~3年前までほとんど変わらないチームだし、選手もさほど変わっていない。積み上げの差でこれだけの差になってしまった」

 年間順位10位。優勝争いを演じた2013年をピークに、翌年以降の順位は7位、7位、そして10位。異なるシーズンを比較するのは難しいとはいえ、マリノスそのものが前進しているとは言い難い成績である。この結果については利重孝夫チーム統括本部長も「年間10位ということで満足できる結果ではない」と厳しい表情で話していた。

ポジティブな材料として、若い芽が出てきているのも事実だ。富樫敬真はルーキーイヤーで5得点を挙げ、それなりの可能性を見せた。天野純や前田直輝、あるいはパク・ジョンスといった面々も終盤はレギュラーとして懸命に戦った。だが、浦和のような強者が相手になると存在感がかすんでしまう。この日、前半のみで交代した富樫をはじめ、天野や前田は何もできなかった。パクは体を張ってピンチを防いだが、隣にいた中澤佑二の存在感には遠く及ばない。

ここへきてクラブは若返りを急速に進めようとしている。小林が契約満了となったことと全くの無関係ではないだろう。しかし、それらはとてもデリケートな事案だ。

 

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過去を参考にしながら、現在から目を逸らさず、未来をしっかりと想像する。慎重に丁寧に進めなければ、クラブはたちまち崩壊してしまう。昨今のJリーグでJ2に降格した複数の名門クラブには、以前から凋落の兆しがあったではないか。

 最終戦翌日の今日、クラブは契約更新する選手たちに条件面の提示を行った。念のため記述しておくと、契約満了による契約非更新はあくまでクラブ側の意思である。選手側は提示される側でしかない。クラブからの契約非更新のリリースが出ないにもかかわらず移籍する選手がいた場合、そのときは選手自らの意思と考えていい(仮に複数年契約が残っていたとしても)。その後、クラブと選手の交渉やクラブ間交渉を経て、すべてが合意に達した時点で移籍が成立する。

選手は商品であると同時に、かけがえのない財産だ。プレーヤーズファーストができないクラブは痛い目に遭う。大切なのは、双方が建設的に議論し、より良い着地点を見つけることだろう。そのための最適解を見つける作業は、不確定要素や偶発性の高いサッカーのピッチ内よりもよっぽど簡単に思うだが…。

荒れそうな予感が漂う契約交渉を経て、マリノスは前へ進めるのだろうか。

 

 

 

 

 

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