最後はテルを応援したい。 なぜなら、テルは可愛い後輩やから [下平匠の「匠の視点」]
(匠の視点vol.11)
構成:藤井 雅彦
OBの下平匠氏が横浜F・マリノスについて語り尽くす『匠の視点』。
今回のテーマは、先日発表された仲川輝人の完全移籍について。
人生節目の30歳という年齢で、彼が何を思い、悩み、今回の決断に至ったのか。
ルーキー時代からの様子や人柄を知る下平が、可愛い後輩の心中に思いを馳せ、先輩としてエールを送った。
マイペースなテルは寿司屋でも好きなネタを黙々と食べていました
ヨコハマ・エクスプレスをご覧になっているみなさん、こんにちは。南葛SC所属の下平匠です。
そろそろ朝晩が冷え込むようになってきましたね。体調管理には十分気をつけてください。
気温とは対照的に、サッカー界は熱狂の真っ只中と言ったところでしょうか。カタールで開催されているW杯はもうすぐグループリーグが終わり、決勝トーナメントが始まります。地上波でもこんなにたくさん試合中継を目にできる機会はないと思いますし、サッカー人気を高めるチャンスですね。日本代表には是非ともスペイン戦で勝利し、目標のベスト8以上の成績を収めてもらいたい!
さて、マリノスの話をしましょう。
ASローマとの親善試合当日、ショッキングなニュースが飛び込んできました。そう、テルの完全移籍です。
僕がマリノスに加入したのが2014年。テルはその1年後、2015年に大卒選手として加入しました。
早くからキャンプ参加など練習参加していたはずですが、実はあまり覚えていません。大学4年生の秋には大ケガをしてしまって、リハビリのために練習参加している記憶しかないのです。華奢で小さな選手、という印象が薄っすらあるくらい。
大ケガをしている選手を獲得する。クラブにとってリスクになりかねないですし、移籍の時にはメディカルチェックが原因で破断になるケースもあります。それでも獲得するのだから、疑う余地のないくらい高いポテンシャルを持っていたのでしょう。当時の僕は「強化部はかなりアグレッシブだな」と驚いていたのが正直なところです。
晴れてプロキャリアをスタートさせましたが、最初の数年はなかなか試合に絡めなくて苦しい時間だったと思います。でもテルは愚痴をこぼすタイプではありません。一緒に東神奈川駅近くのお寿司を食べに行ったのは懐かしい記憶ですが、その時も自分が好きなネタを黙々と食べていました。
僕もマイペースの自負がありますが、テルのマイペースには勝てません(笑)。ロッカーを出るのはいつも最後で、自分のリズムを絶対に崩しません。感情を露にする場面はほとんど見たことがないし、いつも淡々とプレーするか、ニコニコするか。苦しい状況でも変わった様子を見せない人間でした。
その後、2度の期限付き移籍で自信をつけて戻ってきたテルですが、すんなり試合に絡めたわけではありません。ブレイクのきっかけを掴んだ2018年も、春先まではなかなかチャンスに恵まれませんでした。
プロサッカー選手にとって30歳前後は決断の時期
ターニングポイントが訪れたのは4月のルヴァンカップFC東京戦。僕もスタメンでフル出場したのではっきり覚えています。
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