「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

アピールに成功した天野純、そして栗原勇蔵の復帰 [練習試合 FC東京戦レポート] 藤井雅彦 <無料記事>

【リザルト】

対戦カード:横浜FM-FC東京

日時:6月13日(土)11時~
形式:45分×2本
スコア:1-2(1-1、0-1)
得点者:21分中島 翔哉(FC東京)、57分天野純(横浜FM)、60分東慶悟(FC東京)

 

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真夏のような陽射しと蒸し暑さの中で行われた練習試合である。時間経過とともにゲームそのものが質を下げたのは致し方ない面もあるだろう。2本目に入る と 両チームともメンバーの入れ替えを頻繁に行い、そのたびに試合が一時的にストップする。これによってゲームにテンポが生まれなかったという見方も決して間 違いではない。

だとすれば、まだフレッシュなはずの1本目の内容を注視したい。マリノスはリーグ戦に臨む主力組で編成して戦ったが、FC東京の堅い守備をなかなか崩せなかった。アデミウソンと伊藤翔はどちらが前のポジションが見えにくい状態で、伊藤曰く「自分が少し下がり目だった」。ただ、客観的にその位置関係が見えないのは役割が明確になっていない影響ともいえる。これはアデミウソンとラフィーニャが前線でコンビを組んだ先日のヴァンフォーレ甲府戦でも起きていた現象で、次節に向けて改善すべき課題だろう。齋藤学や藤本淳吾も打開力に欠けた。

後方の選手に目を移すと、ビルドアップがなかなかスムーズに運ばない。三門雄大と喜田拓也のダブルボランチはハードワーカーでボール奪取能力に優れる。その反面、マイボール時にゲームコントロールする点が課題だ。中町公祐の復帰を待ちたいところだが左太もも裏肉離れが完治しておらず、現在は別メニュー調整中。ゲーム後半は兵藤慎剛と熊谷アンドリューがコンビを組んでおり、彼らはボールを動かせる。ただし、三門や喜田の奪取能力と献身性には及ばない。どちらをとるかは非常に難しい問題だが、経験ある兵藤とポテンシャルの高い熊谷にはチャンスがあっても不思議ではない。

そんな中でアピールに成功したのが2本目のスタート時から右MFに入った天野純だ。負傷から復帰したばかりの藤本は出場時間を45分に限定し、したがって後半からチャンスを得た。すると左足で一時は同点となるゴールをゲット。そのほかの場面でも意欲的なランニングと前方向のプレーを展開し、足が止まってきていたFC東京守備陣を脅かす存在に。これにはエリク・モンバエルツ監督も「良くなってきている。前へプレーしようとしている」と賛辞を惜しまない。この日のようなプレーを継続していけば、リーグ戦での出場時間は間違いなく増えるだろう。

 

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そして忘れてはならないのが栗原勇蔵の復帰だ。4月下旬から右足首痛で離脱と合流を繰り返していたが、先週から全体練習に本格合流。ついに対外試合に復帰した。FC東京戦では約30分と限られた時間で無難なパフォーマンスだったが、空中戦では相変わらずの強さを発揮。彼クラスの実力と実績を持つ選手であれば、まずはピッチに立ったという事実が重要だ。試運転を終え、これからが本当の勝負だろう。中澤佑二とファビオの壁がとても高いことは、栗原自身が一番分かっていることだ。

やはりJ1相手の練習試合ではチームの現在地がさまざまな角度から見えてくる。今季はリーグ戦が開幕してから一度も練習試合が組まれておらず、出場機会に恵まれないメンバーは試合勘やゲーム体力を保つことが難しい。また、アピールの機会が普段の練習しかないというのも非常に心苦しい。チーム強化と底上げの観点からすると、毎週とはいかなくてもある程度は必要な施策だろう。それをあらためて印象付けられた梅雨時のトレーニングマッチであった。

 

 


 

最後に、6月8日に掲載されたヴァンフォーレ甲府戦レビューにつきまして、ヴァンフォーレ甲府を応援するファン・サポーターのみなさまにご不快な念をおかけする内容がありましたことを謹んでお詫び申し上げます。今後はこのような思慮を欠くことがないよう細心の注意を払ってまいります。重ねてヴァンフォーレ甲府のファン・サポーターの皆さま、ヴァンフォーレ甲府及び関係者の皆さまにお詫び申し上げますとともに、横浜F・マリノスを応援する皆さまへもあわせてお詫び申し上げます。

藤井雅彦/ヨコハマ・エクスプレス編集部

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