「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

この失点だけで守備戦術が間違っていたと断定するのは早計だ [2nd2節柏戦レビュー] 藤井雅彦 -1,898文字-

試合は周知のとおり90分間通して攻め込んだが、あと少し足りなかった。中村俊輔を中心とした展開に、両SBが高い位置で絡む攻撃は厚みがあり、惜しい場面が何度もあった。あとはゴールネットを揺らすだけだったが、それがサッカーにおいて最も難しい作業だ。試合翌日、前夜を振り返って「最後は個人のクオリティーにかかっている」とエリク・モンバエルツ監督。身を蓋もない発言ではあるが、たしかにそのとおりである。

4-3-2-1_2015 特に齋藤学には何度かゴールチャンスがあった。しかし、そのうちの一つも決められなかった。伊藤翔はゴール前で迫力を出す役割を担ったが、クロスに対して呼び込む動きが少なすぎた。これまで何度かあったような前線にまったくボールが入らない展開ではなかった。柏レイソルは明らかに引いて守っており、それを崩すのは簡単ではなかったが、チャンスを作れたことは評価できる。でも決めきれなかったということ。

この試合を見るかぎり、中村をボランチで起用するメリットは大きかったように思う。守備面については相手が前に出てこなかったことを差し引いて考えるべきだが、それにしても攻撃面で違いを生み出す役割を担っていた。両サイドへ長短のパスを供給し、ほとんどのパスを正確に通した。それがあったからこそ柏は引かざるをえなかったという側面もあるだろう。中村のパフォーマンスについて、あらためてモンバエルツ監督に評価を聞いた。

「昨日のパフォーマンスは『素晴らしい』の一言。試合の中で彼が存在感を発揮していた。約6ヵ月チームから離れていたが、攻撃方向を決めるプレーや判断も正確だった。いまの段階でこのポジションにマッチしたプレーを見せ、ビルドアップにおいて重要な役割を果たしていた。守備についてもよくやっていた。試合をこなしていけば、もっとボールを奪うこともできるだろう。もちろんそれは彼の中での話で、喜田のようなプレーをするわけではないが」

この言葉を聞くかぎり、しばらくはボランチ・中村が継続されそうだ。今後、守備の脆さが顔をのぞかせる試合もあると思う。ただ、それは百も承知である。むしろそうならないように周囲がフォローアップし、助ける必要がある。守備面のリスクがあったとしても、中村を中盤の底に置くメリットは大きい。未来永劫とは言わないが、いまのチームにおいては効果的な起用法であることは柏戦でわかった。それだけでも大きな収穫だ。

 

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一方の守備面では、これで6試合連続での失点となったセットプレーディフェンスに触れないわけにいかない。この試合からCKの守備はゾーンディフェンスの比率を上げ、これまで相手のキーマンのマークを担当していた中澤佑二やファビオがゴール前でゾーンを担当。小林祐三や下平匠、熊谷アンドリューがマークを担当し、失点場面は下平がキム・チャンスに競り負けたことが原因となった。

柏4-1-4-1 ゾーンディフェンスを採用しても、そのエリアを外したボールを入れられてしまうと効力は発揮しにくい。そのときのためにマンマーク担当もいるわけだが、そこで競り負けてしまうと脆さをのぞかせる。中澤やファビオほど強くないためだ。柏戦に関して言えば、飯倉のキャッチミスも痛かったが、それ以上に下平個人のマークミスが痛恨だった。競り勝てないまでも体を寄せなければならず、このワンプレーについては下平の過失が大きい。

一方で、この失点だけで守備戦術が間違っていたと断定するのは早計だ。できれば数試合はこの形で守り、そのうえであらためて精査したい。いまのチームに単純に高さが欠けているのは誰が見ても明らかで、今後もセットプレーからの失点が続くならば高さ対策でメンバーを選ぶ必要性が出てくる。たかがセットプレーではない。これだけ毎試合やられているのだから、もっと重要性を理解すべきだ。極端に言えば、オープンプレーの内容が悪くてもセットプレーで武器を持っているチームは勝てる。それがサッカーだ。

内容が悪くない試合で勝てなかったのは残念だが、次につながる部分もたくさんあった。続けていくことで成果を見守りたい案件も多い。いまは我慢の時期ととらえて、後ろを振り返ることなく前を見据えて進みたい。

 

 

 

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