「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「下手くそでチビだったのにトップチームに昇格できた」・・・愛される小兵は旅に出る [天野貴史 契約非更新] 藤井雅彦

 

11月25日、マリノスはDF天野貴史(29)と来季の契約を更新しないことを発表した。天野はジュニアユースからチームに在籍し、2005年にユースからトップチームに昇格。今季でプロ11年目のシーズンを終えたが、ジェフユナイテッド千葉に期限付き移籍した2014年を除く10年間をマリノスで過ごした。同期には飯倉大樹、狩野健太(現・柏レイソル)、田中裕介(現・セレッソ大阪)がいる。

163cmの小兵でエネルギッシュなプレーを持ち味とする攻撃的SBがチームを去る。どんなときも笑顔を絶やさず、常に努力してきた。ピッチ内外ではムードメーカーとして貴重な役割を果たし、松田直樹(故)や中澤佑二、中村俊輔といった偉大な先輩たちに愛され続けた。選手会長としてチームの先頭に立った時代もある。J1通算45試合4得点という記録以上に、皆に愛されて記憶に残る選手であった。

2012年のシーズン開幕直後、左ひざ前十字じん帯損傷で全治8ヵ月の大けがに見舞われた。選手生命に影響を与えかねない重傷で、そのシーズンは出場ゼロに終わってしまう。2013年に復帰してからも前を向いて走り続けたが、2015年はエリク・モンバエルツ監督の構想に入れず、またしても出場ゼロに終わった。そうして告げられた契約非更新に落胆しないわけがない。だが、天野の口からは感謝の言葉ばかりが並んだ。

「自分は下手くそでチビだったのに、まずジュニアユースからユースに上げてもらって、岡田(武史)監督に拾われてトップチームに昇格できた。プロになってからはマツさん(故・松田直樹)やシュンさん(中村俊輔)、(中澤)佑二さんや(河合)竜二さん(現・コンサドーレ札幌)といった偉大な選手たちと一緒にプレーできて、そのほかにもたくさんの先輩に面倒を見てもらった。そして日産スタジアムで点を取ることもできた。これまでプロ生活11年で1年だけ千葉に期限付き移籍したのでマリノスには10年間いた。マリノスでは45試合しか出場できず、4点しか取っていない。試合に出られない時間のほうが長かったけど、でも20歳そこそこで引退する選手だっている。自分は横浜F・マリノスというビッグクラブで29歳までプレーさせてもらった。だから感謝の気持ちしかない」

その天野を一番近くで見てきた男がいる。同期入団の飯倉大樹だ。田中裕介や狩野健太も含めて仲の良い同期グループを結成している。その飯倉があらためて天野貴史という男について話してくれた。

 

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