吉尾海夏が我慢と辛抱、そして負傷に耐えての90分間。 左サイドバックで今季初先発して勝利に貢献する [J31節 福岡戦レビュー]
マリノスの総合力を象徴するパフォーマンス
吉尾海夏は落ち着いた表情でピッチに立ち、左サイドバックの位置でキックオフのホイッスルを聴いた。永戸勝也の負傷離脱をうけ、ついに訪れた今季リーグ戦初先発の機会だった。
ただし試合が始まってからはリズムに乗れなかったのが正直なところだろう。ショートパスもクロスも微妙にコントロールが狂い、効果的なプレーにつながらない。アクシデントの影響も大きかった。
「前半に山岸選手と競り合った時に打撲してしまって、左足すね前大打撲がめっちゃ痛かった」
肉弾戦に優れるアビスパ福岡と戦い、特にディフェンスラインの選手はタフさを求められる。吉尾も例外ではなく、接触プレーで負傷してしまった。以降は不慣れなポジションなのに、さらに痛みを抱えながら我慢の時間を過ごしていく。
試合後は勝利に安堵しながらも、満足はなかった。
「個人としては全然納得いくプレーはできなかった。60点くらい。今日はみんなに助けられたので、それに尽きる」
すぐ隣のエドゥアルドが出色のパフォーマンスを見せていたのも大きかった。吉尾自身は耐え続ける90分間だったが、チームメイトからの見え方はやや異なる。可愛い後輩を慮ったのは反対サイドの松原健だ。
「すべては求めていないし、海夏なりの良さは出ていたと思う。紺野選手と対峙して、左利きのアタッカーならではの感覚がわかっているからこそのパスカットもあったし、それは海夏だからこそできたことだと思う」
苦しんだのは事実でも、迷いはなかった。それは「素晴らしい先輩方からアドバイスをもらっているし、できないことをやろうとするのではなくできることをやる。自分としても頭の中が整理できている」という自信があったから。
松原はチーム全体にも言及した。
「今シーズン序盤から中盤にあまり試合に出られない選手がピッチで悔しい気持ちを晴らしてくれている。それが一番の原動力になっている。出場し続けているメンバーは、怪我をしている選手のぶんもやらないといけない。それが総合されて、いい結果になっている」
吉尾の奮闘がマリノスの総合力を象徴していた。
下平匠の表現を借りるとすれば、宮市亮はやっぱりずるい
攻めては効果的にロングボールを活用し、効率よくゴールを重ねていった。
アンデルソン・ロペスの先制点はボレーシュートそのものも見事だったが、エドゥアルドのフィードとエウベルのスプリント&クロスも秀逸。ブラジル人助っ人たちが桁違いのクオリティを発揮した。
(残り 664文字/全文: 1795文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ