「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

小池龍太が負傷離脱も、フロントは緊急補強の可能性を否定。 左サイドバックは今のところ永戸勝也の独壇場に [開幕前ポジション別考察(サイドバック編)]

 

アタッキングフットボールにおいてサイドバックは肝となる役割を担う。

システムの可変も流動的なポゼッションも、実現するのはいつだって彼らだ。

顔ぶれは昨季と変わらないが、開幕前にいくつかのアクシデントに見舞われた。

現況を整理しつつ、ポジション事情を占っていく。

 

小池龍太の負傷離脱は彼自身にとってもチームにとっても痛かった。

 

 

ただし負傷した瞬間の様子や衝撃を考えると、右膝蓋骨脱臼での全治 6~8 週見込みという診断は思いのほか軽く済んだという見方もできる。前十字靭帯や半月板といった箇所に影響がなかったのは不幸中の幸いで、復帰時期はリハビリが順調に進めば3月中旬以降がひとつの目処になりそう。

 

 

昨日からはグラウンドに姿を現し、日暮清トレーナーと二人三脚でのリハビリを行っている。まだゆっくりとしたペースでのウォーキングや腿上げ、膝や股関節の可動域を広げるトレーニングなど慎重な調整に努めているものの、まずは元気そうな姿を見られたことが吉報だ。

左サイドバックの小池裕太も今季ここまで順調とは言い難い調整過程になっている。キャンプ初日のトレーニングはこなしたが、2日目からは一転して別メニュー調整に。以降は練習試合など実戦形式に一度も出場しておらず、現在も部分合流にとどまっている。試合出場にはもう少し時間が必要かもしれない。

 

 

それでもフロントは緊急補強に動く可能性を否定。キャンプ中は山根陸や村上悠緋、あるいは吉尾海夏をコンバートして急場をしのいだ。「限定された選手を使うしかないが、自分たちにとってもチャレンジだと思っている。こういう状況になった時に誰がそのポジションでプレーできるかを見る機会になった」とケヴィン・マスカット監督。チーム全体の総合力を上げるという意味ではポジティブにとらえることもできる。

 

 

こういった事情から両サイドバックのレギュラー候補は、実はほとんど選択肢がない。

 

ヨコエク

 

右は松原健だ。キャンプ前半こそコンディション不良で苦しんだものの、2月に入ってからは急ピッチで調整を進めている。先日の練習後には「若い選手が出てくるチャンスも平等にあるし、約束されたものは何もない。良い競争をしながら、それができればチームの底上げにつながる」と頼もしいコメントを聞かせてくれた。

 

 

今日の練習を途中で切り上げたことが気がかりで、もしかしたらスーパーカップは回避するかもしれない。ただ、それはリーグ戦に全力投球するためのマネジメントと考えるべきで、長期離脱になる類ではないだろう。

左は今のところ永戸勝也の独壇場だ。この選手の魅力は、常にマイペースで周囲の状況に惑わされることなく地に足をつけて進んでいける点だろう。柔らかい笑みやチームメイトとの関わり合い方などから、加入2年目の余裕も随所に感じられる。唯一の不安は過密日程によってコンディションを落としてしまうことだが、リーグ戦に注力する状況を作れれば安定と安心を担保できる存在だ。

 

 

開幕直後は松原と永戸の負担が大きくなったとしても、左右のサイドバックを高いレベルでこなせる小池龍が復帰すれば問題は解消できる。ここで焦ってサイドバックの駒を増やしても、ケガ人が戻ってきた時に飽和状態になってしまう。

 

 

エドゥアルドが復帰してセンターバックが5人全員揃っていることから、昨日の練習では實藤友紀が右サイドバックに入る場面もあった。今週末から始まるスーパーカップ以降の2月は、キャンプ時と同じようにコンバートを駆使しながら総合力で駒不足をしのいでいくことになりそうだ。

 

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