「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

難しい局面で吉尾海夏が見せたアドリブ力。 スタメン総入れ替えで臨んだ一戦を主体的な姿勢で制す [ルヴァン杯3節 札幌戦レビュー]

 

ゼロトップを成功させた主体性

 

直近のセレッソ大阪戦からスタメンを総入れ替えして臨んだ昨日の札幌戦。その後に中2日でリーグ戦が控えている日程を考えると、リーグ戦メンバーに休息を与えるのは当然の策だろう。

 

 

もっとも、最前線に関してはアクシデントが続いている人手不足に陥っている事情もある。杉本健勇はルヴァンカップのグループステージで起用できず、植中朝日は負傷離脱中。それに加えて「昨日の夜中も、そして今朝も体調不良を訴えた選手がいた」とケヴィン・マスカット監督。システム変更を余儀なくされた流れを考えると、それはアンデルソン・ロペスや西村拓真と考えるほうが自然だろう。

 

 

苦しい台所事情で指揮官が選択したフォーメーションは「少し形を変えたゼロトップ」。最前線にはマルコス・ジュニオールと吉尾海夏の組み合わせで、純然たるストライカーは見当たらない。そして、この形で準備時間がゼロに等しく、普段以上に応用力やアドリブ力が問われる試合になった。

 

 

ゼロトップのふたりはどちらかが前と決めつけずに「お互いの位置を見ながらポジションを取ろうと話していた」と吉尾が明かす。ただ、状況を見極めながらベストポジションを探っていくのは、言葉にするほど簡単ではない。

難しい局面で力を発揮したのは背番号25だった。試合序盤、ビルドアップがスムーズに進まない様子を見て、あえてポジションを下げる。「監督からはあまり下がるなと言われていたけど」と茶目っ気たっぷりに笑ったように、あくまでも主体的に考えて、実行した。どんな時でも前に張り付いていることが必ずしも正解ではない。

 

 

同点ゴールは吉尾がボランチの横あたりまで落ちるこの形から。左サイドからのボールをピックアップすると、間髪入れずにヤン・マテウスの前のスペースへ。このボールに抜け出したヤンのクロスをマルコスが決めた。

吉尾が「チームとして狙っていた形」と手ごたえを口にすれば、決めたマルコスは「両ウイングからクロスが来ることを考えてプレーして、ゴール前にポジションを取っていた」とニヤリ。チーム全体で決めたゴールが反撃の狼煙となり、逆転勝利を呼び込んだ。

 

 

 

プロデビューの木村卓斗が戦える選手であることを体現

 

戦術的な観点を抜いても、この日のマリノスはパッションとエネルギーに満ち溢れていたように思う。その理由は、多くの選手が個々に秘めていた熱い気持ちだろう。

最初に名前を挙げたいのは、マリノス復帰後初出場となった飯倉大樹。

 

 

ヨコエク

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