「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「僕たちはまずFC東京戦だけを見ています。残り10試合はすべて自分たちにとってのベストゲームにしたいですし、FC東京戦はその最初の一歩です」 [實藤友紀インタビュー]

【實藤友紀選手インタビュー】

実施日:8月26日(金)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

ハイラインの背後を守るカバーリング能力と、誰にも真似できないスーパーゴールの数々。

記録よりも記憶に残る、そんな表現がふさわしい男。

實藤友紀が重宝される理由が、たしかにある。

層の厚いセンターバックのレギュラー争いに身を置くフィールド最年長プレーヤーに、ACL敗退直後の心境と残り10試合に向けた意気込みを聞いた。

飾ることのない言葉の裏側に、チームへの熱い想いと勝利への執着が見え隠れした。

 

 

 

僕はトリコロールに染まったスタンドをイメージしてしまいました

 

――昨日、ACLの準決勝が行われました(※インタビューは8月26日に実施)。浦和レッズが全北現代をPK戦で破る劇的なゲームでしたが、實藤選手はご覧になりましたか?

「キックオフからPK戦まで、すべて見ました。同じJリーグの浦和はもちろんのこと、全北現代もグループステージで対戦していた縁がありますし、どちらも素晴らしいチーム。その2チームがしびれるようなゲームを見せてくれて、最後に勝利した浦和は純粋にすごいな、と。ただ、同じACLという大会に出場していた立場としては、やっぱり悔しい気持ちのほうが大きかったです」

 

 

――自分たちがあの舞台に立っている可能性もあった、という想像をしてしまう?

「そうですね。勝ち上がったチームへのリスペクトは大切ですが、僕たちもあの舞台に立って大勢のファン・サポーターの前で戦いたかった。悔しさは消えないというか、来年以降のACLでやり返さないといけません。真っ赤に染まったスタジアムやゴール裏で振り上げられていた大きな旗はとても印象的でしたけど、僕はトリコロールに染まったスタンドをイメージしてしまいました」

 

――8月に入ってから公式戦4連敗を喫し、タイトルを2つ失ってしまいました。客観的に見れば、今シーズン最も苦しい状況かもしれません。ショックというか喪失感も少なからずある状況でしょうか?

「天皇杯、ルヴァンカップ、それにACLもそうだけど、自分たちの形を出せずに終わることが多かったという印象はあります。F・マリノスの良さはハイプレスで奪って速く攻める形か、あるいは後ろからしっかりボールを保持して優位性を保つサッカー。その両方がうまくいかず、一発勝負で負けてしまいました。自分たちで難しく考えてしまっているのか、乗り切れずに終わっているのかもしれません」

 

 

――F・マリノスの場合、カップ戦だからといって戦い方を変えるわけではないと思います。その中でどのように自分たちのスタイルを追求していくべきと考えますか?

「連戦では試合ごとにメンバーを入れ替える部分もありましたが、チームとしてやるべきことは変わりません。それはリーグ戦でも一発勝負のトーナメントでも同じ。そこで勝ち切れないのはチームとしての弱さがあるから。リーグ戦で良い位置にいるにもかかわらずカップ戦で結果を出せていないことに対して厳しい声があるかもしれません。でも、それを気にしていたら先へ進めない。目を逸らすのではなく結果をしっかり受け止めて、その上でしっかりと前を向く。そして僕たちのサッカーを突き詰めること、そこにフォーカスすることが一番大事です」

 

©1992 Y.MARINOS

 

――リーグ戦に戻れば大丈夫、というのは楽観的かもしれませんが、考え過ぎて立ち止まるのは得策ではない気もします。

「大事なのは一人ひとりの日頃の姿勢や準備で、今までと同じように気を緩めずやっていきたい。敗退したことは悔しいけれど時計の針は巻き戻せないので、リーグ優勝するために日々の練習からすべてを出し尽くしたい。チームとして一番大事にしていることでもあるので、それを崩さなければ何も心配ない。もっともっと強くなれるチームですし、伸びしろのあるチームだと思っています」

 

 

――ヴィッセル神戸戦ではVARを経てPKの判定が下された瞬間も、ゴールを決められた瞬間も、誰よりも實藤選手自身が手を叩いてチームを鼓舞していたのが印象に残っています。あらためて心境を聞かせてください。

 

 

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