「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マスカット監督の勝負師たる一面を垣間見た。 タイトル奪還へ向け、及第点以上の船出だ [J1節 C大阪戦レビュー]

 

まるで重戦車かダンプカー

 

ラストピースにふさわしいマリノスデビューだ。

2月に入ってから電撃加入したブラジル人ストライカーのアンデルソン・ロペスが圧倒的な個の能力を見せつけた。

 

 

圧巻のアシストは1点を追いかける69分。ピッチに送り込まれてからわずか3分後の出来事だった。

まず右サイドでボールを受けた松原健が素晴らしかった。やや強引に前方向へボールを運び、前線のロペスへ。リードを許している場面だからこそかもしれないアグレッシブなプレーが功を奏した。

 

 

パスを受けたロペスも迷わず前方向へ。華麗なドリブル突破ではなく、力強く縦方向へボールを運ぶ。その様子はまるで重戦車かダンプカーで、少なく見積もっても3人はいたDFたちを蹴散らした。

 

 

その破壊力はセレッソ大阪守備陣全員がボールウォッチャーになったことが証明している。いや、視線の先にあったのはボールではなくロペスだった。

ラストパスの先で待っていたのは左ウイングで先発した仲川輝人。「点を取れる時は、自然とボールが来るところにいる。自分が点を取っていた時の感覚をようやく取り戻してきた気がする」と振り返ったゴールシーンは完全復活の狼煙だ。

 

 

ロペスは78分、今度はゴールネットを揺らす。「こぼれ球を拾って狙った。相手に当たってリフレクションしたが、ゴールになって良かった」。貪欲にゴールを狙う意識と姿勢が結実した形である。

1月12日の始動日にも、同月17日から始まったキャンプにも参加できず、合流したのは開幕まで2週間を切ったタイミングだった。そのため本人は「まだ100%のコンディションではない」と繰り返す。状態はもっと上がっていくだろう。

 

 

完調手前でこれだけのインパクトを残せるのだから末恐ろしい。おそらく戦術やスタイルと関係なく、ピッチにいるだけで相手に脅威を与えられる稀有な存在だ。

マリノスは新しい宝物を手にした。

 

 

 

勝負師・マスカット監督

 

その背番号11が起用されたポジションはストライカーポジション。起用の意図についてケヴィン・マスカット監督は「相手は深く守備をしていたのでアンデルソン・ロペスが合うと思って投入した」と明かす。つまり引いて守る相手をパワーでこじ開ける狙いがあったわけだ。

 

 

ヨコエク

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