「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「F・マリノスは周りに頼れる選手ばかり。自分はチームの一員として『ひとつのピース』という意識でプレーしている」 [アンデルソン・ロペスインタビュー(後編)]

【アンデルソン・ロペス選手インタビュー(後編)】

実施日:8月5日(金)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

前回からつづく

 

 

今年2月に電撃加入したアンデルソン・ロペス。

リーグ戦では6試合の出場停止処分を受けながらもレオ・セアラ、西村拓真に次ぐ7ゴールを挙げている。

ACLヴィッセル神戸戦でも一矢報いるシュートを決め、完全復活の時は近い。

そんな王国からやってきたストライカーのルーツは、生まれ育った環境にあった。

身近なところで起きるショッキングな出来事はブラジル人にとっての日常。

すべてをエネルギーに変えてサッカーを生業にすると決めた意志の強さとは。

背番号11がマリノスのラストスパートをけん引する。

 

 

 

幼少期の苦労は自分にとっての原動力。だから僕は感謝の気持ちを大切にしている

 

――ロペス選手の出身は、日本人にはあまり馴染みのないペルナンブーコ州レシフェです。どんな都市なのか教えてください。

「もっと詳しく話すとレシフェの中でもコキという地域で、いわゆるスラム街のような場所でした。生まれ育った家庭はお金があまりなくて生活に苦労したことをよく覚えていますし、僕自身も子どもの頃はヤンチャなことをして親に迷惑をかけてしまった部分もありました。決して裕福とは言えない生活でしたが、ブラジル人にはそういった環境で生きている家庭が多いです。だから珍しいことではありません。今はサッカーで一定の成功を収めて生活できていますが、それは小さな頃の苦労があったからこそ。だから僕は感謝の気持ちを大切にしています」

 

 

 

――当時のライフスタイルや住んでいたコキという地域について、もう少し具体的に聞かせていただいてもいいですか?

「賃貸の家にお母さんと姉と自分の3人で住んでいました。お母さんは日曜日が日曜日とは呼べないような生活で、1週間まったく休まず働いていた記憶があります。たぶん朝7時から夜7時くらいまでずっと働いていたのではないでしょうか。だから一緒に時間を過ごすというよりも、自分もずっと外にいてサッカーボールを蹴っていました。コキはスラム街に近い環境なので、治安が悪いエリアもありました。路地裏に入ればドラッグの売買が行われていたし、近いところで人が殺されてしまうような出来事も起きました。でも、こういった話もブラジル人の大半にとっては特別な話ではありません」

 

――実家は現在もレシフェのコキにあるのですか?

「お母さんはその場所に愛着があるので、コキに家を建ててあげました。おばあちゃんの家の隣に家を建てました。おばあちゃんは93歳だけど、まだまだ元気だよ。自分はレシフェの都市部にマンションを持っていて、それとブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州にあるポルト・アレグレという都市にも家があるけれど、お母さんは昔からずっと同じ場所に住んでいます」

 

 

――幼少期はさまざまな苦労があったと想像します。そういったルーツが成り上がっていくエネルギーになった部分は?

「当時の記憶は自分にとっての原動力ですし、今でも思い出すとエネルギーが湧いてきます。たくさん苦労したぶん、感謝しながら生きています。13~14歳の時に家を出て、ポルト・アレグレにあるインテルナシオナルでプレーすることになりました。家を出る時、お母さんに『家を買ってあげるから』と約束しました。そして、その夢を叶えるまではオフシーズンしか帰ってこないことを決意したんです。それを現実にできて、誇りに思います。自分自身の夢でもあったし、お母さんの夢でもありました。生涯忘れることのない出来事です」

 

――母親思いなのですね。

「僕にとって大切な人です。貧しい家庭環境でしたが、家で食べていたブラジル料理が忘れられません。ご飯とフェジョン、あとは鶏肉の煮込み。今でも地元に帰ると食べたくなりますし、あの味が恋しい。とにかく懐かしい味で、それが僕の原点のような食事です」

 

 

 

 

F・マリノスは周りに頼れる選手ばかり。自分はチームの一員として『ひとつのピース』という意識でプレーしている

 

――そういったロペス選手自身のルーツがプレースタイルにも反映されている気がします。たとえば鹿島アントラーズ戦の先制点の場面では、シュートではなくエウベル選手へのラストパスを選択し、アシストしました。ゴールとアシスト、そのバランスに対する考え方は?

 

 

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