エリク・モンバエルツ監督の手法をめぐって [来季のチーム編成についてvol.1] 藤井雅彦
横浜F・マリノスの2015シーズンが終わろうとしている。最終節の松本山雅戦を残しているが、前号までに既述のとおり今季の無冠が確定してしまった。3大タイトルの成績を振り返ると、ナビスコカップは残念ながら予選リーグで敗退。天皇杯はつい先日、4回戦でヴィッセル神戸に屈した。リーグ戦は残り1試合を残して年間7位で、最高で5位まで可能性がある。ちなみに残留争いに巻き込まれる事態は一瞬たりともなかった。
もっとも2ndステージに限れば、勝ち点で並んでいるとはいえ現在3位タイの先頭に立っている。前節の鹿島アントラーズ戦で敗れるまでは8勝2分の快進撃を見せた。2ndステージ開幕時期の出遅れが悔やまれるところだが、トータルで考えれば妥当だろう。すでにエリク・モンバエルツ監督は「全体的には良かったと思う」とコメントしており、現時点で持っている力をほぼ出した結果といえる。
こちらも鹿島戦後に記述したことだが、2ndステージの上位2チームに対して一度も勝てなかった。サンフレッチェ広島と鹿島との対戦では4敗、つまり全敗した。この直接対決の戦績でリーグ戦のタイトルを獲得するのは難しい。直近では、先日の鹿島戦で力の差を見せつけられて完敗しており、残念ながらタイトルに値するチームではなかったということ。まずはこの現実を受け入れることが今シーズンの総括の第一歩となる。
勝てなかった(獲れなかった)のだから何かを変える必要があるだろう。
「いまの力では優勝できない」
モンバエルツ監督自身がそう言い切っているのだ。チームを強くするための手段は複数あるが、その中で監督交代という劇薬投与はおそらく現実的ではない。タイトルを獲得できなかったという結果責任は当然負うべきだが、一方でフランス人指揮官を迎えたメリットも少なからずあった。
その象徴的な存在がレギュラーに抜てきされた喜田拓也の存在であり、新チームスタート前に誰が背番号28の躍進を予想できただろうか。いや、正確に言うならば1月の沖縄キャンプでは序列の最後方にいた。それが現在では守備的MFとして欠かせない選手に成長し、ピンチを未然に防ぐポジショニングで貢献している。展開力をはじめとする攻撃力に物足りなさも残しているが、それでも開幕前から劇的な成長を遂げたといえる。
(残り 663文字/全文: 1622文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ