「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

躊躇せず振り抜いた左足から放たれたシュートは鋭い軌道を描き、衝撃的なデビュー弾に。ヤン・マテウスは本当の意味でマリノスファミリーの仲間入りを果たした [J24節(延期試合) 湘南戦レビュー]

 

最高のマリノスデビューに

 

マリノスは勝ち点3だけでなく、大切なリーサルウェポンを手にした。

勝負の大勢はすでに決していたが、価値ある3点目が89分に生まれる。仲川輝人のボールキープからマイナス方向に出たボールの先で待っていたのは、途中出場でマリノスデビューを飾ったヤン・マテウスだ。

「サッカー選手としてデビュー戦で点を決めるのは夢だと思う。テル(仲川輝人)の視野に入れればと思って少し止まった。テルは自分がダイレクトでシュートを打てるようなボールを出してくれて、僕もいいミートができてゴールになってよかった。幸せな気持ちになれた」

 

 

躊躇せず振り抜いた左足から放たれたシュートは鋭い軌道を描き、逆サイドネットへ吸い込まれる。一瞬の出来事に時計の針が止まったかのような、あまりにも衝撃的なデビュー弾となった。

加入から1ヵ月も経たたないうちに、能力を持つ選手にしかできないスペシャリティを発揮した。この一撃でヤン・マテウスは本当の意味でマリノスファミリーの仲間入りを果たし、優勝を目指していく終盤戦で大きな力となるだろう。

もっとも、コンディションは万全ではない。この日は63分からの途中出場となったが、単純に体力の問題なのか、あるいはプレーのテンポに慣れていないために息が上がってしまうのか、20分程度プレーした頃には膝に手をついて顔をしかめた。チームや環境に慣れるにはもう少し時間が必要で、その時は秘めている力をさらに発揮してくれることだろう。

 

 

ゴール以外にも見せ場はあった。交代出場直後には左足のアウトサイドで縦方向へ持ち出し、突破を図る。75分には左足から鋭いアーリークロスをゴール前へ送った。ゴールシーン含めてレフティだからこその一芸で、これこそマリノスが長らく求めていて左ウイングのプレースタイルだ。

 

重い決断と勝利の意味

 

勝たなければいけない一戦だった。

8月は悪夢の公式戦4連敗に終わり、9月に入ってからのFC東京戦は2-0からまさかの2失点を喫して引き分け。この流れで今季無敗のホームゲームも勝てなければ、いよいよチーム全体の士気が下がっても不思議ではない。少なからずトーンダウンしてしまう状況は避けられなかっただろう。

 

 

 

ヨコエク

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