土壇場での逆転で、勝ちゲームになるはずだった。タイトルに王手をかけるはずだった [天皇杯準決勝/ガンバ大阪戦レビュー]
土壇場での逆転で、勝ちゲームになるはずだった
勝利への強い意志と飽くなき執念を十二分に感じさせる120分間のファイトだった。
前半から渡辺皓太が山田康太と闘志むき出しに何度もぶつかり合い、延長戦に入ってからは宮市亮が食野亮太郎と一触即発のシーンを展開。渡辺皓や宮市がここまで熱くなるのは珍しい。ひとつの競り合い、こぼれ球にすべてを出し切っていた証だろう。
相手のファインゴールで先制を許したが、マリノスも負けていなかった。相手の油断を見逃さずに中盤で引っ掛けたボールはアンデルソン・ロペスの下へ。絶対的エースは体を上手に使いながらキープし、さらに絶妙なアウトサイドパスで前線のスペースへ。
抜け出したヤン・マテウスが利き足の左足にも持ち替えることは相手DFもわかっていたはず。それでもなお止められないのはブラジル人アタッカーの鋭利さと、その状況を味わった者にしか体感できないプレッシャーか。鮮やかな左足シュートがGK一森純を無力化した。
前半アディショナルタイムと後半開始直後にはGK飯倉大樹がファインセーブでチームを救う。山下諒也との1対1を絶妙なタイミングでの飛び出しで防ぎ、さらに至近距離からのシュートを足でかき出す。苦しい時間帯でもしっかりと辛抱できていたのは38歳のベテランGKの貢献が大きい。
そして88分。途中出場の選手たちを中心に勝ち越しゴールを奪う。天野純のクロスを宮市亮がキープ。ロペスが放ったシュートは一森に止められたが、最後は攻め上がっていた松原健がプッシュしてゴールネットを揺らす。
土壇場での逆転で、勝ちゲームになるはずだった。タイトルに王手をかけるはずだった。
2-1で終わらせなければいけない試合と言っていいだろう。だが、最近のマリノスは踏ん張り切れない。前半アディショナルタイムにスローインきっかけで失点すると、延長後半アディショナルタイムにもゴールを割られてしまう。
2024年はノンタイトルで終わることが決まった。
2024年は終わっていない
選手個々の頑張りと踏ん張りは感動的ですらあった。
一方で、最後は力尽きた印象が強い。9月と10月の2ヵ月だけで公式戦15試合が組まれ、この一戦は14試合目。9月4日のルヴァンカップ札幌戦から数えると、54日間で14試合を戦ったことになる。体力の限界だった。
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