「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ストライカーとGKのパフォーマンスは試合の勝敗に直結する [1st10節名古屋戦レビュー]

 

ストライカーとGKのパフォーマンスは試合の勝敗に直結する。どのリーグでも、どのレベルでも、それは世界中で変わらない。彼らの成功と失敗はゴールという目に見える形で表れ、スコアボードを動かす。

 名古屋グランパス戦における勝敗は、それらが大きな割合を占めていた。シモビッチは間違いなくハイクオリティの助っ人ストライカーで、中澤佑二とファビオに対して空中戦でほとんど競り勝った。さらにゴールシーンではストライカーらしい一面ものぞかせた。発熱の影響で前半のみの出場だったようだが、それでも優良外国人であること十分に感じさせるパフォーマンスだった。

武田洋平は楢崎正剛の負傷で出番が巡ってきた形だが、あれだけ好セーブを連発したのだから称賛に値する。マリノスがシュートをGKに当ててしまった印象もあり(特に遠藤渓太)評価は分かれるところだろう。しかしながら力強い好セーブも何度かあり、確実にシュートを防いでいた。

それに対して、マリノスのストライカーとGKは与えられたタスクを完遂できなかった。無論、彼らだけを戦犯にするわけではない。チーム全体の問題も少なからずあるが、こと名古屋戦に関しては彼らのパフォーマンスが試合結果に直結してしまった。ワンゴール、あるいはワンプレーが勝敗を左右するデリケートなスポーツゆえの厳しさである。

開始6分、マリノスは最初のCKを獲得した。右CKでボールをセットした中村俊輔はジュビロ磐田戦と同じようにショートCKを選択。齋藤学からのリターンパスを受け、得意の切り返しでマークを外し、右足でマイナス気味にグラウンダーのクロスを送った。そこに現れたのはカイケだ。前節の湘南ベルマーレ戦でPKを外してしまった面目躍如のチャンスだったが、ここでまさかのシュートミス。彼にとってこの試合、最初で最後で最大のチャンスをフイにしてしまった。

 

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 試合には流れや展開が存在し、先制点が勝敗の大きなウェイトを占めることは言わずもがなだろう。マリノスはここで名古屋を仕留めなければいけなかった。カイケ自身にとっても、湘南戦での失敗を払拭するチャンスだった。ワンチャンスをモノにした対戦相手のストライカーとの差は浮彫となり、明暗を分けた。

そして、飯倉大樹のプレーに触れないわけにはいかない。試合後、名古屋の選手たちからは「スカウティングでGKが…」という言葉が何度か聞かれた。どうやらクロス対応に問題を抱えていると見て、早めのクロスを入れていく算段だったようである。結果はご覧のとおり、相手の術中に見事にハマってしまった。

1失点目はゴールマウスを飛び出たもののキャッチしきれず、ボールをファンブル。最初からパンチングを選択していれば結果は違っただろう。2失点目は競り合った川又堅碁と接触したようにも見えたが、すでに印象を悪くしていた。プレーするのは人間だが、笛を吹く審判団も人間である。瞬時の判断を求められる審判という仕事において、あのワンプレーだけで判定基準すべてが決まるわけではない。

3連敗という事実はあまりにも重く、厳しい現実だ。

 

 

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