ロペスの活躍による好成績は、クラブが描く青写真そのまま。 半年後にはリーグタイトルを争い、歓喜に沸いている様子が目に浮かぶ [J16節 FC東京戦レビュー]
宮市亮が語った“予感”
81分から途中出場した宮市亮が、抱いていた感覚を言葉にする。
「チャンスはあったし、点が入る予感もピッチの中にあった」
出場直後の82分だった。松原健がボール奪取から乾坤一擲のスルーパスを送ると、相手ディフェンスラインの背後を突いたマルコス・ジュニオールが決定機を迎える。シュートはGKに防がれたが、リフレクションボールを宮市が狙う。コースを狙う余裕もあったシュートはわずかにバーの上を越えていった。
宮市と水沼宏太が同時投入され、勝ち越し点を狙う機運は間違いなく高まった。先発したエウベルとヤン・マテウスの局面打開能力やチャンスクリエイト能力がなくなるのは痛手でも、マリノスは「違うプレースタイルを持っている。これは我々のグループとして持っている強み」(ケヴィン・マスカット監督)だ。
同時に、ここで強調したいのはマルコスが相手の背後を突くランニングを見せたこと。このシーンに限らず、背番号10はいわゆるトップ下のプレーだけでなく、シャドーストライカーとして相手ゴールに迫り続けた。
歓喜の瞬間が訪れたのは89分だった。
左サイドの宮市が右足でクロスを送ると、一度は相手DFに弾かれる。ファーサイドでボールを持った水沼にはゴール前の位置関係を確認する余裕があった。正確な右足パスがゴール前で待つマルコスに届き、フィニッシュからゴールネットが揺れる。
驚くべきはトラップする余裕と冷静さ。慌ててダイレクトで打ちたくなる局面で生きたのは、絶対的なスキルである。
「少ない時間の中でもチームに貢献できるように引き続きやっていきたい。いろいろな場面で頑張ってきたし、見えないところでも努力してきた。結果を出すことができてうれしかったし、僕としては背中にあった重いものが取れた気がした。それでいつも愛情を感じているサポーターのところへ走っていった」
ゴール裏へ駆け出したマルコスの値千金弾が決勝ゴールになった。
早くも昨季のゴール数に並んだロペスの価値
この勝利で今季初の3連勝を達成。台風の影響で試合が開催されなかったヴィッセル神戸よりも消化試合数が1試合多いものの、同じ勝ち点33で並んだ。
首位追走の原動力となっている選手として、アンデルソン・ロペスの名前を挙げないわけにはいかない。
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