「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

脂が乗り始めた水沼宏太に、念願の初代表行きの切符が届く。 それは必然の出来事だったのかもしれない [J22節 鳥栖戦レビュー]

 

もはや一介のクロッサーにはとどまらない

 

水沼宏太の真価が止まらない。

この日の出番は後半も半ばを過ぎた73分から。チーム事情や監督采配とはいえ、ピッチに立つことに強いこだわりを持つからこそ「僕自身は途中からで悔しい思いもあった」(水沼)。

 

 

1点ビハインドの展開で、やるべきことは明確。チームのゴールに絡み、まずは同点に追いつく。そして逆転ゴールを目指す。悔しさはあっても迷いは一切なかった。

迎えた85分。マリノスはサガン鳥栖に相手陣内に押し込み、選手がローテーションしながらゴールへ迫る。右サイドでボールを受けたのは松原健だった。

「顔を上げた時に、(水沼)宏太くんがここに出してくれという顔をして走り出していた。合わせるというよりも、ちょっとだけ触ればゴールになるようなボールを意識して蹴った。イメージ通り」

 

 

松原が手応えを口にしたクロスはゴール前へ走り込む背番号18をピンポイントでとらえる。

水沼は体を投げ出し、とにかく頭に当ててコースを変えようと試みた。松原とのイメージがピタリと合ったクロス&シュートで、これにはGKパク・イルギュもお手上げだった。

クロスの名手として名を馳せているが、もはや一介のクロッサーにはとどまらない。もちろん右足のクロスは大きな武器だが、インサイドに入り込んでボールを受ける動きにも真価を見せ、この日のようにフィニッシャーとしても才能に目覚めつつある。

 

 

口癖は「まだまだ。もっともっと」。32歳という年齢で語るのは、もはや失礼なのだろう。脂が乗り始めたこの時期に、念願の初代表行きの切符が届く。それは必然の出来事だったのかもしれない。

 

 

素晴らしいアシストと乾坤一擲のクリア

アシストした松原にもスポットライトが当たってほしい。

 

 

ヨコエク

(残り 834文字/全文: 1627文字)

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