「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

すべてはマリノスのために。 2022年を駆け抜けたチームが、このメンバーとスタッフである事実は一生変わらない [J最終節 神戸戦プレビュー]

 

 

普段は物静かな渡辺が声のトーンを変えて言った

 

紆余曲折を経て辿り着いた決戦の地は、横浜と同じ港町の神戸だ。

 

 

優勝が眼前に迫ってからの2連敗は想定しづらい出来事だった。対戦相手がリーグ下位に沈むガンバ大阪とジュビロ磐田だったことも大きな要因だが、結果的に追い詰められた敵ほど怖いものはないと思い知らされた。今季に限らず来季以降にも生きる教訓や戒めとして、血肉に変えていけばいい。

かすかに曇ったかに見えた空模様は、浦和レッズ戦での快勝によって見事に晴れた。ウイングのエウベルが大爆発し、アンデルソン・ロペスがストライカーの責務を果たす。覚醒しつつある渡辺皓太が中盤で存在感を発揮し、チーム全員が課せられたタスクを全うした。

 

 

もう心配いらない。マリノスは勝点3だけでなく、自分たちのスタンダードを取り戻した。いかなる相手にも勇猛果敢に主導権を握り、攻守にアグレッシブさを出していく。すべては勝つための方法論で、目的の意味をしっかり理解しているチームに頼もしさすら覚える。

ヴィッセル神戸に勝利すれば、無条件で優勝だ。引き分けに終わった場合でも、川崎フロンターレが記録的なスコアで勝利しない限りはマリノスの戴冠だが、今の時点でそれを考えるのはあまりにも野暮というもの。

普段は物静かな渡辺が声のトーンを変えて言った。

「全員が神戸に勝つことしか考えていない。ほかのチームの状況に関係なく、勝って優勝したい。マリノスは90分間攻め続けて、4-0だろうが1-0だろうが、さらに点を奪いに行くサッカーをしたい」

 

 

思い返せば3年前の最終戦も同じだった。優勝を争うFC東京との直接対決で、数字上は圧倒的に有利な立場だったにもかかわらず、退場でひとり少なくなってからもマリノスは攻めた。無理をする必要のない局面でも普段着で戦い、だからこそ優勝の喜びもひとしおに。

明日の試合も、トリコロールの勇者たちは元気よく攻め続ける。

 

 

選手、スタッフ全員が決戦の地へ集結する

 

結果だけでなく内容も上々の浦和戦からメンバーに手を加える理由はほとんど見当たらない。今節に関して、次の試合はない。本当に本当に、この試合ですべてを出し尽くすという意味で、いわゆる決勝戦という考え方もできる。

 

ヨコエク

(残り 559文字/全文: 1552文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ