「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

このクラブに僕の名前を残したい。より多くのタイトルを獲りたい。本当の意味でこのチームの顔になれるように、頑張っていきたい [ヤン・マテウスインタビュー]

【ヤン・マテウス選手インタビュー】

実施日:5月17日(水)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

 

ヤン・マテウスの勢いが止まらない。

右ウイングで先発起用されるようになった5月3日のサガン鳥栖戦以降、毎試合のようにゴールに絡んでいる。

先日のアビスパ福岡戦でも見事なドリブル突破からの右足クロスでアンデルソン・ロペスのヘディングゴールをお膳立て。

その背景には、昨夏の加入以降に「葛藤やジレンマの日々」があった。

そして、インタビュー後半では若きブラジル人アタッカーのルーツにも迫った。

 

 

 

 

「マルコスはこのチームの歴史を作った選手です。そういった偉大な選手が手を抜かずに取り組む姿勢はチームにとってプラスに働いていたと思います」

 

――最近はヤン選手自身が望んでいたポジションで連続先発し、さらに目に見える結果を残しています。充実しているのでは?

「ずっと自分の適正ポジションでプレーできるように準備してきたので、チャンスをモノにできて本当に嬉しいです。去年の夏に加入して、僕の適正ポジションが右ウイングであることは監督も理解してくださっていたでしょうし、頭の片隅にはあったと思います。ただ、左ウイングでもチームに貢献できるという期待があり、そちらで起用されていたのだと思います。僕も練習から全力を尽くして順応してきたつもりですし、少しずつ結果も出ていました。その中で右ウイングとしてプレーできる機会があった時にチャンスをくれたことに、とても感謝しています」

 

――今は能力全開の100%の状態ですか? それとも、もっと上のレベルがある?

「最近は得点やアシストに絡むプレーが増えていると思います。ですが、僕はアタッカーです。前線の選手としては満足しないことが一番大事なこと。パーフェクトに近づくために毎日やっているので、これからも努力してチームにもっと貢献したいです」

 

 

 

――エウベル選手が「彼の能力は分かっていた。いつかこういう日が来ると知っていた」と胸を張っていました。仲間からの期待や信頼をどのように感じますか?

「周りに認めてもらえるのはとても嬉しいです。チームメイトに信頼されているのは選手として自信になります。日々のトレーニングの姿勢を見ているからこそ、そう言ってもらえるのだと思うし、信頼されているのと同じように僕も仲間の一人ひとりを信頼しています」

 

 

 

――昨夏に加入し、リーグ戦で先発するチャンスがなかなか訪れませんでした。

「正直に言うと、本当に辛かったです。僕が来日する時に思い描いていた理想とはかけ離れた現実でしたから。自分への期待が大きかった分、出場時間が短くて自分を表現できないことにフラストレーションを溜めていました」

 

 

――シーズン途中に加入する難しさでしょうか? チーム状態が良ければ良いほど、難しい気もします。

「その通りで、僕が加入した時からチームは首位を走っていたので、大きく動かすことが難しい状況なのは理解できていました。ただ、選手としては試合に出場しないと満足はできません。葛藤やジレンマの日々でしたね。ポルトガルでのシーズンが終わってオフに入り、トレーニングをしていたとはいえシーズン真っ只中のチームに合流したので、強度の部分に差があったと思います。それから、デビュー戦でゴールを決めて、『ようやくここから自分の番だ』と思ったけれど、なかなか波に乗っていけなかった。でも、いつか僕が必要とされる時が来ると信じていました」

 

――チームとしては優勝という最高の結果を得ました。ただ、個人として消化不良に終わったのも事実だと思います。

「優勝はすごく嬉しかったです。タイトルだけではなく、一つひとつの勝利が嬉しかったです。僕のフラストレーションというのは、あくまでも自分自身が思い描いていた期待感に対するものであって、理想と現実が合致しなかったというフラストレーションですね」

 

 

――昨季終盤は先輩であるマルコス・ジュニオール選手も難しい状況に置かれていました。彼は日本でもキャリアも豊富な選手です。何か声掛けをしていましたか?

「ふたりで起用法に関する話をしたことはありません。マルコスは僕のことをチームのために戦う仲間と思ってくれていたでしょうし、僕もマルコスはチームにとって重要なピースと思っています。どちらかがメンバーに入り、もうひとりがメンバーから外れる状況になっても、それは監督が決めること。プライベートでは常に仲が良かったですし、プロの世界では普通のことです」

 

 

 

――では、練習に取り組む彼の姿勢をどのように感じていましたか?

「マルコスに限った話ではなく、このチームは全員がプッシュし合って成り立っています。手を抜く選手はひとりもいません。ただ、マルコスはこのチームの歴史を作った選手です。そういった偉大な選手が手を抜かずに取り組む姿勢はチームにとってプラスに働いていたと思います」

 

 

 

「2002年のワールドカップは4歳で、初めてサッカー選手からインパクトを受けたのはロナウド選手でした。時の人だったので、あの特徴的な髪型(※いわゆる大五郎カット)を僕もマネしていました(笑)」

 

――日本の居心地はいかがですか?

 

 

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