「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

あえてチャレンジの道を選んだ扇原貴宏。 盟友の松原健は「お互いにリスペクトし合いながらいいゲームをしたい」と語った [J10節 神戸戦プレビュー]

 

 

功労者のひとりが日産スタジアムに帰ってくる

 

扇原貴宏が日産スタジアムに帰ってくる。

昨年末に5年間過ごしたトリコロールを離れ、今季からヴィッセル神戸の一員としてプレーしている。

ここで、あらためてマリノスに残した功績、その足跡を振り返ってみたい。

 

 

加入した2017年はエリク・モンバエルツ監督体制でボランチとして復活の狼煙を上げたシーズンだった。2012年にロンドン五輪出場を果たした頃の輝きを取り戻したようにも思えたが、本人曰く「成長や進化の過程」と言い切った。

2018年からはアンジェ・ポステコグルー監督の師事を仰ぎ、アグレッシブさを増した。シーズン中盤からはキャプテンマークを巻き、名実ともにチームの中心となったシーズンだ。

 

 

2019年は言わずもがな、マリノスが15年ぶりにリーグ優勝を達成した年である。その中で扇原と喜田拓也のダブルボランチは“鉄板コンビ”。心臓であり、頭脳であり、エンジンでもあり、扇原は功労者のひとりとなった。

2020年と2021年はコロナ禍に身を置き、引き続きチームの先頭に立った。扇原はより相手ゴールへの意識を強めたが、結果的に2シーズン連続で無得点。ただ危機管理能力やボール関与への意識が高まり、より完成度の高いプレーヤーに成長していった。

在籍期間中、何度も取材し、インタビューを実施した。そのたびに耳にしたのが「マリノスが好き」というフレーズだ。ピッチ内外で信頼できる仲間ができ、充実した日々を過ごしたに違いない。とにかく居心地が良かったのだろう。

 

 

おそらくは、だからチャレンジの道を選んだ。

対戦に際して、ピッチ内外で行動を共にした松原健が意気込みを語った。

「一緒に戦った戦友。ピッチの中では激しく、ピッチ外ではいつも通りの関係でいられると思う。タカくん(扇原貴宏)も日産スタジアムに戻ってくるのを楽しみにしていると思うので、お互いにリスペクトし合いながらいいゲームをしたい」

 

 

とはいえ自らの意思で移籍を選んだ選手である。生暖かい拍手ではなく『おかえりなさい』の気持ちをたくさん詰めた、大きな大きなブーイングで迎えたい。

 

 

各ポジションの台所事情は苦しいが……

 

もっとも扇原云々を言っている場合ではないくらいに、マリノスが置かれている状況は厳しい。

 

 

ヨコエク

(残り 825文字/全文: 1853文字)

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