「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

欠けてしまった“逸脱した個”というファクター。味方も驚くような意外性を発揮する選手は見当たらないのが現状だ [J9節 仙台戦レビュー]

 

守備意識の高い仙台を最後まで崩せず。ゴールシーンと歓喜の瞬間は訪れなかった

ここまで未勝利で無失点試合が1試合もなかったベガルタ仙台の守備意識はとても高かった。組織の力だけでなく選手個々の集中力という点で、この日の仙台は攻略するのが難しいチームだったのは間違いない。マリノスはその相手に攻めあぐね、最後までゴールを奪えなかった。

 

 

「引いた相手をこじ開けるのは難しい。まずゴールを奪うことにとって相手は守備的にできずオープンな展開になるが、そのスペースを作れず難しい試合だった」

 試合後のアンジェ・ポステコグルー監督は険しい表情だった。

もっともチャンスが皆無だったわけではない。前半の27分にはエウベルが前田大然とのワンツーから強烈なミドルシュートを放った。31分にはエウベルのスルーパスに抜け出した仲川輝人が倒れて得たFKを天野純が狙う。どちらの場面も相手GKに防がれたが、惜しいシーンを作れていた

 

 

後半に入っても、62分に自陣からのロングカウンターが発動。仲川が長い距離をドリブルで持ち運び、ボールを受けたエウベルが松原健とのワンツーから右足を振り抜いたがシュートはわずかに枠外へ。直後の63分にはインナーラップを仕掛けた高野遼のグラウンダークロスに前田が体を投げ出すも、惜しくも届かなかった。

 

 

そして水沼宏太、渡辺皓太、オナイウ阿道の3人同時投入でさらに前線を活性化したが、最後までゴールシーンと歓喜の瞬間は訪れなかった。

いくつかのチャンスを演出した水沼は「途中から攻め急いでしまう場面もあったので、それはもったいなかった。最初の5分から10分は流れを変えられたけど、得点につながるプレーやチャンスを増やさないといけなかった」と悔しさをにじませた。

 

 

ゴールの匂いがあまり漂ってこないのはなぜか

マリノスはここまで8試合を消化し、4勝3分1敗。守備は1試合平均1失点以下の7失点と優秀だ。安易なボールロストからのピンチは明らかに減り、GKの頭上を越えてあっという間にゴールを奪われる心配もほとんどない。

 

 

ヨコエク

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