「(前田大然が) 得点王になる可能性は十分あると思います。ただ、そのためにもう少しPKの練習をさせないといけないですね(笑)」[マルコス・ジュニオール選手インタビュー(前編)]
【マルコス・ジュニオール選手インタビュー(前編)】
実施日:9月1日(水)
インタビュー・文:藤井 雅彦
背番号10はどの時代もチームの中心人物だ。
だからマルコス・ジュニオールは常にトリコロールの真ん中にいる。
飽くなき勝利への欲求が周囲に伝播した時、マリノスはもっともっと強くなる。
2年半ぶりのロングインタビューはオンラインで行われたが、画面の向こう側にいるマルコスが発する熱をたしかに感じた。
数々の試練はタイトルへの序章に過ぎないのかもしれない。
自己分析するならば、ものすごく負けず嫌い
――5月中旬から13試合負けなしで勝ち点を積み上げました。勢いや流れが逆転優勝した2019年の終盤に似ていると感じるファン・サポーターも多いようです。マルコス選手自身の感覚を聞かせてください。
「僕もその雰囲気を肌で感じています。でも2019年と今年の違いは、チームとしての総合力の違いだと思います。2019年の終盤は毎試合ほとんど変わらない顔ぶれの選手たちがスタメンでプレーしていました。とても良いチームだったという自負はありますが、今年の場合は誰が出場しても同じサッカーを見せられるという強みがあります。それは長いシーズンを戦う上で大きな違いではないでしょうか」
――グループとして発するエネルギーの総和が大きくなっている、といったイメージでしょうか?
「まさしくその通りだと思います。一人ひとりの力も大きくなっていますし、その集合体として発するエネルギーやパワーはさらに大きくなっているはずです。シーズン中は負傷や出場停止といったアクシデントをどうしても回避できない場合もあります。そういった局面でも力を持った選手、エネルギーを持った選手をたくさん揃えていることがチームとしての強みになります」
――先日の鹿島アントラーズ戦では5月15日以来の敗戦となりました。マルコス選手はその黒星をどのように消化していますか?
「結果として負けてしまいましたが、我々のサッカーはある程度できたという手ごたえがあります。鹿島は伝統あるチームなので難しく、タフな試合になることは想像していました。戦術面がしっかりしていて、特に守備のところでスペースを作らず、厳しいディフェンスを仕掛けてくるチームでした。それでも我々のサッカーはできていたし、僕は負け試合ではなかったと思っています」
――ちなみに、試合に負けてしまった日はどのようにして気持ちをコントロールするのですか?
「試合が終わって家に帰っても、その日は寝つけません。その日のことを考え過ぎてしまい、頭が重たくなります。でも次の日には引きずらないようにしています。しっかりと切り替えて、次の試合への準備をスタートさせるように心がけています」
――マルコス選手の表情や様子から、とにかく負けるのが嫌いな性格だと想像します。性格を自己分析すると?
「その通りで、僕は本能的に負けることが大嫌いです。おそらく外からもそれが見えているでしょうね(笑)。もし『負けてもいいや』と思ってしまったら、それはサッカー選手を引退する時かもしれません。繰り返しますが、試合に負けると本当に悔しくて眠れなくなります。だから自己分析するならば、ものすごく負けず嫌いです」
――負けたことを忘れて気持ちを切り替えるタイプですか? それとも悔しさを忘れずに次の試合でエネルギーに変えるタイプでしょうか?
「これは試合に勝っても負けても同じなのですが、忘れることはとても大切なんです。勝ったからといっていつまでも喜びに浸っていてはいけないですし、負けたショックを引きずっていても次の試合で良いパフォーマンスを発揮できません。反対に、何が原因で負けてしまったのかを分析することも大切で、常に成長するための視点を持つ必要もあります。そして負けた悔しさをエネルギーに変えて次の試合にぶつけることもあります。だから答えとしては、上手に忘れる部分とエネルギーに変える部分の両方があるのではないでしょうか」
(前田)大然が得点王になる可能性は十分ある
――連敗はできないという思いもあると思います。11日のサンフレッチェ広島戦は負けられない試合になりますね?
「毎試合勝つためにプレーしていますが、もちろん連敗は絶対に避けたい。広島戦もおそらくタフな試合になるでしょう。相手をしっかり分析して、その中で我々のストロングポイントを発揮していきたい」
――広島戦を皮切りにアウェイゲームが4試合続きます。アウェイでの戦いを乗り切るポイントは?
「ホーム、アウェイにかかわらず難しい試合が続くと思っていますし、個人的にはアウェイゲームだから特に難しいという印象はありません。それよりも鹿島に負けてしまったことも踏まえて、そういった時こそしっかり準備して臨むことが大事になります。そして集中力を高めて我々のサッカーをしっかりやりたい」
――前田大然選手がここまで14ゴールを挙げ、レオ・セアラ選手も夏場に調子を上げてきました。仲川輝人選手もサガン鳥栖戦で今季初ゴールを決めました。攻撃陣が軒並み好調なのはトップ下のマルコス選手にとってもポジティブなのでは?
「FW陣がゴールという結果を出しているのは素晴らしくポジティブなことだと思います。僕自身もゴールを決めたいと思っていますが、彼らが決めてくれれば問題ないですし、何よりもチームが勝つことが一番大切なこと。それから大然が得点王争いをしているので、彼にはもっともっと点を取ってほしい」
――マルコス選手から見て、前田大然選手は得点王になれますか?
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