「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

飯倉大樹の負傷で急きょピッチに立ったオビ・パウエル・オビンナ。 落ち着いた立ち居振る舞いは日々のトレーニングの賜物だろう [ルヴァン杯5節 札幌戦レビュー]

 

 

ヘディングゴール×2

 

先制点は松原健のヘディングシュートから生まれた。

 

 

「リーグ戦、練習試合含めて、プロになって初めて」と振り返るゴールの裏には、経験豊富な彼らしい緻密な計算があった。

 

 

前提として、彼はゴール前で合わせるタイプの選手ではない。実際に、この日担っていたタスクもそうだった。

「僕の役割は中に入るというよりは、相手の邪魔をするような形だった。ただ前半に何本かCKがあって相手に読まれていたので、そのタイミングで逆のことをする、裏を突いたところに(水沼)宏太くんからいいボールが来て、当てるだけだった」

 

 

水沼のCK精度はもちろん素晴らしかったが、相手の意表を突く動きでゴールに迫る背番号27の視点が秀逸だった。

さらに言えば、上島拓巳の背後というコース取りも絶妙だった。競馬では『強い馬の後ろがベストポジション』という格言がある。強い馬の後ろにいれば、自然と進路が取りやすいからである。

 

 

競り合いも似たところがあり、上島のようなストロングヘッダーには相手もタイトに寄せてくる。だからこそ、そこを飛び越えた背後にスペースが生まれやすく、相手のマークも緩くなっているというわけだ。

後半に入り、榊原彗悟も同じCKからのヘディングシュートでマリノス初ゴールを記録した。こちらはGK前にいた榊原がゴールから離れるようにポジションを取り、巧みに合わせた形だ。

「GKの前に入ってと言われていて、最初はGKのブロックをしようと思っていた。(水沼)宏太くんからすごくいいボールが来て、気付いたら目の前にボールがあったので、なんとかゴールの方向に飛べばいいなと思ってうまく擦らせたのでよかった」

 

 

まさにセンスの成せる業で、目に見える結果を残したことに価値がある。プレーメーカーとしての能力に疑いの余地はなく、次の課題は時間をかけてコツコツ積み上げていくしかないフィジカルと、公式戦で結果を残すための勝負強さだった。

ふたつのヘディングゴールにはそれぞれの価値があった。

 

 

飯倉の負傷交代と3ヵ月ぶりの出場となったオビ

心配なのは開始直後に負傷した飯倉大樹の状態だ。

 

ヨコエク

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