「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ストライカーポジションは充実の陣容。 オナイウの海外移籍も致命傷にはならない [夏の移籍市場まとめ]

 

Jリーグは先週13日で7月16日からオープンした第2登録期間(ウインドー)を閉じた。

五輪開催による中断期間中の7月後半はマリノス周辺も慌ただしかったが、リーグ戦が再開した8月以降は静観の姿勢。あくまでも「目の前の試合に集中させる」という狙いが強く感じられた。

以下、夏のウインドーにおけるマリノス関連の移籍人事をまとめた。

 

[In]

7/5 宮市亮 FCザンクトパウリ(ドイツ2部)から完全移籍加入

7/7 角田涼太朗 2022年加入内定を前倒してプロ契約締結

7/23 杉本健勇 浦和レッズから期限付き移籍加入

7/29 村上悠緋 2023年加入内定。特別指定選手として登録

 

[Out]

6/30 オビ・パウエル・オビンナ 栃木SCへ育成型期限付き移籍

7/12 椿直起 ギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍(※直前までメルボルン・シティFC所属)

7/20 オナイウ阿道 トゥールーズFC(フランス2部)へ完全移籍

7/21 伊藤槙人 ジュビロ磐田へ期限付き移籍

7/22 樺山諒乃介 モンテディオ山形へ育成型期限付き移籍

7/22 高野遼 ジュビロ磐田へ完全移籍

 

 

それぞれの事情で新天地を求めた選手たち

 

この夏にマリノスを離れたのは6選手。当然のことながら、それぞれで立場やキャリア形成は大きく異なり、一概に比べることはできない。

選手の移籍とチーム状況は常に連動している。

例えばオビ・パウエル・オビンナは2年連続で栃木SCへ育成型期限付き移籍となったが、それはGK陣が新人の田川知樹を含めて4選手確保できている可能だった。

 

 

現在のチームには、全治数ヵ月を必要とするような大きなケガ人がひとりもいない。これは素晴らしいマネジメントと称賛されるべきなのだが、出場機会に恵まれていなかった選手にとっては難しい状況が続くことを意味している。

そして残されているコンペティションはリーグ戦のみ。ルヴァンカップと天皇杯は6月中旬の連戦で敗退し、ACLにはもともと出場していない。そのため8月後半の連戦を終えると、9月以降は試合日程がずいぶんとラクになる。

現在のところケガ人が見当たらず、連戦によるターンオーバーもない。そうなった時、準主力クラスの選手は宝の持ち腐れになってしまうかもしれない。伊藤槙人や高野遼、あるいは新人だが樺山諒乃介もここにカテゴライズされる。

 

 

彼らは新天地に出場機会を求め、フロントはプレーヤーズファーストの精神で送り出す。ネガティブな要素など何ひとつない円満な移籍人事だ。

 

 

オナイウと高野には移籍金が発生

 

チームとして慰留に努めたが、自身の夢を追いかけて海を渡ったのがオナイウ阿道である。

 

 

前半戦だけで12ゴールを記録し、日本代表にも招集されるようになった。成長著しいストライカーは現在25歳。Jクラブではいわゆる中堅選手で、世界的にはもう若いとは言えない。さらなるステップアップを目指した海外移籍のチャンスはもう訪れないかもしれない。一念発起で移籍を志願した気持ちは想像に難くない。

 

 

そのオナイウや、あるいは高野は複数年契約を残しての完全移籍のため移籍違約金が発生している。前者はもともと海外志向が強く、リスクヘッジの意味合いも含めて移籍金を念頭に置きながら交渉が進められた、後者はアカデミー出身でマリノスへの愛着も強く「少しでも残せるものがあれば、それがクラブのためになる」と言い残した。

 

 

反対に宮市はフリートランスファーで獲得し、杉本は出場機会に恵まれていなかったという事情を考えるとレンタル料も比較的抑えられている可能性が高い。

 

 

 

ヨコエク

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