「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

背番号7はすごかった。まさに別格。 トリコロール色のケチャップがドバっと飛び出した [リーグ第33節/浦和レッズ戦レビュー]

 

水沼の思い切りの良さが先制点のきっかけに

 

名古屋グランパス戦の後半アディショナルタイムに藤田譲瑠チマがゴールを決めてからというものの、優勝が決まる可能性のあったガンバ大阪戦とジュビロ磐田戦で自慢の攻撃陣が沈黙。周囲の期待が高まる状況での黒星も非常に痛かったが、それ以上に無得点という寂しさと虚無感に苛まれた。

今季最多46,387人が詰めかけた日産スタジアムに歓喜をもたらすことはできるのか。それはいったい誰なのか。

 

 

呪縛を解くきっかけを作ったのは、チームリーダー水沼宏太の思い切りの良さだ。

「どれだけゴールを割りたいか、どれだけ勝ちたいか、その気持ちを見せることが大事だった。足を振ったことでこぼれ球がエウベルのところに転がったと思うし、その1点からマリノスらしいサッカーをみんなで表現できたと思う」(水沼)

 

 

17分、カウンターから右サイドでボールを持つと、左足に持ち替えて間髪入れずにゴールを狙う。このシュートが相手DFに当たり、ファーサイドに詰めていたエウベルの下へ。反対サイドからのフィニッシュに対するウイングのポジショニングは設計されたものだが、形としてはとても泥臭い先制点だった。

ベンチスタートで試合を見守っていた仲川輝人は言う。

「早い時間帯に先制点を取れたことが自分たちにとって大きくて、あの点が雰囲気を変えてくれた。みんな楽しくサッカーができていた」(仲川)

 

 

重苦しい雰囲気を吹き飛ばすゴールで、チームは息を吹き返す。

上位でも下位でもない浦和が正攻法で向き合ってくれたのも大きかったが、この日のマリノスに特別は一切なかった。「得点はすべてマリノスらしい得点だった」と岩田智輝が振り返ったように、スタイルを貫き通した末の4得点。

 

 

あくまでも自分たちのスタンダードで浦和を撃破した。

 

 

サッカー王国からやってきたウインガー

 

それにしても背番号7はすごかった。

 

 

まさに別格。一度ボールを持ってドリブルをスタートさせると、浦和はなす術がなかった。なんとかファウルで止めるのが精いっぱいで、ほとんどのシーンで局面打開から決定機創出までをひとりで担う。

 

ヨコエク

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